第2話 君との出会い
「はあ!?ばぁちゃん家!?俺一人で!?」
「そう。母さんたち仕事だから。諒は連れてけないのよ」
「いやいや無理だって!俺あんな遠いとこ行けないよ!」
言ったのに。ちゃんと言ったのに。そう思いながら手を動かす。
コンコンコン……コ「はぁーい。今出まーす」
ギギギッ、と言う音とともに玄関が開いた。
「……諒ちゃん!よくきてくれたね。ゆっくりしてってね」
「……ありがと、ばぁちゃん」
諒は今、ばぁちゃん家の前に立っている。
「お邪魔します」
「どうぞ〜」
そう言われて玄関をくぐると、そのまま慣れた足取りで二階の部屋まで上がる。
と、もうやることがない。
暇になって、家の中をぐるぐると回ってみる。
ただ、何回来たか分からない場所に、面白味は感じない。
「諒ちゃん、暇でしょう?外に遊びに行ってきたらどう?」
俺に気づいたばぁちゃんが声をかけてくれる。
「そう、だね。行ってくる」
思わず曖昧な言葉と笑顔が出てくる。
声をかけてくれるのは嬉しい。ただ、もう外でもやることがないのは知っている。
最初の頃は、自分の家の周りにない、自然に胸を躍らせた。だがそれも、二日、三日、と過ごしていく中で、だんだんと飽きてしまった。
玄関をくぐると、一年前と変わらない緑が広がっている。進んでも進んでも、変わらない景色。
(あぁ、やっぱ暇だなぁ。遊ぶ場所もなければ、遊ぶ相手もいないし。)
そんなことを考えながら進むと、目の端にキラキラとしたものが映る。
気になって顔を向ければ、その正体は陽の光を受ける川だった。
(はぁ。今日暑いし、川で水でも浴びてよっかなぁ。)
近づいて目の前の枝を上げると、澄んだ川が見えてきた。
誘われるようにして川に近づくと、
「……へ?」
女の子が、いた。
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