第18話 甘く苦い

その日は業務終了後、デスクにいた柾人に呼び寄せられた。


冬は日が落ちるのが早い。

既にガラス張りの向こうに見えるのは、ビル群からの光だ。


ハイバックチェアに腰掛けた柾人の前に跪き、柾人の昂りを咥える。



あの日から、予定が無い日は柾人は彩葉に奉仕させる。


戯れに彩葉の身体に触れることはあるが、その先に進むことは無かった。


柾人が逝けば終わる。


彩葉の身体が熱で渦巻いていようと、最後までされることは無かった。



そんな状況の中、社長室の扉をノックする音が響いた。


衣服を整える暇もない。

彩葉は征人の手でデスク下に押しやられ、狭い中で四つん這いになった。


「…続けろ…」


小声で柾人の指示が入った。


「あれ?社長?庭木さんは?」


中に入ってきたのはデザイン部の社員のようだった。


「…少し使いに出て貰ってる」


「そうなんですね。あ、これ、今度の会議に上げようとしている資料です。」


タブレットを渡されたのか、デスクの上で“ゴトッ“と音がした。


続けて二人の会話が続いていく。


彩葉は息を潜めながら、それでも柾人のモノを咥える。


必死に舌を動かしていると、柾人の右足が少し動く。

どうするのか分からないながらも、彩葉の身体の前に動かされた右足の邪魔にならないようにほんの少しだけ身体を浮かせ、両手を柾人の膝に置いた。


すると、柾人の足先が彩葉の足の間に入っていく。

靴を脱いで靴下だけになった足先は、器用に彩葉の陰部の敏感な箇所を探るように動いた。


「…んふぅっ!!」


「そう言えば今度…」


反射的に声が出た彩葉の声に被せるように、柾人は少し大きい声で話す。


相手に彩葉の存在は気付かれなかったようだ。


しかし柾人のつま先は更にイタズラを続け、一向に止める気配はない。

ストッキングの上からだというのに、的確に彩葉の秘豆を捉えた。


柾人の親指が僅かに動いて、彩葉の過敏に反応する秘豆を擦る。

そして不意に柾人の左手がデスク下に降りてきた。


その手は彩葉の頬をかするように撫でる。


続けろと言う事だろうか。


彩葉は必死に声を殺しながら、柾人の昂りを責め、そして柾人の愛撫を受ける。


『…ダメ…』


必死になって逝かないように耐える。その必死さは柾人の両膝に置かれた彩葉の両手に現れた。無意識に力強く膝の上のズボンを握り締める。


『…ダメ…!!…逝っちゃう…』


涙目になりながら堪えていたが、とうとう限界を迎える。

彩葉の身体がデスク下で小刻みに揺れ始める。


「…んんんっ!!」


「よし!!…コレでいこうか。伝えておいてくれ。」


彩葉の漏れた声を誤魔化すかのように、柾人は話し、そして会話が終わった社員は出ていった。


扉が閉まる音がし、それと同時に柾人はチェアのキャスターを使って少し後ろに下がった。


彩葉はデスク下に置いていかれ、慌てて床に手を着く。


柾人はさっきまで彩葉の陰部に添わせていた右足を膝に乗せ、濡れた親指に触れると、彩葉を見下ろした。


「…もう少し…逝かせてやろうか?」


潤んだ瞳で柾人を見つめていた彩葉は、その言葉に顔を赤くする。


デスク下で、既に一度彩葉が逝ってしまったのがバレている。

そして“まだ物足りないだろう?“と言われているのだと思った。


しかしその甘い誘惑に勝てない。


柾人とこういう関係になって、1ヶ月半程経っていた。


その間、ずっと焦らされているようなものだった。


何回かに一度、気まぐれに逝かされる。

それでも最後まですることは無い。


やはり最初に柾人が言ったように、彩葉が自ら望んでこの言葉を口にしないからにはしないのだろう。


「…お願い…します…」


それでもまだ羞恥心があった。

最後までして欲しいとは言えなかった。


「…来い」


柾人は手を差し出した。

その手を掴むと、引き寄せられる。


力強く引っ張られ、勢いで柾人の胸に飛び込むように受け止められた。


そして少しずり上がったタイトスカートをウエストまで上げる。


「…下着を脱いで膝を跨げ」


彩葉は言われるまま、既に濡れた下着とストッキングを脱ぐ。

そしてハイバックチェアに座る柾人の膝を跨ぐ。


すると柾人は彩葉の手を自分の昂りに持っていく。


「…手でしごけ。」


そう言われ、柾人の熱く欲望を示すモノをそっと握る。


彩葉の様子に満足そうな柾人は、手を背後に回し、彩葉の滴る蜜に濡れた秘豆に触れた。


「…ひぃっ…んっ…あぁっ!!」


過敏になったソコは、過剰な快感をもたらした。


しかし軽く触れただけで、直ぐに柾人の指が彩葉の蜜壷にゆっくり入れられた。


「…ビッチャビチャ…」


耳元にあった柾人の口から、小声で囁かれる。


しかしその言葉に羞恥するゆとりもなく、彩葉は小刻みに声を上げる。


僅かに出し入れされる指が、待ち望んでいた快感をもたらす。

しかし知っている。


もっと気持ち良くなれるモノの存在を。


柾人の指で感じ、咽び泣く。でももっと違うものが欲しくて、手にした欲望を必死に握って擦る。


なのに、柾人の指が抜かれた。


「…あ…」


「…物足りなそうだな?…でもこのままじゃワイシャツの袖口が汚れる。捲ってくれ。」


そう言われ、彩葉はあまり力の入らない両手を駆使しながら、差し出された右腕の袖を捲っていく。


その間に、柾人の左手が器用に彩葉の身に着けたブラウスのボタンを外していく。そして手が背中に周り、ブラジャーのフォックも外された。


ようやく右腕の袖が捲り終わると、柾人は反対の左腕も出してきた。


「…反対も…」


言われるがままに、彩葉は続けて左腕の袖口のボタンも外す。


すると柾人の左腕が上に挙げられた。

袖を捲る事に必死になっていた彩葉は、その腕に釣られ、膝立ちになって腕を追うように両腕を上げた。


すると目の前にある彩葉のブラジャーをずり上げ、柾人は姿を現した胸の尖りを舐め上げた。


「ひゃぁっ!?…ああぁーっ!!んっ、…やぁっ…!!…なんでぇ?」


涙声で、彩葉は驚いて声を上げた。


「…何で…って、目の前にあれば舐めるだろう?…すっかり此処も…感じるようになったな。」


咥えながら、柾人は話す。


「…ほら、手が止まってる。」


イタズラに乳首を舐められ、そして何度も吸われる。


柾人との関係が始まり、頻回に触れられる箇所だ。

どうすれば彩葉がよがるか、柾人は熟知している。


そして彩葉の身体も、柾人の愛撫を覚えている。


だからひと舐めされただけで、身体が跳ねるほどに感じた。


「…はぁ、あぁっ!!…んっ、んっ…っ!!」


気持ちいい。気持ちいい。


彩葉は、口に出来ない言葉を、喘ぎ声を途切れさせる事無く心の中で叫ぶ。


手が止まってると指摘され、必死に袖を捲る。

しかし快感に翻弄され、尖りを小刻みに吸われる度に身体が揺れ上手くいかない。


ちゅっちゅうっと、ワザと吸い上げる音を聞かせられ、それもまた彩葉を追い上げた。


ようやく袖が捲り終わると、柾人は彩葉の腰を抱き、そして下に下ろした。


「…え?」


続きがされると思った彩葉は、思わず不満げに声を出す。

その様子に柾人はニヤリと笑う。


「反対を向いて…、…そう、両手を着いて…」


指示通りに両手をデスクの端につく。


デスクに身体を預けようにも、書類やファイルがあり、その上に身体を乗せる事は出来そうもなかった。


柾人の足を跨ぐようにして背を向けデスクに両手をつくと、その格好はまるで柾人からの愛撫を強請るかのような格好になった。


柾人は自分の腰かけたハイバックチェアの昇降レバーを使い、椅子の高さを1番下まで下げると、彩葉の剥き出しになった秘部を舐め上げた。


更なる快感を求めていた彩葉の身体には、それは過剰な快感だった。


ダメだとも、恥ずかしいとも言えないまま、彩葉は次第に大きくなる声を抑えられないままよがる。


そして更なる快感を求めて彩葉の身体は、デスクについた両手を残したままデスクの下に向かって頭が下がっていく。


彩葉の欲望が蜜となって溢れたそこが、征人に口淫を強請るように眼前に差し出される。


柾人は身体を預けていたチェアから降り、床に座る。

そして本格的に彩葉を口で追い上げ始めた。


ぢゅるぢゅると音を立て、秘豆を吸い、蜜壷に指を入れる。


彩葉は既に自分の淫らな声を止められない。

自然に腰が揺れ、もっと欲しいと強請る。


グチュグチュと蜜壷を、柾人の一本の指が掻き回す度に水音が響く。

そして太ももを伝う蜜は時折、柾人の舌で舐め取られた。


ふと、閉じていた目を開くと、いつの間にか柾人の昂りにはコンドームが装着されている。


いつもは着けないコンドームを着けている。


彩葉の胸が強烈にドクンッとなった。


しかしその昂りは柾人自身の手によって扱かれていた。


「…あっ!!…いや…っ…やぁ!!」


柾人によって身体が追い上げられている。

もしかしたら今日は、柾人のその大きな昂りを入れられるかもと考えた。


それなのに柾人は自慰で自分を追い上げている。


自分が求めていた欲望が、目の前で散らされようとしている。


彩葉は嫌だと泣きながら、それでも施される口淫を拒否する事も出来ない。


そして導かれる、絶頂へ。


彩葉は激しく逝きながら、柾人が吐精するのを見た。


柾人は自分も逝くと、装着したコンドームを外す。

コンドームが外され、まだ少し硬さを保った柾人のモノの先端は自らが射精したモノで汚れていた。


彩葉は柾人の前に跪いた。


そしてそれに舌を這わせた。


いつもの様に。

舌を這わせ、綺麗にする。


その様子に、柾人は小さく笑う。


「…すっかり…躾られたもんだ…」


彩葉の口の中に、柾人の苦いモノの味が広がった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る