15.クレスト家(半身転生その後1)

「半身転生」を振り返り、創作論? じみたものを書いている本作ですが、ここから数回に分けてネタバレをしていこうと思います。

 あの時はああだったこうだった、後日談としてどうなるみたいな話です。

 それではやっていきましょう。


 やっぱり主人公からでしょうか。

 千葉新→アラタ・チバ→アラタ・クレストと名を変えた男。

 生まれは東京都台東区、純日本人の異世界人。

 彼の活躍は本編を読んでいただくとして、その後彼はどんな人生を送ったのか。


 アラタは2度の魔王戦後、カナン公国で忙しくも幸せな毎日を過ごしました。

 結婚したノエルとの間の子供は実に10人、ノエルの宣言通りの人数となりました。

 双子は長男長女のジークフリート、ナナの2人だけ、残りは全員1人ずつ1歳か2歳差で連続しています。

 アラタ、ノエルは共にクレスト公爵家の爵位を継承することなく、ノエルの父シャノンの後はジークフリートに爵位が渡ります。

 シャノンの現役期間が長かったこと、アラタもノエルも爵位に興味がなかったこと、2人共能力的に公爵家当主として疑問符が付いたこと、それを越えるほどジークフリートの素養が非凡なものだったこと、これらの理由からジークが爵位を継ぎました。


 アラタは結局、貴族院の議員になることはありませんでした。

 政治の世界は肌に合いませんし、性に合わないことをしなければならない立場でもありませんでした。

 なので自由にやりたいこととやらなければならないことの中間をやる、そんな自由気ままな生活を謳歌しました。

 今まで散々縛られ続けた人生でしたから、何かから解き放たれたような晴れやかな笑顔を見せるようになりました。

 本編最終話にあるように、アラタは84歳まで生きて天寿を全うしました。

 元々20代前半で尽きるはずだった命、それがつながったのですから文句などあろうはずもありません。

 彼が存命の間は結局カナン公国が戦争に巻き込まれることはありませんでした。

 せいぜい地方で暴動が起きた程度。

 しかも鎮圧にアラタは行かないし行けないので、本当に関係ありませんでした。

 死後はしばらくノエルと2人の時間を楽しんでいるようです。

 生前もずっとそうだったんですけどね笑。


 アラタと来たら次はノエル・クレストでしょうか。

 公爵家当主にならなかったのは先に述べた通りですが、彼女は流石にアラタよりも出世しました。

 魔王戦後のカナン公国におけるAランク冒険者はノエルだけなので(リーゼはAランク相当だが意図的にランクを上げていない)、公国冒険者の顔として色々な仕事をしています。

 剣聖として剣を振るう、冒険者の育成、公国軍への剣術指南、貴族院議員としての活動と忙しい限りです。

 これで子育てまでしていたって正気か?

 とまあ超人っぷりを遺憾なく発揮したノエルでしたが、流石に子育てや家のことはメイドの力をフルに借りたようです。

 メイド筆頭はアラタの分身シルですね。

 ノエルは81歳の時に老衰でこの世を去りました。

 ひ孫までいて、大勢に囲まれた最期でした。

 死後は例によってアラタと一緒に楽しく暮らしているようです。

 記録されている歴史として後世に名が残っているのは、アラタよりもノエルですね。

 アラタ、どんまい。


 次はリーゼ・クラーク……と見せかけてジークフリート・クレストの話をしましょう。

 まあ爵位を継いだと話した以上、忘れないうちに書かないとね?

 クレスト公爵家当主となったジークでしたが、大公にはなりませんでした。

 まあ世襲でもないので、彼自身も興味なかったようです。

 魔王アラタが存在した世界線ではフィヨルド王国の王族リュカ・フィヨルドと結婚したジークでしたが、本命の世界線では相手が違います。

 ジークフリート・クレストの伴侶、ベル・クレスト。

 誰? という感じですが、怠惰の悪魔ベルフェゴールさんです。

 経緯についてはそれだけで物語を書けそうなボリュームなのですが、まあいいでしょう。

 とにかく幸せな結婚というものを探しに下界に降りてきた悪魔は、アラタの息子と結ばれたのでした。

 ノエルが嫌そうな顔をして、アラタが心の底から笑って、ベルフェゴールが悔しそうな顔をしていたのは言うまでもありません。

 言ってるけど。

 総じてドタバタしつつも幸せそうな結婚は確かにあったようです。


 こんな感じで、何回か使って各キャラたちのその後を書いていこうかなと思います。

 長くなりそうですが、どうかお付き合いください。

 では。

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