第26話 「好き」が、バレた!

 片思いだったり、セイコの愛だけが大き過ぎるのならあまりにも不憫なので、「そん時はどげな感じで力になってやろうかな?」なんてことを話し合っていたりもしたのだけど、その前に。


 そもそもこーまんはセイコのこと、どんぐらい好きなんやろ?

 訳:どれくらい


 非常に気にはなっていた。

 朋美は、


「そーいや、こーまんっちセイコのこと、どれぐらい好いちょんやか?」

 訳:どれくらい好きなんだろ


 他のみんなに聞いてみる。

 すると遥花が、


「ブッ!」


 思い切り吹き出す。

 そして、


「ちょい前気付いたとばってんがくさ。アイツ、セイコが見よる以上に見まくりよーんやけど!」

 訳:ちょっと前気付いたんだけどさ


 笑いを堪えながら即答。

 既に気になっていたらしく、孝満の観察を始めていたのだ。


「何それ?っちゆーことは、両片想いっちコト?」


「多分ね。アイツのね、セイコが他の男と話しよー時の顔、でったんスゲーんよ?嫉妬し過ぎて人殺しみたいな顔になっちょーっちゃもん。」

 訳:人殺しみたいな顔になってんだもん


 葵もハルも、


「あの顔、そーとーウケるよね!この前、委員会の件かなんかで小路やら江古川と喋りよった時やろ?」


「そうそう。でもユキやら千尋こそでったん安全やろーもんねぇ?菜桜とか環たちと仲いいんやし。」


「でも、こーまん的にはそうはいかんっちゃないん?」


「そーなんやろーねー。お互い独占欲でったん強いみたいやもんね。」


「おんなし小学校やし、何なら釣りも一緒行きよーげな仲なんやき、ユキも千尋もどげなキャラか知っちょろーもん、ねー。」

 訳:釣りも一緒に行っているような仲なんだから


「それそれ。」


 その現場を目撃しているだけに、笑いが止まらない。


「マジでか!そっかー。ウチ、それは見ちょらんやったやー。何しよったっちゃろ?」

 訳:それは見てなかったなー。何してたんだろ?


「朋は委員会の用事か先生の呼び出しかでおらんやったき見てないよ。」

 訳:いなかったから見てないよ


「あ~…あん時か。」


「そうそう。」


 全く知らなかった。

 そんなことがあったたとは。

 是非ともその場面は見たかった。

 ともあれ、心配はいらなかったようだ。


「だきね、これっちほたっちょっても勝手に引っ付くっち思うっちゃん。」

 訳:ほったらかしていても


「なるほど。なら、ウチらは引っ付きやすいごとチョッカイかけよけばいいワケやね?」


「そうそう。これからも楽しんでイジリ倒そうぜ。」


 ものすごく面白いオモチャを手に入れてしまった幼馴染たち。

 これを機に「孝満セイコイジリ」が始まったのだ。




 それだけ分かりやすい孝満だから、


「じゃ~、今日は前の川ね。それはまぁいいとして。この頃気になることがあるっちゃんね。」

 訳:気になることがあるんだよね


「何?」


「ちょうど今おらんき言うけど、タカちゃんっち、木藤さんのこと好いちょーやろ?」

 訳:好きでしょ?


 極々自然に治朗から聞かれてしまう。

 鈍感過ぎる孝満は、


「へ?なんで?」


 真顔で治朗に聞き返す。

 すると、完全に呆れ果てた顔で、


「なんでっち…この頃でったん木藤さんの話するし、そん時のタカちゃんの顔、でったん嬉しそうなんやもん。」


 言い訳できないほどの指摘をされる。

 たしかに思い当る点は山ほどある。

 おかげで、


「へぁっ?」


 驚き過ぎて変な声を出してしまう。


「その驚き方はもしかして気付いちょらんやったんやね。実際モロ分かりばい?シゲちゃんたちもみ~んな言いよーし。」


 呆れ顔の治朗。


 つるんでいる幼馴染全員から気付かれていたとは!


 流石にこれは恥ずかしかった。


「いや…それは…」


 否定しようとするものの、思い当たる節しかない。

 もう認めるしかない。


 え~!オレ、木藤さんのコト、好きやったんやん!


 少し遅れて猛烈に顔が熱くなる。

 そして、無言。




 この様子は少し離れたところから遥花たちにシッカリ見られていた。

 顔を見合わせて、


「ほらね。」


「確定やん!」


「あ~あ。これ、セイコ知ったら大喜びなんにね。」


「勿体無いね。両想い確定なんにね。」


 苦笑するのだった。


 セイコはというと…ちょうど用事で職員室に呼び出され、席を外していた。

 こんなトコロはホントに持ってない女だったりする。

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