異世界での初戦闘

「お前達、行くぞ」


「はい主様」


俺達は歩き出した。 


「お待ちください!」


犬の獣人が俺を呼び止めた。


そして、振り返ってみると、千五百七十八人が跪いていた。


「私達は、貴方の国、「オーバーローズ支配者の国」を預からせて貰う故、お見送りさせて貰います。そして、私達に居場所を下さり、ありがとう御座いました!」


「「「「ありがとう御座いました!」」」」


俺は微笑み、安心した。

全員あんなに苦しんで絶望の顔をしていたのが、今はとても生き生きしている。


「あぁ、好きにして良い。その代わり、「オーバーローズ」の管理を頼む」


「「「はっ!」」」


まさか、こんな形で自分の国を手に入れるとは…。


まぁ、救えてよかった。


……人間もいたな。魔王、到底許せる奴じゃなさそうだ。


俺達は飛行艇に戻り乗り込んだ。


まずは…目標とするのは、魔国ヴィーダの占拠、支配だな。

シリウス達も魔王には借りがあるだろうし、なるべく早く俺も魔王を倒したい。


俺は飛行艇に乗った後、カノープスに流水操作で作った薄いピンク色のロングパーカー、ズボン、ブーツ、手袋、俺と同じシャツを用意した。


そして、カノープスに「靴」の事を話したら難なくやりこなした。


嘘だろ…。


それを見て負けずとシリウスも成功させやがった。


俺に出来ないのになんで?


《魔力操作に慣れているからです。マスターもいずれか慣れますので、ご安心を》


そうだと良いけど…。


《否、コピーする事は可能ですが、自己装備変更はオススメしません。》


なんで?別に出来るんじゃないの?


《コピーした物を装備すると、防御力が低下する場合ごあります。最初から装備している場合は大丈夫ですが、マスターは、装備してから約二日経っているので、オススメしません。》


まじかよ…、まぁいいや、いつか自分でやろう。


でもコピーは、しておくよ、頼む。


理由は、これから増える仲間が来た時に装備させれば女だから少しだがオシャレにはなるだろう。


俺は毎日塾に行っていると言ったが、陰キャの真面目ちゃんじゃない。

クラスの権力をとるために全力で陽キャになり、それで女子との交流は深い方な訳だ。


だからデートとかもよく行っていた。だから、女子には紳士的な態度や行動をとっていた。

それが今でも身についているから、無意識でもそうするようになっている。


すると、爆撃音のような爆音が鳴る。


「「「っ……?!」」」


ふふ…なるほど、此方の世界に来てからの初戦闘…試したい事が沢山あるんだ。楽しみだな!


「主様、ここは私に」


「いや、いい。ここは私が行こう」


「ですが主君様…」


「大丈夫だ。お前達はこの飛行艇の管理を頼む」


「「承知しました」」


せっかくの楽しみを仲間に悪いが譲れない。


俺は飛行艇から飛び降りた。


「さぁ!何処まで強いか試してやろう!」


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


森の中、厳つい男十人が黄色の髪で髪型セミロング、黄色の尻尾をした猫の獣人を追いかけている。


「ひっひっひー…こりゃ上物だぜ、軽く三万ゴールドはいくぜ?」


「それじゃあさっさと捕まえて帰りましょうぜ?兄貴」


「あぁ、そう…」


その時、木の上から炎に包まれた刀、水に包まれた刀を持ち、黒い服を着た男が飛んできた。


その男は、「へへへ…」っと微笑んでいる。


「お、お前!誰だ!」


「あ?あぁ、名乗るほどの者じゃないよ…もうすぐ皆死ぬんだから…」


「「「「うわぁぁぁ!!!!!」」」」


俺は、さっきの話を聞いたところ奴隷売り?を切り刻んだ。

腕を切断したり、足を切り、頭を切り込み。


刀、ただの剣じゃなく、切るに特化した武器、この世界でも使えるとは思わなかったな。


俺は流水武装で作った刀と、火焔武装で作った刀を使い、奴隷売りを切り刻む。


そして、俺はわざと、感知系スキルを無効化させた。


「へ!後ががら空きだぜ!死ねぇぇ!!」


奴隷売りが俺のことを切る。


が、ゴツン!っという音を立て、剣を弾く。


そして、奴隷売りの顔の真横に剣が向かう。


「いやぁ、危ない危ない、もう少しで自分の剣が顔に刺さるとこだったね?」


俺はこの魔力水の耐久性を試した。


実験は成功!無事に硬化も出来た。次は…再生と形状変化!

剣が当たった所に少しの傷跡があり、俺はそれを直す。


「ひ、ひぃぃぃ……」


「それじゃ、バイバイ!」


俺は服を触手のように操作し、先を尖らせ、硬くし、奴隷売りに刺す。


そして、何故俺がこんな狂気にまみれているかというと、感知スキルを無効化させる前に気づいた事は、監視役みたいな者が居ることだった。そいつにトラウマを植え付けるためだ。


…なんて真似をするのは辞めて、ただ単に真剣での初戦闘に喜んで脳汁が溢れ出過ぎているからだ。勿論、トラウマを植え付けるのもあるぜ?


で、多分監視役みたいな奴は、あの猫獣人が逃げた方に先回りするみたいな感じだったのだろう。


「主様、此方は終わりました」


「ん?シリウス、お前は待っておけと言っただろう?」


「すいません、ですが、主様が気づいていないと思い、抜け出させて貰いました」


自分で無効化させてただけだけど…。


「まぁ、良い。所で、カノープスは?疾風はどうした」


「現在カノープスが疾風を管理しております。どうにか説得して、待たせておきました。」


説得?シリウスとカノープスは犬猿の仲なのにどうやって?


「そこで、戻ったら褒美をあげてやれないですかね…?」


あーなるほど、つまり待っとけば褒美が貰えるみたいな感じだったのだろう。


「…まぁ、分かった」


「ありがとう御座います」


「所で…」


猫獣人は、ビク!っと戦闘態勢に入る。


「お前は誰だ?」


「私に名は無い!」


猫が威嚇する鳴き声を出しながら答える。


「ほう、で、何処から来た」


「喋る筋合いは無い!」


なかなか説得の出来ない奴だな……。


こうなったら…。


「はぁ…なら、もう一度聞こう。お前は、何処から来た?」


俺は、魔力を全開にオーラと変え、外に出す。


「っ……………!」


あれ?少しやり過ぎた?


「…すいませんでした…ここまでの強さとは分からず」


あ、良かった。答えてくれた。


「良い、まずはその傷を治してやろう」


「……?傷を治す?」


「回復魔法発動、対象は猫」


その時、猫獣人の体が緑に光り出す。


「っ……!?こんな魔法…見たことない」


「…の気持、分かります。これで主様の偉大さが分かりましたか?」


シリウスが何故か共感さしている。


ん?回復魔法ってそんな稀少なの?

ゲームとかだったら普通に使えたのに。


「で、何処から?」


「…私は白猫族の最後の一人、私達の居た集落は魔王の手によって滅ぼされた…」


また魔王…なんでこんな魔王魔王って、正直聞き飽きた。


「なるほど、行く当ては?」


「ないです…。あの…良ければ、良ければですよ?私を拾ってくれませんか?」


「その事を言おうとしていた所だ。良かろう。それでは私も名乗らねばな。我々はシステムローズ!この世界の支配統一を目的とした組織だ。そして我が名はガヴァ・ノート!」


「私はシステムローズ一等星シリウスです」


「そして、お前を拾うか否かの話だが、その話飲もう」


「ほ、本当ですか?!」


「あぁ、それでは、名を与える。お前の名はアルファード!

システムローズ三等星に任命する!」


「分かりました。この日、このご恩、一生忘れることはありません。ノート様」


アルファードが跪いて言った。


そして、俺は黄蘗色のロングパーカー、ズボン、手袋、靴、そして、俺と同じシャツを装備させる。


「こ、これは…!」


「戦闘服だ。システムローズに入ったなら、贈り物ギフトとしてこれをやろう」


「っ……!ありがとう御座います!」


その後、俺達は飛行艇に戻った。


アルファードは中々シリウスやカノープスなどの目上の者に忠誠心が強く、先輩後輩がはっきりしている。


冷たい所があるが、まぁ、猫だからしょうがないとする。

そして、カノープスの褒美の件だが…。


お洒落用の私服をプレゼントした。

他の奴等も可哀想だったから、カノープスに秘密でプレゼントした。


さてと、仲間が増えてきた。この調子で後二人は欲しいな!

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