第7話 世界観~近世~概略・入門

〇近世という時代

近世。それは騎士道の残り香が最後に漂う時代で、国民国家の誕生とかつてない規模の戦争が勃発する混沌の世紀でもあり、ブルジョワジーが誕生してくる新たな世界の幕開けでもあります。


ゲーテの言葉を引用するなら「この日ここから、世界史の新しい時代が始まる」とのこと。主人公が活躍する小説を書くなら、これほど面白い時代もないでしょう。


・近世はごちゃごちゃしてる

近世もやはり、幅が広いです。中世の様に前期~後期までの様な時代区分が明確に存在するわけではありませんが、まぁ一番題材にとりやすいのは”フランス革命~ナポレオン戦争”あたりでしょう。デカブリストとかドイツ統一はもう少し先の近代でしょう。


・大規模な戦争

それまでは騎士たちが自分の領土の市民を無理やり連れて戦争に連れて行っていた小規模な争いが、国家という一つの要素の下に集まり国民が自ら兵士となって戦いに行くという大規模な争いに変化しました。これはもちろん国民国家という新しい制度の登場もそうでしたが、一番はやはり食糧生産率が上がり国民の数が増えたからでしょう。その結果、戦争はより高度に、より大規模に変化していったのです。


このころから階級であったり部隊であったりという軍隊用語が誕生してきます。

物語に出しても違和感はないでしょう。


・いろいろなことがわからなかった

然しながら、今の時代様式の気分で小説を書くと痛い目を見ます。当然ながら、この時代の風俗はまだ未発達で、わからない事が多いです。特に注意してほしいのは傷病についてです。


明確な治療法や器具は誕生していない物が多いです。外科の手術はまだ明確な療法が無いものも多く、戦場で傷ついた兵士は治る傷でもそのまま死んでしまう事もままありました。

あとは、市民たちの間にまだ深い信仰心があるという事を忘れてはいけません。彼らは、突撃の前だけに祈っていたわけではありません。日常的にまだ教会へ行き、祈りをさ上げている人も多く居ました。文化が発達したからと言って、宗教をおろそかにしてはいけません。


・この時代は初心者には難しい

然しながら、軍のお偉いさんや将軍は未だに貴族出身が多く地域によっては封建制と農奴制を維持したままの国家も多くありました。旧時代の制度と、生まれたての思想がそのままの勢いでぶつかり合う時代。無論それは、単純な二項対立ではなく様々な思惑、矛盾をどの陣営も抱えながら戦っていました。今でこそ、結果が見えている物の、当時の人々には自分の道が正しいのかわからなかったはずです。


それを、想像してキャラクターとして描くにはかなりの技量が必要です。


〇あとがき

今回は近世編です。あんまり詳しく書けてないので、近世については”玄人”編を設けてまた詳しく説明します。此処で伝えたいのは、近世は難しいぞという事です。


現場からは以上です。


※ランキングがまた上がりました。4位だそうです。

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