第35話 ムカデ:噛まれた話で盛り上がる。

 次の日。

 腫れはまだ引いてなくて、だいぶ痛い。

 乳首はいまだアタマを出したままである。

 学校に行くためブラをすると、どうにも擦れてしまい痛い。だから、柔らかい生地のスポブラをすることにした…のだが。

 セイコの持ち物はものすごくデカい。

 朋美を呼びに行く途中、歩いていると、いつもと違う挙動がものすごく気になった。保持力が弱いため、どうしてもノーブラに近い動きをしてしまう。


 これじゃノーブラと勘違いされて、いつも以上に男子から見られまくるよね?


 ちょっと考えただけでも今後の展開が分かってしまう。

 セイコは胸に情け容赦なくブッ刺さる男子からの視線が大嫌いで、もはやアレルギーといってもおかしくないほど敏感なのだ。

 不快な視線はできるだけ浴びたくない。

 原因になると思われることはできるだけ無くしておいた方がいい。


 やっぱ替えよ。今、この瞬間にも登校中の男子に気付かれるかもしれんし。


 回れ右すると早歩き。←走ると擦れて痛い

 朋美と遥花には「ちょっと遅くなるき待っちょって」と連絡を入れた。


 家に戻る途中、作戦を練る。


 どげんしたら擦れん?なんか貼る?貼るとしたら…そうだ!バンドエイド!膝とかに貼る四角いヤツやったら先っぽだけなら隠れるよね?よし!この手でいこう!


 なかなかの名案を思い付いたところで家に到着。



 玄関の戸が開く音がしたので母親が出てくる。


「あら?どげんしたんね?」


 当然の如く聞かれるから、


「男の視線が好かんき帰ってきた。」


 何のことかすぐに理解した。娘の苦悩は痛いほどわかっているので、


「ふうん。急がな遅刻するよ?」


 孝満が直に絡んでない時はそれ以上のことは言わない。


「わかっちょー!」


 と言って部屋に駆け込んでいくセイコ。

 途中、救急箱からお目当てのバンドエイドを持っていく。

 上半身スッポンポンになり、バンドエイドの剥離紙を剥ぐとガーゼの部分に病院でもらった薬を塗る。

 そして出っ放しになってしまっている乳首に貼った。


 色素が濃い部分の方がバンドエイドよりも明らかにデカいため、


 うゎ~…乳輪の方がだいぶんおっきいやん。


 ショックを受けた。

 しかし今はそんなことにショックを受け、落ち込んでいる場合じゃない。

 ソッコー服着て二人には「今から家出る」と連絡を入れ、出直した。




 朋美の家に着くと、既に外に出て待っていた。


「どげんしたん?うんこのキレが悪いで拭くのに時間かかった?」


 当然の如く聞かれる。しかも、いらん理由まで付け加えられて。


「もぉ!なんでよ!」


 否定しつつ遥花の家に向かう途中、


「き、昨日ね、ウチね、む、ムカデ出たん。」


 遅れた理由を話す。


「あ~…今、時期やもんね。ウチもこの前出たばい。」


 ムカデネタで盛り上がっているところで遥花の家に到着。

 遥花も外にいた。


「ごめーん。遅くなった。」


 謝ると、


「どげんしたん?うんこのキレが悪かった?何回拭いてもちり紙に付きよったとか?」


 朋美と全く同じことを言ってきた。


「い、いや、違うん。き、昨日ね、ムカデが出てね。っちゆーか、ウチ、そげんうんこ切れにくいキャラ?朋からも言われたよ?」


「うん。何かセーシ、見るからにうんこ切れにくそうやし。」


「い、意味わからん。」


「ムカデ、この時期出るよね~。」


「それっちゃ。ウチも食いつかれたっちゃが。」


「ま、マジで?どこ?」


 どうやら遥花も噛まれたらしい。

 自分だけじゃなかったことが嬉しくて聞いてみると、とんでもないところを指さした。

 それは…


「ここ。たまらんっちゃき。暑いきトランクスみたいなヒラヒラしたパンツ穿いて寝ちょったら、マン●、ヂク~っち。ビックリして飛び起きたらビラビラ噛まれちょったきね~。泣いたよ。」


 小陰唇だった。


「マジでか!」


「そ、そらーたまらんね。」


「もう彼氏に噛まれちょーき、始めては奪わせんやったけどね。でも噛まれた方はまだびみょーに分厚い。いっつもはほぼ左右対称なんやけど、今は非対称。チ●ポ入れられたらビミョーに左側巻きこむっちゃ。」


 なんか…モーレツに生々しい。が、見栄である。挿入はしたことあるが彼氏ではなくて電気仕掛けのコケシだ。

 そのことは二人とも知っているので、


「ウソゆーな!お前、オトコやらおらんやんか!」


「お、オモチャやろーもん。」


 思い切りツッコまれる。


「まぁ、そーなんやけどね。で、セーシは?どこ噛まれた?」


「う、ウチはね、足の親指と…。」


 一瞬躊躇して、


「ここ。」


 右の乳首を指さすと、


「マジでか。やっぱそこか~。セイコ、デケーもんね。そーいやお前、陥没やったろー?っちゆーことは今、アタマ出しちょーん?」


「う、うん。い、今、出っ放し。ぶ、ブラしたら擦れて痛いきね、ば、絆創膏貼っちょーっちゃ。スポブラのがね、痛くないきね、それで来よったっちゃけど、お、男が見まくるのイヤやきね、替えに帰ったらね、遅くなったんよ。」


「それが正解よ。」


「お前、スポブラやったらでったん揺れるもんね。あ~あ。ムカデに先越されたやん。」


「え?何が?」


「こーまんに噛まれたかったのにね。」


「!!!」


 まさかの言葉に動揺が隠せなかった。

 一気に顔が真っ赤っか。


 なんで?一言もゆってないのに、何でバレちょーん?


 納得いかない。

 いつバレたのかと考えていたら、


「お前、納得いかんげな顔しちょーばってんがくさ。はっきしゆってバレバレぞ?」

 訳:納得いかない顔してるけどさ


「隠しちょーつもりやったん?今も顔、真っ赤ぞ?」


 だそうで。

 モロバレだった。

 流石に恥ずかしくなって、


「………。」


 黙り込んでしまう。

 このまま黙秘を続けようとしたけど、


「結構前からやろ?」


「一年のゴールデンウィーク明け辺りには既に怪しかったもんね。」


 ハナシはまだ続くようで。

 それにしてもほぼ100%当たっている。


 そんなことまでも!


 大正解なだけに、エライ恥ずかしい。

 そして、何もかも知っているらしい二人の得意げな顔がなんとも憎たらしい。

 でも、


「はよ、くっ付け。」


「お前が好きっちゆったら一撃やろーもん?」


 ちゃんと応援はしてくれているようで。

 嬉しくなって反射的に「うん」と返事しそうになったけど、やはりそこは恥ずかしい。

 誤魔化すために、


「べ、べ、べ、別に好きじゃないし!」


 ちょっとだけ強がってみた。

 すると、


「ふーん。じゃ、他の女と付き合ったら?例えばハルとか菜桜とか渓とか。」


 北小出身組のいちばんのキレイどころを出されてしまい、


 タカくんと一緒に並んで歩くハルとか菜桜とか渓とか。

 タカくんに抱かれるハルとか菜桜とか渓とか。


 強制的に具体的な場面を思い浮かべてしまう。

 それだけで簡単に涙が溢れそうになった。


 ウソ?マジで?ウチ、こげんも好いちょーん?

 訳:こんなにも好きなの?


 まさかの反応に焦りまくる。

 表情の変化をソッコー読み取った幼馴染たちは、


 あ、ヤベ!これ以上煽ったら泣くね。


 アイコンタクトでやり取りし、からかうのを止めた。




 数日後。

 噛まれたところは痛くなくなった。が、痒くなったので掻いていると、


 …んっ…


 どうにも色っぽい声が漏れてしまう。

 というのも、乳首は第一級の性感帯で、とても感じやすい。

 気が済むまで掻いて痒みが治まった頃には噛まれなかった方もアタマを出していた。

 その快感はもれなく下半身の敏感なトコロへと伝わってゆく。

 掻いた刺激で徐々に大きくなり、包皮を押しのけ出てしまったクリ。

 そっと触ってみると、ピクン!と脈打ち、穴がキュッと閉まる。

 既に透明な汁も溢れはじめている。

 中指の腹に汁をすくい取り、そっと転がすと、


 あ~ん、もぉ…したくなってしまったやん。


 臨戦態勢が整ってしまい、止められない止まらない状態に。

 とめどなく溢れだす、汁。

 仲指ですくい取って穴に突っ込むと、ひときわ強く締め込んだ。

 関節一つ分。感触が違う部分を重点的に刺激すると、動きに合わせ腰が跳ねる。

 満足のいくまで弄ると、ひときわ大きく体が仰け反りフィニッシュ。

 

 この現象は痒みが完全に治まるまで続くことになる。

 回数がいつもの倍に達していたことは秘密だ。

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