第12話
シラユキが引き取られた次の日の朝
いつものルーティンを終えたフロウドが家の外に出ると突然
「おはようございます、フロウドさん」
なんて声をかけられる
「…おはよう、シラユキさん」
そこにいたのはシラユキだった
「何となく察してるんだけど一応聞くね、何でここにいるの?」
「アカネさんが教えてくださったのでご一緒に登校しようかと思ったのですが…迷惑でしたよね、ごめんなさい」
怒られると思ったのか顔を下げてしまった
「あの、別に怒ってないからね。むしろ嬉しいぐらいだから。」
そう言うと顔を上げて「本当ですか?」と心配そうに聞いてくる
「本当だよ、いつも1人だから」
「いつも?」
「あ…」
(しまった!つい、本当のことを)
どうやって質問をかわすか考えを巡らせていると
「あの!話したくないのなら大丈夫ですから!」
そう言ってくれた
「もし話したいのなら別ですが多分そうじゃないですよね」
そう言ってくれるから軽く頷く
「なら話したくなるまで待ちます。だって友達ですから!」
そう笑顔を向けてくれる
「…ありがとう、いつかきっと相談させてもらうよ」
このシラユキの言葉は間違いなく冷え切ったフロウドの心を温めたのだった
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
そうして2人で話をしながら登校をする
「アカネさんと暮らすのは大変じゃない?」
「まだ2日目ですが、とてもよくしてもらっています」
「そうじゃなくて、ほら怠け癖とかあるでしょ」
「?やる気に溢れていましたよ?」
(あの人シラユキさんの前では隠してるのか)
「ごめん、怠け癖があるのは違う人だった。やる気がありすぎて暑苦しくない?」
「いえ、そんなことはありませんよ」
「本当?引き取られたから濁してない?」
そう言うと当然だと言わんばかりに
「濁してなんかいませんよ、まだ2日しか一緒に暮らしていませんが本当によくしてもらっていますし、不便なことがないかいつも聞いてくださるので、本当に感謝していますから」
そう幸せそうな顔をするシラユキは美しくて絵のようだった
「あの、どうかしましたか?もしかして…顔に何かついていますか⁉︎」
「あ、ごめん全然そんなことないよ。ただ…」
「ただ?」
「そんな顔もできるんだなと」
そう言うと慌てて
「そんなに変な顔でしたか⁉︎」
なんて言ってくる
「…とっても幸せそうな顔だった」
そう言うと恥ずかしそうに
「…はい、新しい友達ができて新しい生活が始まって、私は幸せです」
そう話す彼女はやはり美しかった
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます