第14話 バレる
クラスでもトップレベルに可愛い女子が戯れる光景。←遥花も朋美もたいがい可愛い。
こんなものを直近で見せられた男子はもれなく股間を直撃されてしまう。
「いーなー…。」
「オレも揉んでみてー…。」
指を咥え、この様子を堪能している北小男子ども。ここ最近、えっちぃ妄想が捗ってしまい、擦る回数が爆発的にアップ。ティッシュの消費量が増える、風呂や便所の時間が長くなるといった現象が起きてきている…のはいいとして(?)、ここで気になってくるのがセイコのニックネーム。
当然の如く、
「ねぇ。ところで、なんで『セーシ』なん?」
聞いてくる。
この質問に対し遥花が、
「それ、聞く?聞いちゃう?」
わざとらしく勿体ぶりながら、興味を引くよう仕向けるものだから、どうしても説明しなくてはならない状況ができあがってしまう。
勿論返事は、
「うん!聞く!!」
即答。
「ほら、見てみぃ…こげなことになるやろーが。アンポンタン…。」
不貞腐れるセイコ。
プーッと膨れっ面でブータレているセイコは放置しといて、
「あんね、コイツの名前、漢字で書いたら妖精の『精』に子供の『子』なんよ。」
あえて可愛く聞こえるよう、バラす。
「結局バラしやがった…この、うんこ。」
子供の悪口みたいな呪詛を吐きながら、遥花と朋美の顔を睨むセイコ。
が、怖くないのでもちろんスルー。
朋美から、
「お~、よしよし。そげん怒らんと。」
頭をヨシヨシされていると、
「うるさい!こーしてやる!おりゃ!」
両方の人差し指を立て、バッファローゲームの如く胸に突き刺して反撃。
参考までに朋美もかなりデカい。
埋まりこむ人差し指。
「あ!こら!触りやがったな!」
そしてさらなる反撃。
同じことをされ、突き刺した指をさらにグリグリすると、
「あ~!もぉ~!ダメダメダメ!」
呆気なく負けた。
といった戦いが遥花の横で繰り広げられている。
聞いてきた男子はピンとこなかったようで、
「へ?なんで?それのどこがおかしいん?」
真顔で聞き返す。
「はぁ?分からんの?どこでんいいき書いてみてん。」
黒板まで行くとチョークを手に取り書きはじめる男子。
「えっと…『せい』っち、どげな漢字やったかね?」
いきなり躓いた。
「そこからか!」
「オレ、漢字ダメなんよね。」
「『米』に『青』よ。」
「あ、そっか!」
「続けて書いたら?どげんなった?」
「!!!あ~はっはっは…なるほどね!」
「それ、スゲーね。マジで?」
理解すると共に起こる大爆笑。
セイコはというと、
「あ~あ、もぉいーよ。笑え笑え。存分に笑ってくれ。」
もう完全にブスくれてしまっていて諦めモード。
男子にすると漢字のことなんか実際はどうでもよくて、セイコ本人が目当てだったりする。校内でもトップクラスにカワイイ女の子と会話したい。できる事ならお近づきになり、あわよくば付き合いたい。
そんな下心は大いにある。
だからあえて本人に、
「…マジ?」
聞いてくる。
しかしセイコはヤラシイ目で見てくる男子が大嫌い。よって、そういった下心にも敏感なのである。
今回も既に見破っているので不貞腐れ、無愛想な態度で、
「マジ…。」
とだけ答えた。
しかし、そんな怒り顔も、不貞腐れた顔も男から見ればものすごいご馳走で。
おかげで、好きになっていく男子が急増中なのである。
いち早く母親の知り合いの子供だと聞かされていた孝満はというと。
この様子を真後ろから見ながら、
そんな嫌がること、してやんなよ。
気の毒に思いつつも、根がヘタレなので注意することなんかは到底できなくて。
なんか、ゴメン。
心の中だけでそっと謝るのだった。
こんなトコロだけみると、割と酷い目に遭っているように見えるセイコだが、このやり取りには慣れていて、すぐに機嫌は直る。というか元々怒っていないのだから、戯れがひと段落するといつものメンバーで仲良く教室を出ていく。
その帰り道。
セイコは、
ほんとにもぉ~、アイツらはぁ~…タカくん、すぐ近くにおったやん。変に思わんやったやろか?←心の中では「タカくん」呼びだが、実際は恥ずかしさが先に立ってできない。
孝満のことを気にしていた。
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