第6話 アリサの処遇の決定


 ☆☆☆マダカ連合王国、旧王城



「ここが、ノース王国、ザルツ帝国と、同じ国力と歌われたマダカ連合王国の王城だった場所ね。見る影もないわ。 これは・・・薬莢ね」



「聖女様、『やっきょう』とは?」


「私もよく分からないわ。初めて見たのよ」



 ・・・・私は、聖女、山ノ下靖子、転生聖女だ。

 一晩にして、壊滅したマダカ連合王国の王城の調査を依頼されている。



 鏖(みなごろし)と言われる者、この薬莢で、転移者、現代兵器を召喚したと判明した。



 城は、穴だらけ。

 未だ、鏖は転移者だろうとしか分からない。




 銃を使う転移者は歴史上、たまにいるが、ここまで、重火器を使い。大勢を殺した者は、記録にない。


 素人では、どうしても、捕捉される。寝ている時や、トイレや、食事の時など、油断したとき。

 しかし、この者は、連合王国を横断し、ノース王国まで、到達したのだ。


 もしかして、自衛官?傭兵?熊のような大男に違いないわ。




 だが、


「おかしいわ。情報では、一人のはずよ・・・・しかし、大きな薬莢ね。鑑定士、口径は分かるかしら」


「およそ、12.7ミリ・・・です」


 これが、人に当たれば、穴が空く・・・


 これは、機関銃?一人で持てる者かしら。

 日本時代は、銃は、テレビでしか見たことがなかった。





 約半年前に、王城が壊滅し、それから、討伐隊が出たが、ことごとく全滅した。

 だが、生き残った者は結構いると判明した。



「聖女様、鏖との戦闘で生き残った者を連れてきました。農民です。その他、多数います。しかし、姿は見ていないそうです」


「農民?どういうこと。そこの方、話して下さりませんか?」


「はい、聖女様、実は・・・」



 突然、農作業をしていたら、騎士様に呼び出されたのです。


 ええ、騎士様の前に、並んで、鉄礫の盾になれと言われました。


 どうやら、鏖が潜伏している森を発見したようでした。


「まあ」



 ☆☆☆回想


 隊長と騎士は、私たちの遙か後方で、拡声魔法で叫びます。


【お~い、鏖!出てこい!魔道具を捨て、裸で出てこないと、農民どもを殺すぞ!】



 ・・・・・



 ・・・ちょっと、待って、自国の民でしょう?


「はい、聖女様、この国は、そのような国でして・・・私たちは、ほぼ農奴でございます」



「それで、どうなったの?」



 ・・・・・・



『フハハハハハ、異世界人の本質は、優しさだ。自分と関係のない者たちは、殺せない。それは、弱さだ!』


 すると、



 森から、四角い物が飛んできました。ええ、そんなに大きくはありません。ヒモが付いていました。

 シュルルルルルル


 それは、私たちの頭を飛び越え。隊長の前に落ちました。



『何だ。これは?』


 ズドーーーーーーン!



 隊長は、腕が吹っ飛び。顔がえぐれ、生きてはいませんでした。


 ・・・アリサが投げた物は、TNT爆破役、手榴弾と違い。鉄の破片は飛び散らない。

 しかし、爆破は重い。

 周りへの被害を慮ったことは、聖女や農民は理解できない。


 が、次の行動で、聖女はむやみに殺さないアリサの性格を理解した。



『『『ヒィ』』』

『『『グスン、グスン』』』


 私どもは、怖くて、怖くて、座り込んでしまいました。

 その直後、


 ダダダダダダダダ!


 と音とともに、鉄礫が、私たちの頭の上を飛んできて、騎士達は、全滅をしました。



 私どもは、3時間ほど、ずっと、地に伏していました。


 その後、何もおきませんでした。

 おかげで、無事に村に帰れました。



 ・・・・・・・



「有難う。この国は、しばらく、連合国が統治します。貴方たちには、食料が支給されるでしょう」


「有難うございます」



 ・・・大体、生き残った者の証言は同じだ。

 村人や非戦闘員を殺していないわ。



 そして、一週間で100キロ以上踏破し、ノース王国の中部に到達し、人狩り伯爵家を虐殺した。


 更に、数週間後、転移者に占拠された都市ラクドの開放に動いた。


 ・・・と言うことは、



「対話が出来るわね」



 ・・・・・



 聖女靖子の調査は、聖王国に届けられ、採用された。

 一人の騎士が、派遣される事になった。


 秘密裏に接触し、対話をして、聖王国に迎えるのが目的だ。



 ユニーグス領にいても、不審に思われない者。


 コレットの婚約者、騎士ダンが選ばれた。




 ☆☆☆聖王国



「ダンよ。もし、鏖と戦うとしたら、どうやって、戦う?」


「猊下、近接で、『俊足』で動き。翻弄し、斬殺します」


「うむ。貴重な転生者だ。ゆめゆめ。対話が先だ。卿の婚約者がいる地だ。民に紛れ込んでいるかもしれない。黒髪、黒目に注意だ。法王座乗艦、空鯨で行くが良い」


「御意、有難うございます」



 ・・・飛行船で、数日、ユニーグス領に着くことになるが、


 目的の、鏖こと、アリサは、コレットと対話をしていた。






「あのね。アリサちゃんは、使用人学校を出ていないわ。だから、行儀見習いに行って、箔をつければ、お給金を上げられるわ。他のメイドに納得してもらう必要があるの。

 行き先は、王都、貴族学校の領地経営科の後輩、ブラウン侯爵家のマリアベル様よ。紹介状は一月前に、出しておいたわ。了承よ」


「・・・・・別にいい」


「それに、王都なら、ニホンと言う国の場所が分かるかもしれないわ」


「・・・それなら、なるべく、早く帰りたい」


「それは、貴女次第よ。最長で2年、数ヶ月でマスターをすれば、ここに帰れるわ」


「・・・分かった」



「お嬢様、ダン様が来られました」


「まあ、アリサちゃんも来なさい!」


「・・・はい」



 ・・・・・・



「コレット様の婚約者、ダンだ。平民、冒険者出身だ。ほお、君が手紙であった新しいメイドの子だね。よろしく」


(黒髪でビックリしたが、目が青い。転移者ではない)


「初めまして、アリサ・ニッタです」


「ほお、家門持ちか?いや、失敬」

(行き倒れと聞いた。詮索はしない方が良いな)



「形だけ。平民・・・」



「そうか、飛行船、王都にも行くから、乗せてもらえるように、頼んでみる」


 かくして、アリサは、ダンと入れ違いに、王都に向かうことになった。



 もし、聖女靖子だったら、すぐに、日本人の名前だと分かっただろう。


 一メイドの名を報告するほど、ダンは閑ではなかった。



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