「顔」

名前:つつみ 慧心けいしん

年齢:13

住所:起眞市 嶋崎区


能力名:読悉どくしつ

 他人をこまかに知ることができる。

 しかし、他人の生い立ち等はわからない


発動条件:なし(常に発動状態である)


対価:対象者との心の共有



+|+|+|


堤おはよーっ!(今日もテンションひっく…)


「おはよ結和ゆわ


あいかわらず朝から暗いな〜(ま、慧心ぽくていいけどさ)


「うるさいなぁ。幼馴染だからっていつまでも一緒に通う必要ないっつーの」


私いなかったら慧心ボッチじゃ〜ん?(今だ!煽るチャンス!!)


「わざわざ煽ろうとしなくていいんだけど…」


「いつも煽られてるし、やり返し…的な?(また失敗か!?)


「それはそれでなんか嫌だな。ちょいウザい」


「『ちょい』ってなんだよ〜!!成功してないじゃん!!!(進歩はしたはず!)


「煽ることってそんな頑張るもんじゃないからなw

別にどんな――」


結和〜!!!おっはよー(結和、結和、結和、結和、ゆわ、yuwa…)!!!!!!!」


「あ、妃沙ひさおはよ〜(慧心今なんて言おうとしたんだろう?)


「…」


あ、堤くんもおはよ!!!(結和、あたしと学校通えばいいのにな〜)


「おはよ…」


「ねーねー、結和!放課後一緒に勉強会しよ!!(雑談もできるし)

 私さ、数学無理でさ〜」


いいね!!テスト近いし頑張ろ〜(友達となら勉強捗りそう!)

 数学なら慧心得意だったよね、どーする?(慧心黙っちゃったよ…)


「俺はいいや。自分の勉強したいし。」


そっか、おっけ〜(まあ、妃沙いるしなぁ。そりゃ来ないか)



+|+|+|



能力なんてただの呪いだ。

おれが能力持ちってことは他にも持ってるやつがいて。


人に話しちゃいけないからこそ、少数の能力者と多数の無能力者が入り交じる世界。


俺はそんな世界が大嫌いだ。


もう、嫌だ。

怖い。

嫌われるのが。


人のたてまえ裏の顔ホンネが見える俺には、嘘も秘密も通じない。

顔を見れば素性はわかるので、テレビもあまり見ない。



人の秘密を知れるのは、少し背徳感があって楽しい。

でも、それ以上に怖くて辛い。


だから俺は、心の内が分かっていても人を信頼できない。


唯一の理解者が結和。

俺の能力を知っているのは家族と結和だけ。

結和は昔から疑心暗鬼な俺を支えてくれる幼馴染だった。


結和も能力をもっている。

彼女はそれを周りに話そうとしない。

言ってしまったら、バレてしまったら、世界が変わる。

戦争が終わらなくなる。



人の心は本当に一人ひとり異なっている。

綺麗な色を持っているものや、どこまでも続くような黒い色の人もいる。


SOSを発している人だって。

でも俺はその人達を助けられない。


そのまま放っておくことしかできない。

自殺に追い込まれる人もいた。


俺はいくつものSOSを

それを

見殺しにした人達の声が今にも聞こえるんじゃないかって心配になる。



耐えられない。

この世の中の苦痛が、どこへ行っても俺には見えるから。

もう死んでしまったほうが楽なんじゃないかって。

でも、結和がいつも支えてくれる。

あいつの悲しむ顔は見たくない。



だから、今日も俺はこの呪い能力と供に生きる。



特別なというものはその人を縛りつけるなのだ。

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