第5章 オマケ 昭和テニスマン、妖精と初タイトル獲得す! (お色気あり 青少年可)


第五章 オマケ ご褒美おかわり 七月六日(土)


一 府中市テニス大会ミックスダブルスAクラス決勝。

 

 さあ、マッチポイントだ。四〇―四〇。

 ミックスの場合、四〇オールはサーバーと同じ性別のサイドで行うルールだから、男性の側のアドコートで、続けてサーブを打つことになる。

 前衛の杏佳が、前かがみになってラケット構えながら、左手をお尻のとこに回してサインを送って来る。二本指のあと、引っ込めて、改めて一本指を立てた。スライスサーブを打て、そして私はポーチに出る、ということだ。最後までアグレッシブだな。

 どうせ見えないけど、僕は、頷いて、ボールを二回つき、スっとトスを上げた。


二 インハイ予選で傷めた右足首は、もう翌日にはかなり回復していた。三日くらい運動を控えていたら、痛みも腫れも殆ど収まったので、僕は、吉崎院長の言いつけを守らず、早朝に壁に行って、軽くストロークとサーブをやっておいた。なにしろ次の試合が土曜日なので、なるべく感覚は維持しておきたい。

 木曜日の部活から練習に復帰し、金曜日に杏佳と平和の森で練習して、ほぼコンディションは元に戻った感じだった。杏佳も、「これなら大丈夫そう。明日頑張ろうね」って言ってくれた。


 試合当日は、朝九時に平和の森公園テニスコートに参加一六ペアが集合。いつも練習しているコートでよかった。二面あるわけだから、決勝までやっても午後には十分終わるだろう。

 今日の杏佳は、可愛いエレッセのピンクのポロシャツにホワイトのスコート。ソックスもシューズもアンスコも白。アイボリーのキャップの穴から栗毛を出して、シャツに合わせてピンクのリボンで結んでる。いいね、競技仕様のストロングスタイル。もちろん、リストバンドは僕とお揃い。白のヨネックス。


三 いざ試合が始まってみると、さっきの四〇オールのサーブもそうだけど、ミックスには男子ダブルスと違う独特のルールやマナー、そしてセオリーがあった。


 なんとも扱いが難しかったのが、「女性にはハードヒットしちゃダメ」、「女性ばかり狙い撃ちしちゃダメ」という暗黙のルールで、このジェンダー平等の世の中で、なんでそんなものが必要なのかとも思うけれど、まあ、言いたいことは分からないでもない。確かに僕が女性相手に、ドッカンドッカンとフラットサーブを打ちこんだら返ってこないだろうし、杏佳と二人で女性にだけバカスカとボール集めたらやりようがないだろう。泣いちゃったりして。なので、杏佳と相談して、僕は女性にはフラットサーブを封印して、スピンサーブだけで戦っていくことにした。スピンなら女性でも追いつけるからね。あと、「危ないから、女性の正面向かってスマッシュ打つのもやめるわ」「うん、そうね」ということにした。


 それから、試合のセオリーも男子ダブルスと全然違った。一番大きな違いは、並行陣、すなわち四人ともネットに詰めてのボレー戦が殆どない事だ。男性がサーブを打つときは、女性が前衛に入るので、そのままサーブ&ボレーすれば並行陣になることはあるが、そのパターンくらいしかない。

 逆に女性がサーブのときは、まず前に出てくることはないので、前衛と後衛が分かれた、綺麗な雁行陣で試合が進む。その場合には、女性サーバーのストローク力が問われ、チャンスボールを前衛男性が決める、という得点パターンになる。


 とまあ、いろいろと面食らうところもあったけれど、さすがに前年東京女王と現役インハイ選手のペアは強かった。特に僕のサーブのときは、デュースコートで女性(たいていこっちに入る)のフォア側に大きくスピンサーブを打つと、フラットより遅いから、追いつきはするんだけど、もうコートの遥か外から苦し気な態勢でリターンすることになり、ペアの男性が一人でオールコートを守らざるを得ない。そこに杏佳がポーチに出たり、ネット際にドロップボレーしたりして、もうやりたい放題。

 アドコートでは、シングルと違って、コート左端からサーブすることになるので、もともと強力だったスライスサーブにブーストがかかり、コート内で弾んだ後、そのまま横の金網に着弾したりなんかして、相手男性も「こんなのどうすりゃいいのさ?」って感じだった。なんとか返ってきても、ガラガラのコートは女性一人で守っているから、またまた前衛の杏佳がやりたい放題だった。


 逆に杏佳のサーブの時は、雁行陣のままストロークで打ち合わざるを得ないが、何しろ杏佳はストロークの鬼なので、相手が男性でも全く引けを取らず、バンバン打ち合って、そのうち浮いて来たところを僕がポーチで決めるってパターンで得点を重ねた。杏佳は、返球をわざと少し真ん中に集めて前衛がジリジリ出てくるようになったところで不意にサイドを抜いたりして、頭を使った駆け引きも、さすがと思わせるものがあった。


四 一、二回戦は八―二と八―三で順当に突破し、次は準決勝というところでお昼。今日はお弁当じゃなくて、センターのレストランで、「あー、涼しいー。極楽極楽」って言い合いながら、美味しいごまダレ冷やし中華を食べつつ作戦会議。


「ここまでのところは順当ね」

「うん。いい感じで来てる」

「だけど、午後は相手も強くなってくるから油断できないわよね。とにかく、私たちは裕のサーブと私のポーチが生命線だから、サーブのときのサインを決めとこう。私が指でサイン出すわよ。一、二、三の順で、フラット、スライス、スピンね、四だったら『任せる』のサイン。その後いったん引っ込めて、一を出したら思い切ってポーチに出るから、裕はネット出ないで、反対コーナーに走ってカバーしてね。ストレート抜かれてもいいように」

「おお、それいいな。それならセカンドサーブでも思い切ってポーチ出られるもんな。それで行こう」


 この作戦はとても上手くいき、準決勝では、杏佳はぴょんぴょん飛び回って、どんどんポーチを決めてくれた。いや、ボレーも上手いねー。時々、動き出しが早すぎて、ストレート抜かれたりしたけど、僕がカバーに入って何とか繋ぐことができた。


五 準決勝は八―三で通過し、いよいよ決勝戦。相手ペアはどうも男性がテニスコーチらしい。女性はその教え子か? 相当に強いペアだったが、いかんせん、女性の力が違い過ぎた。さすがに杏佳では相手が悪かった。だけど、ほら、例の暗黙のルールがあるから、僕と杏佳は相手女性には優しく繋いであげて、でもしつこくしつこく繋いで、辛抱たまらず浮いて来たところを、すかさず「トアーッ!」と男性の足元に打ち込むという、やや邪道とも言える戦術でリードを広げていった。でもマナー違反してないもん。いいんだもん。

 そしてゲームカウント七―三となり、僕のサーブで四〇オールのマッチポイント。冒頭のシーンだ。だけど、これを落とすと七―四で、あと三ゲーム僕のサーブが回ってこないので、ここできっちり決めておきたい。アドコートで杏佳のサインは、二と一、スライスサーブ要求、ポーチに出るそうだ。自分で優勝決める気だな。


 しかし、おお! 今まで気付かなかった。お尻に手を回して、しかも前傾してるもんだから、スコートの中が丸見えじゃないですかっ! 今日は朝から試合やってるので、杏佳の白い肌も少し日に焼けて、スコートの境目の色が変わっている。けど、中は白い、すごく白い! アンスコの付け根の内腿なんてもう真っ白。しかもむっちりしてる。こ、これはベリービューチフル! たまらん。

 てなことを考えながら僕はトスを外側にあげ、これで決めるぜ! と思いながら思い切りスライスサーブを放つその瞬間に、またむっちり内腿をチラと見てしまった。

 その一瞬後、「ベチっ!」と鈍い音がして、あ、こ、これは、八街、じゃなかった、やっちまった‥‥‥。

 杏佳は、ラケットを落とし、右手でネットを掴み、左手をお尻に当てて、仰け反ってプルプルしている。ああ、神様、わたくしは一体どうしたらいいんでしょう? 渾身のサーブを杏佳のお尻に打ち込んでしまったぞ。


 もちろん、僕はすぐにネットに駆け付け、

「杏佳! 大丈夫か?」って声掛けたんだけど、杏佳は何も言わず、口を真一文字にして、可愛いえくぼ出して、しかし顔は決して笑わず、ギギギって、高山祭りのからくり人形みたいに、こちらに顔を向けてきた。こ、怖い‥‥‥。


「ああ、すまん! ごめん!」

「‥‥‥ま、まあいいわよ。あんたもわざと狙ったんじゃないしね。怒ったりしないわよ‥‥‥だけど、痛い、痛いのよ‥‥‥」って杏佳が声を絞り出す。

「ほんとごめんな。サーブ打つときに、お前の真っ白い内腿がちらっと目に入って、思わず手元が狂ったんだ」

「な、何ですってー? じゃ、あんた狙って打ったんじゃないの!」

「え、そうなのか。‥‥‥ああ、まあ、そういうことになるのか。あは、あははは」

「あ、あんたねー(怒)」 わー、怒った。

「えー、ごめん。すまん。痛いのどこだ、ここか?」

「な、お尻触ってんじゃないわよ! バカ、エッチ、スケベ!」

「あ、そうか、そうだよな。ごめん。すまん」

相手ペアもクスクス笑ってる。


 てなハプニングもあったが仕切り直し、杏佳のサインは、え? また二と一? 同じサーブを打て、私が決めるわ、だって? だけどセカンドサーブだぜ。フォルトしたら接戦になるぞ。しかも今お尻に当てたばっかりだけど、それでも勇気出してポーチに出る? って思ったけど、そうか、相手ペアも今の見たらスライス続けると思わないよな。杏佳、お前、見上げた女っぷりだ。それに応えよう。


 僕はトスを外側に上げ、思い切りボールの左上を擦りながら打ち抜いた。今回は内腿注視は封印。いいサーブが行ったぞ。だけどトスでバレてるので、相手男性は瞬時にバックに移動し、僕はストレートをケアしてエンドライン上を右手に走る。

 リターナーはストレートに打たず、クロスに高い球を打ってきた。確かにこれは僕らの泣き所。高さのない杏佳の背後は弱点だ。

 ああ、でも届くかな、ギリギリだな。杏佳は、ネット真ん中まで飛び出してきて、だけと球が上に来たから二歩くらい後ろに下がりつつ、大きく跳ねた。


 おお、いい! 白い脚が大きく開かれながら宙を舞い、スコートがめくれあがってパンツ全開! これは久しぶりに見た、テニスの妖精。まさにバタフライ! 

杏佳、決めろ!


 杏佳は、スマッシュをがら空きの逆クロスに放ち、だけど不十分な態勢だったのであまりスピードはなく、相手ペアが必死に追いかけたけど、ボールはスローモーションのように、ゆっくりとその間を抜けていった。ナイスコントロール。お見事。

 

 ゲームセット&マッチバイ 奈良、吉崎ペア。スコア八―三。

 今年度の府中市ミックスダブルス王者は、僕たちだ。おめでとう、初タイトル!

 僕は「やったー!」って、杏佳に駆け寄ってハイタッチ。そして汗びっしょりだったけど、しっかりと抱き合って、頭を撫でてあげた。


五 「お待たせー」と言いながら、杏佳が女子ロッカーから出てきた。

 濃いブルーデニムのホットパンツにアンクルストラップの白いヒールサンダル。上は、タイトで丈の短い白Tシャツ。形の良い豊かな胸が盛り上がって、綺麗な縦長のおへそが見えてる。栗色の髪はポニテのまま。あと、濃いめのピンクのペティキュアがいいね。色っぽい。

「体育館と併設のテニスコートだと、シャワーが使えていいわね」

「ホント、ホント。汗びしゃびしゃで帰るの嫌だもんな」

「それじゃ、どこかのファミレスで打ち上げしようか。いこ!」


 一階からエレベーターで地下駐車場に降りたところで、杏佳が、

「ねえ、また抱っこしてよ、抱っこー。顔が遠いのよー」って言ってきた。僕は、

「お安い御用。任せろ。今日はボールのカゴ持ってないから、忘れる心配もないしな」って言いながら、杏佳の背中と膝下に手を回し、ヒョイと持ち上げた。

 筋トレ始めたせいもあるけど、いやー、軽いな。四〇㎏ないかもしれない。あれ? ちょっとメイクしてる? 漆黒の細い眉を綺麗に引いて、小ぶりなピンクの唇もルージュでツヤっと光ってる。ちょっと日焼けした白い脚も、シャワー浴びて何かスプレーしたのかな、さらさらすべすべになってて、腕に心地いい。

 

 杏佳は、僕を見上げて、顔を綻ばせ、「裕、初タイトルなんだね。おめでとう」って言ってきた。

「ありがとう。今日は杏佳の活躍に助けられた。市民戦のミックスが初タイトルなんて、なかなかに渋い感じだな」

「ふふ、私、裕の初めて、頂いちゃった」

「なんか、ヤラシイ言い回しだなー」

「だって本当のことじゃないの」

「はは、まあそうだな。初タイトルを杏佳と一緒に獲れてよかったよ。楽しかった。また出たいな」

「そうね。私もすごく楽しかった。ミックスって色々独特だけど楽しいわよね。来年もタイトル防衛しよう」

「うん。来年も、その先も、ずっと杏佳と一緒にいたいな」

「うん。私もそうよ。ずっと裕と一緒にいたい。二人で努力して上手くやっていこうね。たまに喧嘩とかするかもだけど」

「そうだな。俺も頑張るよ」


 そしたら、杏佳が、「‥‥‥ねえ、先週お預けになってた、ご褒美のことなんだけど」って言いながら、僕の眼を覗き込んできた。すごく近い。杏佳の大きな黒い瞳に、僕の眼が映りこんでいる。

「ああ、『精神的な活動』だったっけ?」

「そう、それ。今日、優勝できたから、ご褒美あげるね」って言って、でも、杏佳は眼を逸らせて一呼吸おいてから、僕に向き直り、

「‥‥‥私の、初めてよ。どうぞ。召し上がれ」って言いながら、花のように微笑み、そして、そっと静かに、長く黒い睫毛を伏せた。

 ああ、頂いていいんだな。それじゃ遠慮なく。

 僕も、杏佳の綺麗なピンクの唇にそっと顔を近づける。


 静かに唇が触れた。杏佳が一瞬ピクってなる。杏佳の唇はとても柔らかい、なんかいい匂いがする。そしたら、杏佳が僕の顔を両手でそっと挟んで、強く口づけてきた。僕もそれに応え、二人は、とても長く、深く、激しい口づけを交わすことになった。強く抱き合いながら、何度も何度も口づけを交わし、そして、僕たちはおでこを合わせて見つめ合って、細く息を吐いた。


 杏佳は、僕の眼を見つめながら、

「ずいぶん大胆なファーストキスになっちゃった。‥‥‥裕も初めてなんだよね」

「えー、どうだろ?」

「な、何ですってー!」

「はは、冗談冗談。初めてが杏佳でホントによかったよ」

「やめてよー、そういうの。今度そんなこと言ったら許さないわよ!」って、杏佳が綺麗に引いた柳眉を逆立てて睨んできた。まあ、なんて可愛いんでしょう。


 さて、ちょっと名残惜しいけど、打ち上げ行くか、ということで車に乗り込んだら、杏佳がなかなか車を出さないので、どうしたのかと思ったら、腿に両手を挟んでモジモジしながら、横目で僕を見上げ、

「ねえ‥‥‥、さっきのね、おかわり頂戴‥‥‥。とっても素敵だったの。表に出たらもう今日はできないから」って白い頬を紅に染めて、恥ずかしそうに言ってきた。

「お前も食いしん坊だなー。はは、『キスミーモア』か。積極的でいいな」って言いながら、僕は杏佳の顔に手を添えて、そっと顔を近づけ、再び、優しく唇を重ねた。お、しかし、さっきと違って両手が自由だぞ。これは、やはり、思い切ってあれか? でも怒るかな? 僕は、キスしながら、こそっと左手を杏佳の右胸に回し、そっと、ためらいがちに、おずおずと、触れてみた。


「ちょっ! あんた、何てことすんのよ!」 うわー、怒ったー。

「ああ、ごめーん。嫌だった? やっぱりそうだよな」ってて即座に謝ったら、杏佳は、

「‥‥‥ううん、まさか、嫌なわけないでしょ? ただ、びっくりしただけ。急に触ってくるんだもん。こういうのまだ慣れてないから‥‥‥」って、瞳を伏せてつぶやいた後、僕に向き直って、「でも、裕なら、私、いいよ。ご褒美のおかわりあげる。好きにしていいよ。胸だけじゃなくて、私の心の奥まで触れてきて‥‥‥」って言いながら、顔を近づけ、僕の左手を持って、そっと右胸に乗せてくれた。


 僕は、また杏佳と深い口づけを交わしながら、杏佳の素敵な胸を堪能させて貰った。杏佳が、思わず、細い吐息を漏らしながら、「あっ!」「んんっ」「だめ‥‥‥」って可愛い声をあげる。杏佳の胸は、手の平に収まらないくらい大きくて、ツンって尖ってて高さがあって形がよくて、そしてとても柔らかかった。甘いお菓子みたいな胸だった。ポヨン? プルン? ああ、いつまでも触っていたい。


 しかし、そういうわけにもいかず、しばらくして杏佳が顔を離し、鼻にかかった色っぽい声色で、「はい、今日はもうこのくらいね。なんか、思ってたよりずっと大胆になっちゃった。ずっとこうしてたいけど、またいくらも機会あるよ」って、僕に抱き着いて耳元でささやいてきた。

「うん。そうだな。杏佳、ありがとう。とっても甘美な体験だった。いい思い出になった‥‥‥が!」

「が?」

「例によって血流が局所に集中していてな、もはやずきずきと痛いくらいなんだ。どうすんだよ、これ」

「し、知らないわよ! 自分で何とかしなさいよ」

「またそれか。だけど、ホントにあとで何とかするぞ。旺盛な想像力の翼が羽ばたくぞ。いいのか?」

「‥‥‥い、いいわよ。あんたも男の子だからね。許してあげる。その代わり、私のことだけ考えるのよ。よその女なんてもってのほかよ」

「お許しが出ましたー! では、是非そうさせて頂きます!」


 そしたら、杏佳がおでこを僕の胸にくっつけて、小さな、消え入りそうな声で、

「でもね、この先は、もうちょっと待ってね。私も裕とそうなりたいけど、やっぱりまだ怖いから。こんなに急に、深く、誰かを好きになったの初めてだから怖いの。だから、そういう勢いだけじゃなくて、ちゃんと、穏やかで、安定して、お互いが理解して納得してから、裕としたいのね。だから、必ず、私を裕にあげるけど、もうちょっとだけ我慢してね‥‥‥」ってささやいてくれた。


「もちろん、待つよ。急ぐ必要なんてない。お前が、『今がそうだ』って思えるまで待つ。二人にとって大事なことだもんな」

「うん。ありがとう。ごめんね。‥‥‥さ! じゃ、いこ! 今日は二人の初タイトルとファーストキスの記念日だ!」

「イエー! レッツゴー! すき家でいいぜー。腹減った、特盛で食べよう!」

「‥‥‥私は並盛とプリンでいいわよ」

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