第2話 暮らしはゆっくりと・・。
この辺境村に暮らしてから1ヶ月が経った。
朝早起きして、父さんと母さんの農作業の手伝いをする。
僕はまだ八歳だから、手伝うことが少ない。
でも、僕の面倒を見てくれるココお姉ちゃんとミランおじさんの親子が通いでうちに来てくれるんだ。
ミランおじさんからは文字や数字のお勉強をして、ココお姉ちゃんとは一緒にお料理の手伝いをするのが僕の日課になってるんだ。
「そうそうニドぼっちゃ・・じゃない!ニドくん上手くなってるねえ・・。」
僕はココお姉ちゃんからパンケーキの作り方を教わってるところ。
ふわふわのパンケーキを作るのが今の僕の目標なのだ!!
貴族から村民になった僕たちは最初は全然慣れなかったし、今も慣れていないけれど、ゆっくりと慣れていけばいいよね。と話してる。
そして元領民や元使用人の力を借りて少しずつ少しずつ農作業とかも父さんと母さんがやり始めて、二人とも農作業の奥深さにハマってしまっているみたいだ。
晴耕雨読という言葉がある通り。晴れたら畑を耕して、雨が降ったら家で読書をしたり刺繍をしたり、文字が読めない村民たちに文字を教えたり、計算を教えたりするそんな平和な日々があるのを僕は神様に感謝したくなった。
「神様・・。この平和な暮らしがずっと続きますように・・。」
僕はリリアンヌの森へ向かう。このリリアンヌの森、ある貴族のご先祖様が買った森らしい。
このリリアンヌの森。一年前までは昼間でも魔物が多く活動しているらしくって、この村の人たち誰も近寄らなかったみたいなんだ。
それが一年前に、この森の所有者の子孫の方が住むようになってから、魔物がいなくなったらしく、今では村民の憩いの場として森を自由に散策できるようになってるみたい。
森の所有者の関係者さんが来て、村長さんに今度この村に大変迷惑をかけるかもしれないので、この森を自由に使ってくださいと言ってくれたらしい。
森を自由に使ってくれって、リリアンヌの森の所有者さんって太っ腹だね。
とか考えことをしてたら、あれ??ココどこだろう??
ってリリアンヌの森だよ!
リリアンヌの森だけど・・、帰り道がわからなくなっちゃった。
どうしよう・・。どうしよう・・。どうしよう・・。
やばいやばいやばいやばい・・・。
僕はその場で座ってギャン泣きをしてしまった。
グス・・グス・・グス・・グス・・・グスン。
泣いたら疲れちゃった。
「大丈夫?」
僕は声の方に顔を向ける。
うわあ・・。何て美しい人なんだろう。
「僕・・。」
「そう・・迷子になってしまったのね。あなたはあそこの村の子なのかしら」
「うん。」
「あそこの村へ行くなら・・くぐりなさい。村へ着くわ。」
美しいその人が指さしたところに大きい円ができていた。
「この円を潜れば森に着く??」
「ええ・・。着くわ。さあお行きなさい。」
僕はうなづいてその円を潜った。
潜った先は僕の家の玄関の前だった。
家の玄関の前に着いたら僕は何かを忘れたような感覚になったけど、
何かを忘れたのを忘れてしまった。
僕はなぜか安心して「ただいまー」と言って家に入って行った。
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