第13話 お戯れ

 ホームルームも終わり帰宅の準備をしていると、仲良し幼馴染の遥花が、


「セーシ!帰ろーぜ!」


 わざとらしく声をかけてくる。

 しかもだいぶ大きめの声で。


 呼ばれた瞬間、


 ガタッ!


 勢いよく立ち上がると、


「コラ!もぉ~、遥花は~…そのあだ名で呼ばんでっちゆったやろ!」

 訳:呼ばないでって言ったでしょ!


 厳重注意。


 なのに、


 鼻にかかった甘い声。

 舌足らずでホンワカな喋り方。

 喋るときスカスカ漏れる空気。

 プーッと膨らませた頬。

 明らかに恥ずかしがっている真っ赤な顔。


 の、おかげで強い口調にもかかわらず威圧感皆無。

 それどころか、このリアクションがハンパなく可愛いので一向にやめてもらえない。

 毎回、


「はいはーい。そげなこたぁ~どげでんいーき、はよ帰るぞ!」

 訳:そんなことはどうでもいいから


 軽くスルーされてしまうものだから、


「どげでんよぉないっ!ちゃんと聞けっちゃ!ホントにもぉ~…。」

 訳:ちゃんと聞いてよね


 ムキになって食ってかかる。

 そんなところにもう一人の仲良し幼馴染である朋美が、


「ほら、セーシ。そげ、はらかかんの。そげなことよりも帰る準備はできたんか?」

 訳:そんなに怒らないの


 追い討ち。


「また!朋まで!ホント、嫌がることばっかし言うっちゃやき…バカ。」

 訳:嫌がることばかり言うんだから


 いよいよムキになり、


「は~~~…。」


 大きなため息を吐いた後、


「もぉ~~~。だ、男子、おるんばい?恥ずかしいっちゃき、ホント、やめてよねー。」


 困り顔して再度厳重注意。


 からかっている側にすると、今日も可愛らしいセイコが見られて大満足だったりするわけで、今すぐにでも抱きしめてやりたい衝動に駆られる。というか、この後


「あ~もう、そんな顔しやがって~。可愛いヤツよの~。おりゃ!」


 ガバッ!


 実際抱きしめる。

 特大サイズの胸がフワフワで気持ちいい。

 顔を胸に埋め、


「うぉ~っ!柔らけぇ~!今日もなかなかの乳っぷりですな。マッタリとしてそれでいてしつこくなく、程よい弾力がまた絶品!いくらでも食べられるぅ~。」


 食レポみたいな、美味しんぼみたいなことを言いながら、グリグリやっている。


「ぅわっ、もぉ!そげなことせんのっちゃ!こそばいーっちゃが!離れんと用意できんやんねっちゃ。」

 訳:そんなことしないの!くすぐったいでしょ!用意できないでしょ


 パニックになりつつも、強引に引き剥がすようなことはしない。

 割としたいようにさせてあげている。

 そうしているところに朋美が背後から忍び寄って、


「とぅっ!」


 脇の下から手を突っ込むと、


「ぅほ~!デケー!!」


 感動の声を上げ、鷲掴みにして揉みまくる。

 予測してなかった新たな感触に、


「ぅわっ!コラ!と、朋まで!」


 驚きの声を上げるセイコ。

 最初はただモミモミしていただけだが、だんだんエスカレートしてきて乳首と思われる部分を摘まむとコリコリしだす。

 それは見事にヒットしていたようで。


「ンあっ!また!何しよるか!こちょべーっちゃ!摘まんだらダメっちいっつも言いよるやろ!」

 訳:くすぐったいよ!


 一般に性感帯といわれている部分が人一倍敏感なセイコ。

 この刺激で色っぽい声が出てしまっていた。


 !


 慌てて口を押える。

 同時に胸の谷間に埋まってグリグリしていた遥花にピクピクが伝わってくる。

 止むことのない朋美の攻撃に、またもやこらえきれず、


「ンあ~!ダメダメ!もー!せんで!危ない危ない!」


 エロい声が出て腰が砕けそうになり、よろける。


「あはっ。セーシ、ピクピクなった。」


「エロい声、出たね。」


 いらんコト実況されてしまうものだから、


「もぉ!お、お前らがそげなことするき出るんやろーが!出てもゆったらダメ!恥ずかしいっちゃきね?」


 テレ顔で発狂しながら注意する。というところまでが、いつものセットになっている。

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