第13話

シラユキと2人で話をしながら登校していると学園が見えて来る

「もう学園か…」

いつもより気持ち早く着いてそんな言葉が漏れてしまった

「どうかしましたか?」

「いや、今日初めて徒歩で登校したんじゃない?」

「そうですね、確かに初めてでした」

「だから大丈夫かな〜って」

そう言うとなぜか少し顔を赤くしながら

「その…お話が楽しくてあっという間だったので全然大丈夫です…」

「ふっ」

そんなに恥ずかしいなら言わなくてもいいのにと思い少し笑ってしまう

「な!なんで笑うんですか!」

少し怒ったように頬を膨らませる

「ごめん、まさかシラユキさんも同じことを思ってるとは思わなくてね」

「ふぇ⁉︎」

シラユキが顔を真っ赤にして走って行ってしまう

「そんなに変なこと言ったかな?」

やはり女性の感性はわからないなと思うのだった

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そうしていると学園に着いたのだが何やら少し揉めているようだ

「あの!やめて下さい」

「!!」

どうやら揉め事の中心にシラユキがいるようだ

フロウドは急いで揉め事の中心に向かう

「何度も言っているではないですか!私は戻る気はありません!」

「っ!」

揉めている相手は…あいつか…

「何があったの?」

そう声をかけると少し安心したように

「フロウドさん!」

「貴様は!」

揉めていた相手はバラドだった

バラドとシラユキの間に入る

「き、貴様何のつもりだ!コイツと私の関係はお前も分かっているだろう!」

ああ知ってるよ

「もう『他人』だろ」

「⁉︎なぜそのことを知っているのだ⁉︎まさか」

「多分その『まさか』で合ってると思うよ」

そうあえて威圧するように語気を強めて言う

「コイツにいくらかかったは知らないがそんな価値があると思っているのなら間違いだ!コイツは何にもできないしノロマだ!今なら私が父上に話を通してやるどうだ?」

そんなふざけたことを言ってくる

「つまり何が言いたいんだ?」

「愚民、その無能をもう一度引き取ってやる」

その発言にシラユキが肩を震わせる

「残念だがその取引には応じない」

「なぜだ!」

「俺はシラユキさんが無能だとは思わないし、一緒にいて心地よいからただそれだけだよ」

そう言ってシラユキの手をとる

「そろそろ行こっか」

そう言うとシラユキは無言で顔を縦に振る

「まっ待て!」

そんな言葉を背に教室に向かう

そうして朝の一悶着は収まったのだった

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「取引が失敗したのなら無理やりにでも…」

これから学園で事件が起こるなんて誰も想像していないのだった

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