第9話  sideアカネ

「いやーメチャクチャ美味しかったよ、お料理得意なんだねフブキちゃん!」

「前の家でもやっていたので…」

そう言って不自然な笑みを浮かべた

そういえば前の家では酷い扱いを受けていたらしいし余計なこと言っちゃったな

「そういえば、荷物が少なかったように思うんだけど」

「はい、学園に通うための制服と私物を少しだけ…そうでした!」

何かを思い出したようにフブキちゃんは声を上げた

「ど、どうしたの?」

「あの、えっと、私エクアル学園に通っていて」

「うん、知ってるよ。依頼主から聞いてるよ」

「あの、無理を承知でお願いがあります」

そう言って真剣な眼差しを向けてくる

「学園に卒業まで通わせていただきたいのです。費用はどれだけ時間がかかっても必ずお返ししますので」

そう言って頭を下げる

「ちょ、ちょっと頭をあげてよ。一旦座ろっか、説明するからさ」

「…はい」

そう言って椅子に座る

「まず今回の依頼は『フブキと言うエクアル学園の生徒をジェイル家から引き取って欲しい』って内容だったんだ」

フブキちゃんの顔は驚きの感情でいっぱいいっぱいだった

「それで、引き取ったあとの生活の手助けをしてほしいって言われてるからできる範囲でフブキちゃんの手助けを私はするよ」

その言葉にフブキちゃんは期待の眼差しを向けて

「じゃあこれからも通ってもいいんですか?」

「もちろん。依頼主もきっとそれを望んでるよ」

きっと彼はそう思ってるだろうしね

「どうして依頼主さんはここまでしてくれるんでしょうか?」

「うーん、あんまり依頼主とフブキちゃんの関係を知らないから何ともいえないんだけど、きっと優しいから見ていられなかったんじゃないかな」

「見ていられなかったですか?」

「うん、きっとお人よしなんだよ。困っている人を見過ごせないくらいね」

「いつか会えますかね?」

心配そうに聞いてくる

「そうだね、もう言っちゃうけど同じ学園の生徒だから会えるとは思うよ、けど、今回の件を私を通じて行ったことからきっと名乗り出たりしないんだろうから、直接感謝の言葉を伝えることは難しいかもね」

「そうですか…」

「でも、きっと元気に過ごしてるだけで依頼主は喜ぶんじゃないかな」

そう言うとフブキちゃんは少し考えて

「そうですね元気に過ごして『貴方のおかげでこうなれました』って伝えようと思います!」

そう笑顔を向けて言った

「よーしじゃあまずはフブキちゃんに必要なもの買いに行こっか!」

「あの、私お金あんまり持っていないんですが」

「もちろん依頼主から預かっています。必要なものに使うんだから気にしないでいいよ」

「でも…」

まだ抵抗するフブキちゃん

「いいから行こ!服とか下着とか色々必要なんだから、ね?」

「わかりました、お願いします」

ようやく諦めてくれた

「じゃあ行こう!」

外はメチャクチャ晴れてて暑かった

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