第4話

 「こほんっ! うっかり綿飴の美味しさで役目を忘れるところだったよ」


 ニコラスが少し恥ずかしそうにそう言う。心なしか少し、体が赤くなっているような?

 別に綿飴はとても美味しかったんだから、私は気にしないのに……。


「ニコラスの役目って?」


 この不思議な場所に連れてきて、美味しいものを飲ませたり、食べさせてくれたりするだけじゃあないんだ。とても美味しいものでお腹もいっぱいで、全てが終わった感じに思えちゃっていたよ!


「俺の役目は、選ばれし者の案内役だ」


 ニコラスがさっきの恥ずかしそうな様子はどこへやったのか、キリッとした顔でそう言った。

 ……お口に綿飴が付いていますよ?面白いから、気づくまで知らないふりをしておこうかな?

 いつ気づくのか、ちょっと楽しみだな。ニコラスには少し悪いけれど!


「その選ばれし者って、一体なんなのさ」


 選ばれし者ってなんだか中二病みたいじゃん! ニコラスってもしかして……。


「るな?何か変なこととか、考えていないだろうね?俺の髭がピクピク反応しているんだが?」


 なんて高性能なお髭だこと!私の考えを察知するなんて。これじゃあ、脳内でニコラスの変なことは考えられないかな?いや、多分関係なく考えると思うけれどね。


「考えていないよ?それよりも、選ばれし者ってなんなのさ。それが私ってことなの?」


 私が選ばれし者って、なんだか私も中ニ病になった気分だ……。中ニ病コンビ。なんかヤダな、猫と1人の中ニ病コンビなんて。


「る〜な〜??」


「べっ別に、変なことは考えていないったら!」


「俺は、そろそろ説明をしようとしただけだが?」


「そっそう?そういえば聞いていなかったね。説明をお願いできる?ニコラス」


「なんかはぐらかされた気もするが、良いだろう。さっそく説明をしよう。」


 ニコラスにジト目で見られながら、私は『選ばれし者』についてなどの説明をやっと聞くことができた。


「るなはパラレルワールドって、知っているか?」


「えっと、今いる私たちの世界………。まあ、ある世界から分岐してそれに並行して存在する、同じようでちょっと違う、別の世界って感じであっているかな?」


 多分、パラレルワールドってそんな感じだった気がする。前に読んでいた本が、パラレルワールドが舞台でなんだろうと思って調べてみた記憶がある。


「なんだ。良く知っているじゃないか」


 ニコラスが肉球を叩いて褒めてくれる。ちょっとさわらせてくれないかな?


「ああ、肉球のおさわりは禁止なんで」


「心を読まれたっ!?」


「いや、俺の肉球をガン見されたら気付くからな?」


 やれやれという感じで言われてしまった。別に良いんだけどさ、さわれなくても……。プニプニしたかったなぁ〜とか、別に思っていないし?別に!


「選ばれし者っていうのはな……」


「説明に戻された?!」


「いや、そもそも説明の途中だっただろう?」


「そういえばそうだった……。続けて良いよ」




 仕方なく、ニコラスの説明を聞くことにする。

 パラレルワールドが話に出てきたけど、何か関係あるのかなぁ〜?

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