7.考える余裕なくない?(バトル4)

 今回から戦闘描写について書いていこうと思います。

 戦闘シーンをどうやって組み立ててきたのか、その最中に人物が何を考えるのか、そんな感じの話ですかね。


 まず、戦いの結果。

 誰が勝って誰が負けて、その後どうなって、そういうのを決めます。

 もちろん戦いの後のことを全く考えずに全力でぶつけ合うこともありますが、私の場合そういうのは稀でした。

 以前書きましたが、私は基本的に実力通りの結果となることに重きを置くので、戦いの組み合わせが決まった時点でおおよそ決まります。

 そういうこだわりがない人の場合は、逆に初めから結論ありきの組み立てをするとそれが見え透いてしまうかもしれません。


 次に、どういう戦闘がメインになるのか考えます。

 魔術の打ち合いなのか、剣術の腕比べになるのか、一方的に魔術で制圧するのか、互いに潜伏して膠着するのか、などなど。

 これは登場人物の能力や戦闘スタイルによって決まりますね。

 どちらか一方もしくは両方が対策を立てる余裕がある場合、戦いの前から読み合いが発生したりもします。

 この人の強みは魔術だな、対してこっちは剣術だな、じゃあ剣術側はどうやって距離を潰すか考えるだろうな、逆に魔術側は近寄らせたくないだろうし、近寄られたとしても問題ないように手を打つだろうな、それにはどういう仕掛けが考えられるな、そんな感じで構想を練っていきます。

 複数人の戦いになればこのあたりがより複雑になります。

 ただ、突発的な戦闘になれば登場人物たちのその場の瞬発力に全てがかかるわけです。


 さて、そろそろ本題に入りますか。

 個人的に思うのは、高強度の運動の最中に言語化された複雑な思考を張り巡らせるのってほぼ不可能じゃないですか? ということです。

 もちろん戦闘の合間とか、移動中とか、足を動かさない遠距離組なんかは多少の思考の余地はあると思います。

 ただ「半身転生」のメインだった近距離戦闘に関してはその辺厳しいよなというのが持論です。

 だからある程度何をどう立ち回るのか決まった状態で動き出して、あとは体に染み込ませた反射で戦う描写が多くなりました。

 別にそんなところにこだわる必要なくない?

 そう思う時もたまにありますが、私にとっては大事なところでした。

 だって実際問題無理ですし。

 なのでスキル【思考加速】みたいな能力は相当役に立つんですけどね。


 あと、上述した理論で戦いを組み立てるからといってアラタやノエルが何も考えず刀剣を振り回しているわけではないというのは断っておきたいと思います。

 敵はこう動くだろうな、自分はこう動きたいな、そういう確かな思考の後に動きが追いついてくるよという話です。

 そこで敵が予想外の動きを取ったりすればこちらも反射に頼らざるを得ない局面が出て来るわけで、そこでうまく斬り抜ける力が粘り強さなんじゃないかなと思います。

 色々と散らかってしまいましたが、おおよそこんなことを考えながら戦闘描写を書いてました。


 私が戦闘描写で推すのは、第700話のラストです。

 弓矢を駆使する敵に対して刀と魔術で対抗するアラタ。

 距離を詰めるアラタに降り注ぐ敵の射撃。

 ここを躱しきれば刀が届く。

 そこで隠蔽した敵の攻撃がアラタに迫った。

 躱せず、刀も間に合わない。

 思考は置き去りに、反射だけがアラタの体を動かす。

 刀を捨て、両手でボールを取るように矢を止めようとした。

 両手を矢が貫くのもお構いなし、魔力で強化された手のひらが矢を止めた。

 眼球の目の前まで鏃が迫ったが、とにかく止まった。

 アラタの魔術詠唱の完結と共に、彼の勝利が確定する。


 おおよそこんな感じです。

 詳しくは本編をご覧ください。

 反射的な動きには今までの訓練の結果が出ると思います。

 そこに現代での経験が活きるのは、それだけ彼にとって野球選手としての時間が大切なものだった証でしょう。

 これは戦闘描写に限らずですが、「半身転生」は引くほど長いのでとにかく試行回数を重ねるにはうってつけでした。

 今後も繰り返し練習して、より面白いものが書けるように頑張ります。


 今回はこの辺で。

 次回は集団戦もとい異世界の戦争におけるこだわりとか組み立てについて書こうかなと思います。

 ここは戦闘描写の中でも若干特殊だと思うので。


 では。

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