支配者が統べる領土
あのさシルフィード。
《はい?》
《それは無理です。》
なんで?
《
なるほど、女神が所有物しているから無理なのか。
まぁ、支配すればいい話。ここは我慢だ。
取りあえず移動しよう。
同じ所へ居ても面白くない。
「さぁ、シリウス。出発だ。この場所から離れて悔いはないな?」
「当たり前です。主様が行く場所へなら、何処までも」
俺は、風操作と、船をシルフィードにより操作して進み出す。
取りあえずあの雪山とか面白そうだな。
そういえば魔法とかやったことなかったな。
《デバフスキルにより、詠唱が出来ません。》
………は?
つまり使えないって事?
《はい。》
……うそーん。
って言うかデバフスキルって何!?
《
ま…じ?
はぁ、ここに来てハズレを引いた…。
《エクストラスキル「風操作」を使い、波動を作成し、詠唱を実行せず魔法を使えます。風操作による波動作成を実行しますか?》
なるほど、便利だな。よろしく頼む!
《波動作成を実行しました。波動作成を実行したことにより、エクストラスキル「波動操作」を獲得しました。波動による魔法の詠唱を実行しますか?》
魔法か、どんな魔法今の所使えるの?
《火焔魔法、流水魔法、波動魔法、風魔法、結界魔法、空間魔法、回復魔法の七つです。》
結構種類ある…って俺こんな獲得した覚え無いけど。
《風操作や火焔操作、流水操作の応用です。空間魔法は、空間感知の応用です。》
そんなもので手に入るんだ、結構楽だな。
それじゃあ風魔法のオススメで!
《風魔法を発動、
その時、凄い速度でこの飛行艇、疾風が雪山の方に飛んだ。
「こ、これは」
「私の魔法だ」
「唱えているように見えませんでしたが…」
「私は詠唱を必要としないのだ」
「なるほど…流石主様ですね!」
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
そうして俺達は雪山の
勿論、結界魔法で飛行艇を隠してね。
「ん?なんだアレは」
「狐…のようです」
俺は狐に手を置く。
死んでるのか?
《白竜シリウスの時と同じで、脳や心臓は生きています。
この狐は
それじゃあ回復魔法で起きるかな。
「回復魔法発動、対象は、狐珀」
そして、狐珀の体が緑色に光り出した。
「……?っ………!?」
狐は驚き、立ち上がった後、後に下がる。
「貴方達は誰?!」
「無礼者!主様にそのような!」
「まぁ良いのだ、きっと混乱しているのであろう」
「ですが…!」
「シリウス!」
俺はシリウスに圧倒的な圧をかける。
「っ…!…すいません」
まだ俺と会って一日位しか経ってないのに、そんなに俺の事慕ってるのか?
そんなに回復魔法をかけて仲間になったくらいでそこまで慕ってくれるとは思わなかったな。
魔王に捨てられたとか色々いってたけど、そこまで深かったのだろうか?捨てられるだけでもまぁまぁ深いけど、それだったらここまで慕わないだろうし。
まぁ、いつか聞こう。
「さっきはすまなかった。所で、どこから?」
「先に貴方達は?」
「おっと、すまないな、人に聞く前に自分から名乗るのが礼儀だな」
「我々はシステムローズ!この縛られし世界を解放する者である。そして、我が名はガヴァ・ノート」
「私は、システムローズ一等星、シリウスです。先程は失礼しました」
「……悪い人じゃない?」
「あぁ、まぁ、人類にとっては敵かもな。後、魔王も」
「っ……!…魔王が敵ってどういう事?」
「私は自由を求めている、シリウスもである。シリウスは、魔王に捨てられた、魔物のルールと言う物に縛られてな…」
「っ……!魔王、魔王に捨てられた!?」
狐は人型になり、シリウスの肩をつかむ。
「ねぇ、何処?本部?前線部隊?それとも…」
「ほ、本部だけど、貴方、もしかして…」
「ええ、私も捨てられた…」
「お前達は知り合いか?」
「いいえ、話したことも、会ったこともないです」
「…貴方私達はどうして捨てられたか知ってる?」
「いいえ、全く。急に出て行けと言われて…」
「魔王軍は、食料や資材不足で、私達の住む場所や食料がなくなっていたの。そこで、使える人材と男だけ残して、私達女性の兵隊達は追放されたわ」
シリウスは、驚いた。
「そ、そんな…それではまるで…」
「そう…捨て駒よ…」
そうか…シリウスが俺に慕い深い理由が分かった。
「…狐、お前も来るか?」
「来るって?」
「私達の目的はこの世界の支配統一、仲間が必要である。居場所がないなら私達と共に世界を見ようではないか」
「狐珀よ、貴方を救ったのは我が主様ですよ?」
「……え?…貴方が…私を?」
「あぁ、回復魔法をかけただけだがな」
「え?…てっきり自分で…って、自動回復が切れてる!?それじゃあ、本当に…」
狐は、今まで優しくされた事がなかった。
狐は、自分の幼少期のころの扱いを思い出す。
酷く、ゴミのように扱われていた日々を。
「分かりました、貴方を私の主君と認めます」
「そうか、ならば名を与えよう。お前の名は「カノープス」だ。そして、システムローズ二等星に任命する」
「はい、主君様の右腕として」
「ちょっと待ちなさい、右腕はこの私よ!二等星が勤まる訳がないでしょ!」
「あら?一等星でも実力が無かったら勤まる訳がありませんよ?」
「なんですって?」
シリウスとカノープスが魔力のオーラを出し合い圧をかけている。
「辞めろ!無駄な争いは魔力の無駄だ!」
「「っ……!…すいません」」
「所で主君様、お願いが御座います」
「なんだ?」
「あの…無理かもしれませんが…先に見ていただいた方がよいかと」
「分かった、案内しろ」
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
俺達は雪道を歩いた。
「ここです」
「っ…!これは…」
シリウスは驚愕する。
「ここに居る者は全て、魔王に捨てられた者達です。その数、千五百七十八人」
渓谷の中にあり、大樹がある大穴、そこに千五百七十八人の魔王に捨てられた者達が居た。
「……酷いな…」
俺は負傷したり、死にかけている者達を見て言葉を失った中、見つけた言葉は一つ、「酷い」だけだった。
魔王の部下だったとしても、女だぞ!?
こんな扱いは…酷すぎる!
俺は久しぶりに怒った。
俺はオーラをまき散らした。
「お願いです…この者達を助けて下さい!これでも…仲間なんです!」
カノープスは泣きながら俺に言った。
祈るように、そして、願うように。
「…分かった。回復魔法発動!ここに居る者全てだ!」
そして、緑の光に、ここに居る全ての者が包まれた。
「あれ?傷が…」
「毒が…無くなってる!?」
魔王に捨てられし者達は、感激や感動の声を上げる。
「平伏せよ!」
カノープスが大声を上げる。
「「「「!?」」」」
「お前達全員を助けたのはこの方、ガヴァ・ノート様である!」
俺は前に出る。
「貴方が私達を救ってくださったのですか?」
「あぁ、そうだ。そこでお前達に提案がある。私は魔王のようにお前達を捨てたりはしない。その代わり、私の夢、いや、私達の夢を共に叶えようではないか!」
「夢、ですか?」
「そうだ、それは、この世界の支配統一である。私について行くのであれば、居場所を与えよう。別に付いてこなくてもよいが、その場合は何も与えない。信用があるなら付いてくるが良い!」
「居場所を…くれるのですか?」
「あぁ、与えよう。出来れば私は、お前達全員を助けたい」
その瞬間、周りは歓声に溢れた。
解放された物達は、改めてガヴァ・ノートという人物に感激した。
「私達の選択は、貴方様に付いていく以外にありません!」
「現に貴方様は私達を救ってくださいました。その上、居場所を与えて下さるなんて…」
シリウス達と同じ事を言っている…。
そこまで酷い仕打ちを…。
思うだけで腹が立つ!
心の底から久しぶりの怒りの感情を抱いたノートは、こぶしを深く、深く握りしめた。
何故ここまで「居場所を与えよう」などを言っているかというと、ただの仲間集めの為じゃない。
俺は、元の世界に居る頃、孤児だった。
覚えているのは、酷く扱われたこと。
酔っ払いに殴られたり、ヤンキーに蹴られたり。
それだけだった。
そして、疾空家に救われた事だった。
拾われたのは、四歳の頃だった。
まだその頃俺は善悪のつけ方がままらなかったから、父さんと母さんにはすぐに馴染んだ。
まぁ、馬鹿だったと言うのもある。俺が本気を出したのは小一の頃だったからな。
だから、同じ用な人を見ると、無償に助けたくなる。
「ここを一つの国とする。この渓谷全てを支配するのだ。そして、お前達の居場所はここだ。この国「オーバーローズ」をお前達に与える」
俺は操作系魔法を最大限に使い、家や畑などを約五分で作り上げた。
「はぁ、はぁ、疲れた…」
俺の国民は感激し、歓喜の声を上げた。
これが、俺の初めての支配した国、自国「オーバーローズ」なのであった。
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