第39話 ランク付け
セベシュ村に来て、3日目。
「おっはよ~!」
早朝、村長宅に着いたら、スパイス・ガールズが普通に出迎えてくれた。
昨日の昼、ベイビーフェイスの件で、気まずく別れたのだが、
夜になってワインを3本、こっそりと差し入れたのだ。
へっへっへ。お代官様のご機嫌がまあ良くなって結構なことでヤンス。
やっぱり、心の痛手は酒で癒すに限るよな。
まだ試したことないから、ホンマかどうか知らんけど。
そして、今日も昨日の続きでゴブリンの死体の始末だ。
死体を焼いたらスゴイ臭いで、たくさんの魔物が寄ってくるんだ。
寄ってきた魔物の死体も焼却する必要があって、
結局、昨日1日では完了しなかったんだ。
死体は焼かないと腐って疫病の元になるし・・・
まあ、狼とか、鹿とか、ゴブリンで数が少なかったら村人でも対応出来るのだが・・・
マンティコアとか、もう勘弁だぜ。
また、マンティコアを倒して、俺の仲間みんなスキルが増えて嬉しそうだったけど、
やっぱり俺には関係なかったから。
くすん。
今日も、三ツ星シェフのグレイスの監修の元、
寄付したコメ30キロで村のお姉さま方がおにぎりを作ってくれる。
おにぎりなら、三ツ星シェフの肩書はいらないけどな。
ブルーメがニコニコしながら、勝負を持ちかけてきた!
その表情に陰りが見られないということは、
ベイビーフェイスとは、それほど近しい関係じゃなかったのかな?
「なあ、今日は魔物をいくつ狩ったか、勝負なのじゃ。」
「どっちかって言うと、やりたくないな・・・」
「何か賭けようってワケじゃないのじゃ。
勝負にした方が、ハリがあるだろ?燃えるだろ?
まあ、買ったらワインが欲しいのじゃが・・・」
「賭けてるじゃね~か!・・・まあ、いいけど。」
「やった!よろしく~!」
スパイス・ガールズは張り切って村長宅を出発していった。
俺たちも続いて、村長宅を出たら、たくさんの村人が待ち構えていた!
そして、俺たちっていうか、パメラの姿を見てみんな跪き、
瞳をキラキラさせながらパメラだけを仰ぎ見ている~!
「おはようございます!パメラ様!」
えええぇ!俺たちの姿、見えていないの!
昨日も魔物と戦って傷ついた人や、死体の処理に心も体も疲れ果てた人たちを
パメラが癒してあげたのだ。
ちなみに、マンティコアを倒したのは、
パメラの加護が凄かったからと思われている。
まあ、本当だけどさ、それだけじゃないのに!
きぃ~!
パメラ!
覚えていろ!
で、その結果がこれだ!
「皆さん、おはようございます!
どうか、立ち上がってください。
皆さん、今日もがんばりましょう~。」
「「「「おおぉ~!!!」」」」
パメラに声をかけられた村人は笑顔となって、
それぞれの現場に向かって溌剌として歩き出した。
こちらもルンルンで歩き始めたパメラに問いかけた。
「そういえば、グラディシュカ修道院へは行かないのか?」
ぎくっ!
パメラとアルテが固まっていた。
そして、ぎぎぎって首だけ動かして、こっちを見た。
「あ、あの、その、えっと、そうです!
困っている村人たちを放っていけません。」
必死に理由をこじつけたパメラの言葉に、
アルテがうんうんうんうんうんと首振り人形になっていた。
「ええ、ええ、ええ、そうですとも!」
「村は俺たちに任せて・・・」
意地悪を言おうとしたら、村人のきっつい視線がいくつも突き刺さった!
怖い!
俺って、敵と認識されているの?
「ボ、ボクを見捨てるのですか?」
ウルウルとした瞳で俺を見上げるパメラ!
反則級に可愛い!
当初の目的地グラディシュカ修道院とはいえ、
パメラをこの村から追い出そうとする俺に対する村人の視線が怖いし!
「い、いや、パメラがしたいようにすれば、いいんじゃないかな!」
「ありがとう、三蔵さん!」
パメラに右手を握りしめられ、お礼を言われたら、
今度は村人たちの嫉妬の視線が痛かった・・・
ちなみに村人たちによる俺たちのランク付けはたぶん、こんな感じ。
神:パメラ
四天王:料理人グレイス、米配給人九郎、神の護衛アルテ、なぜか花梨
神の友人:サポネ、ミレーネ
問題児:三蔵
・・・解せぬ!
今日、出現した魔物は、狼、鹿、イノシシ、ゴブリン、オーク、
サーベルタイガー、蝙蝠にネズミ、と多種多様だった。
それをサポネが、一回に遭遇した数が少なかったこともあって、
あっさりとすべて殺した。
ちなみに、オーク3匹とオークナイトと出会ったときはこんな感じだった。
サポネが先に気づいて、気配を消す。
オークどもが俺たちに気づいて襲い掛かろうとする。
サポネは気配を消したまま接近して、
オークナイトの頸動脈を切り裂く。
倒れたオークナイトに動揺したオークどもを
スピードのアップダウンを効果的に使って幻惑し、
1匹ずつ、殺していくのだ。
強くなったね、サポネ。
・・・まだ、教えてくれない二つ名、ヤバいヤツかもな。
・・・サポネを怒らせないよう気を付けよう。
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