第14話

教室に向かう途中

「はぁ、朝から災難だったねシラユキさん」

「…」

「シラユキさん?」

返事がなかったから振り返るとシラユキさんは顔を真っ赤にしていた

「大丈夫⁉︎」

どうしようとフロウドが考えを巡らせていると

「だ、大丈夫です。顔が赤いのはその…」

目線を追いかけると見えたのは繋いでいる手だった

「あ、ごめん」

そう言って手を離す

「あっ」

そんな言葉がシラユキから溢れる

「どうしたの?」

「その、また手を繋いでくれますか?安心したので」

「そのくらい別にいいよ」

「ありがとうございます!」

とても嬉しそうにしているのを見て

(人肌が恋しいのかな?アカ姉に言っておこう)

そんなことを考えていると

「あの…ありがとうございました!」

シラユキが改まって頭を下げる

「気にしなくていいよ友達なんだから」

「いえ、さっきのもそうなのですがそのことではなくて」

「もしかして引き取ったこと?」

そう言うと頷く

「そうなんじゃないかとは思っていたんです。事情を話したあの日に引き渡しの話をされたので」

シラユキが思いを爆発させていると

「あのさ、言いにくいんだけどあれ嘘なんだ」

「…え?」

「あの場でなるべく目立たず今後の牽制になるかなと思ってついたんだけど…」

そう言うとシラユキは顔を真っ赤にして

「そ、そうですか…すいません変なことを言って」

「全然いいよアカネさんから事情は聞いてるし。もしよかったら探すの手伝おうか?」

「いえ、そこまでは大丈夫です」

「そっか、困ったことがあったら頼ってね。昼休憩以外基本教室にいるから。」

「…ならもしよければお昼を一緒に過ごしたいです」

「別にいいけど友達作りもしなよ」

「それはフロウドさんに言われたくありません」

「はは、言えてるね」

その後も色々な話をしながら教室まで向かった

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

お昼

「お疲れ様ですフロウドさん」

「お疲れ様シラユキさん」

「あの、お昼ですがどこで食べますか?」

「どうしようかな〜」

(いつもなら食堂なんだけどあいつと出会うかもしれないし)

「そうだ、屋上前の階段にしようか」

そう言うとシラユキは頭を傾げる

「屋上ではないのですか?」

「屋上は多分閉まってるよ。この前閉まっていたから」

「そうですか…」

明らかに残念そうにしている

「どちらにせよ屋上方面に行こっか」

「はい!」

移動していると色々な話が聞こえてくる

「早く行くぞ!席が取れなかったらどうすんだ」

「見てあの女。もう違う男引っ掛けてるよ」

「あいつがジェイル家に喧嘩売ってる奴か」

シラユキは不安そうに下を向く

そんな姿を見て手を握る

そうすると力強く握り返される

少しはマシになっただろうかそんなことを思いながら屋上に向かった

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

「ここでいいかな」

屋上前で足を止める

「さっきはありがとうございました」

「別になにもしてないよ。ん?」

「どうかしたんですか?」

異変を感じドアノブを握る

「扉が空いてる」

「!なら屋上で食べませんか?」

少し嬉しそうに声をかけて来るシラユキにハンドサインで静かにするように伝え

耳を扉に当てる

っ〜〜〜だま〜〜〜お〜〜いい〜

足音がこちらに近づいて来る

「シラユキさん少しこっちに来て」

そういうと頷いて横に来る

扉が乱暴に開かれる

「くそが!なぜどいつもこいつも従わないのだ!」

「待って下さいバラドさま!」

そう言って二人組が階段を降りて行く

どこかに行ったのを確認してから屋上に出る

「…誰?」

そこには青髪の女生徒がいた

「フロウドだ」

「シラユキです」

「驚愕、2人とも名前を聞いたばかり」

「君は確か同じクラスの」

「私はミラ」

「ミラさんですね。あの、ここでお昼を食べたいのですがいいですか?」

「私は別に気にしない」

「ありがとうございます!」

「シラユキさん場所を変えよう」

「ど、どうしてですか⁉︎」

シラユキが納得できないと理由を聞いて来る

「ここにバラドが居たと言うことはあいつもここに来るかもしれない」

そう言うとシラユキは黙ってしまう

「もうアレはここに来ないと思う」

突然ミラがそんなことを言って来る

「どうしてそう思う?」

「簡単、アレはプライドが高い。一度断られたらもう来ない」

「何を頼まれたんだ?」

「ん、あなたを説得するように頼まれた」

「そんなことだと思ったよ」

「アレは嫌い…」

「そっか」

なんやかんやあって

「あの、本当にここで食べてもいいのですか?」

「うん、ミラさんを信じよう特待生の中でもトップのね」

「え!そうなんですか!」

「ん、よく知ってる。代表挨拶は断ったのに」

「張り出してあったからな」

「…知らなかった」

三人で楽しく話しながら食べた

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ミラ・ユリウス

エクアル学園にトップで入学

家族の話しをしたがらない

美しい青髪で少し小柄な見た目

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