第17話 英語の授業
中学生になって初めて学ぶことになるのが英語。
これがまた厄介で。
小学生のころから英会話教室などに通っている子たちはまだいいとして、そうじゃない者達はかなりの確率で悪戦苦闘を強いられる。
最初にアルファベットを覚えるのだけど、既にそれが難しい。
大して覚えられちゃいないのに、本格的な文章へと移っていくものだから、かなり焦りを覚える。
孝満は、
木藤さんっちあんな見た目やし、やっぱ英語得意やったりするんやろーね。
文字を必死こいて覚えながら超絶目立つ金髪の後姿を眺めつつ、勝手にそんなことを考えていた。
…のだが。
その数日後、真実を知ってしまことになる。
先生が音読して手本を見せたあと、
「次は誰に呼んでもらおうかな?え~っと、じゃあ…木藤さん。はい、ここ読んで。」
指名。
途端に、
ビクッ!
後ろから見ていてもわかるくらい身体が跳ねた。悪戯で「わっ!」と脅かされた時くらい激しいリアクション。
「…はい…」
消え入りそうな小さい声でなんとか返事をし、立ち上がると先生に許しを請うような目で訴える。
この様子から、
「ん?どこ読むかわからんやった?」
優しく尋ねる先生。
「…い…いや…そ、そうじゃなくて…」
完全にビビり上がってしまっているのが端から見ていても丸わかり。
これまで他の教科で何度か当てられたとことはあったが、緊張しているものの、ここまで怯えるということはなかった。
どげんしたんかな?
不思議に思っていると、その様子を見ながら何故か笑いをこらえる幼馴染や同小の友達。
中には堪えきれずに、
「ぷっ!」
吹きだす者もいる。
友達の反応に気付いてさらに委縮してしまうセイコ。
身体が大きいからその縮こまりっぷりはなかなかのものだ。
北小出身者は何で笑われているのかわからず気の毒な顔をしている。
ついに諦めたセイコは口を開き、
「で、でで、です…いず…あ…ぺ、ぺん。」
思いっきりつっかえながら、ひらがなで書いたようなたどたどしい読みを披露し、
「「「あ~っはっはっは~!」」」」
同小の者達に大笑いされてしまう。
渋っていた理由が分かってしまい、
あ~、それで…これじゃ読みたくないよね。っちゆーか、友達もそげん笑わんでよかろーもんねー。
気の毒な気分になってしまう孝満。
授業が終わると幼馴染や同小の友達がセイコの席に寄ってきて、肩をバンバン叩きながら、
「セーシ、爆笑!」
「あんた、小さい時から外人トラウマやもんね。」
「早速炸裂したな!」
「見た目、でったんペラペラそうなんに!」
思い切りイジりまくる。
すると、
「もぉ―――っ!あんたたち酷いばい!授業中なんに、あげん笑わんだっちゃよかろーもん!」
訳:あんなに笑わなくてもいいじゃないか
顔を真っ赤にしてムキになる。
が、全然怖くない。
むしろ可愛いので全然やめてもらえない。
「あはは。そげ怒んなっちゃ。」
宥められ、
「うるさい!もぉ~ホント…」
ジト目で口を尖らせ不貞腐れた。
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