「理想」

名前:望月もちづき 夢跳ゆめと

年齢:16(起眞市立高等学校きましりつこうとうがっこう 2年A組所属 写真部)

住所:起眞市 中央区


能力名:悟叶ごきょう

    未来予知が可能。


発動条件:レンズを通す

     メガネやカメラといった何かのレンズを通す。

     通してみている間のみ未来を見ることができる。


対価:使った時間の2倍だけ、予知後に視力が失われる。

   使用上限はその日の日の出る間の時間。


|+|+|+



強い力には大きな代償が伴う。

それは当たり前だと思ってる。


でも、たまにそれがない人もいて羨ましいと思う。


この未来予知はその場で起こる未来を観て、る。

そうすることで自分の理想をえられる。


代償は視力。


能力を使わなければいい話だし、

そんなに不自由はしてない。





「写真撮ってきてねー」


ということで若干めんどくさい宿題が出た。


写真部は毎年文化祭で展示をしている。

その写真を撮らなくてはならないのだが、今日は気が乗らない。

このままだと、きっと明日も気が乗らないのでだるい体を起こして撮りに行くことを決める。


行き先は…

そうだな。

西区で工場と重機と海を一緒に撮るのもいいし、

朝早くて時間もあるし自然の多い使山に写真を撮りにでもいくか…



んー…


使山にしよう。

そしたら、駅から咲森の端くらいまで起眞中乗って…

そこからはバスと歩きか。

散歩がてらに使山へと行くことを決める。だいたい1時間半くらいだ。





使山の最寄りで降りて、山の麓まで歩いて行く。

やっぱり自然はいいなぁ。緑が綺麗だ。

写真を撮っておこ――


「……っ」


あぶねぇ。

一歩踏み入った瞬間俺がぶっ飛んでる未来が見えた……

バーチャラーでよく「爆発音がどうの〜」って言ってるが、あれはガチだったのか。


「踏む ⇒ 爆発」ということは地雷か?

なんのために?確か、使山には神隠しの噂が……

謎の巫女がいるとか……。何かの存在を隠しているのだろうか。

地雷まで仕掛けなくてはならないほどの何かが――

気になる!



いや。やめておこう。

これ以上何かを考えるとろくでもないことに巻き込まれそうだ。

『危ない』

悟叶を使わなくても直感がそう言っている。




ということで俺は西区の「西区総合物流センター前」に行き、重機の写真を撮ることにした。

雲の流れはとても穏やかでカモメが空を飛んでいる。

まるで世界が平和であることを示しているようだった。


まだ数枚撮っただけだが、カメラから未来を覗き見る。


そこに映っていたのは、

パワードアームを着用し、片手で鉄の塊を簡単に持ち上げる少女の姿……


「えっ、え?

俺より年下に見えるんだが??」


それだけでは留まらず、別のトラックの鉄塊までやり始めた。

驚きと興味でつい見続けてしまう。

あの鉄塊はパワードアームを使っても、かなり重いだろう。


あの子は一体何者なのだろうか。


こう考える間も未来ではその子が仕事をしている。

話してみた――


視界が消えた。


使いすぎた。



「さてと、どうやって帰ろうかな、」


そう呟いても聴こえるのは鳥の鳴き声だけだった。

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