学校一の美少女に振られたら、学校で二番目に可愛い女の子と同棲することになった

4 買い物に行った

　スーパーの中はひんやりとしていた。人は点々と散らばっている。夜だから、レジが混んでいないのが大変助かる。

「何を作る予定なんだ？」

「チャーハンとハンバーグとサラダ、でよろしいでしょうか？　何か希望あったら、何でも遠慮せず仰って下さい」

「いいな。それでいいよ」

「本当によろしいんですか？」

「ああ。玲愛の作る料理なら、何でも美味しいと思うから――」

　――玲愛の顔が途端に真っ赤に染まる。俯きがちな彼女がとても可愛く、照れているのは一目瞭然だった。

「そんな事を涼しい顔で自然と言えるカナメくんはいじわるです」

「い、いじわる！？」

「はい。私の心臓が保（も）たないじゃないですか」

　何故か早歩きになった玲愛は急いで食品エリアへ。

「カナメくんには少し手伝ってもらいます。家にあるモノと無いモノを言っていって下さい」

「了解」

　早速、玲愛は聞いてくる。

「レタスはありますか」

「ある」

「卵は？」

「ある」

「トマトは？」

「プチトマトなら」

　今後使うかもしれない、と彼女は大きなトマトを買い物カゴに入れた。あとはキュウリも無かったので、キュウリも入れた。

　続いてはハンバーグの材料確認だ。

「ひき肉ありますか」

「無い」

「ケチャップは？」

「ある」

「普段、カナメくんが何を食べているのか、気になります。まさかですけど、ケチャップそのまま食べたりなんか、してませんよね？」

「してねーよ」

　何だよ、ケチャップそのままって。高血圧まっしぐらだな。玲愛が抱く、俺へのイメージが最悪なことだけは分かった。好感度上げとかないとな。

　チャーハンは卵はあるので、卵はクリア。でも、俺が米が家に無いと言ったら、非常に驚かれた。

「米が、無い……」

　驚きより呆れ、といったほうが正しかったか。

「お米、食べなきゃダメです」

「コンビニのおにぎり……」

「ダメです」

「お米、重いですが持って帰れますか？」

「俺が持つ」

　後の材料はにんじん、玉ねぎ、ネギ、肉が無かったので買った。それから足りない調味料も買った。てか、調味料は殆ど家に無かったから、全部買ったと言っても間違いじゃない。

　レジを済ませ、帰路に着く。

　俺は買い物袋(ビニール袋)全部を持った。米も抱えながら持っている。男として当然だよな。

「本当に全部持ってもらっていいんですか？」

「ああ。だって、夕飯作ってくれるんだから、これくらいはしないとな」

「カナメくんは優しいです。好きです」

「そんなに好き好き言うなよ。玲愛が口にする『好き』の価値が下がるだろうが」

「だって好きなんですもの」

　玲愛はプイっとそっぽを向く。

　頭を撫でたかったが、生憎ビニール袋のせいで無理だった。

　彼女の仕草の一つ一つから、本当に俺のことが好きなのが伝わってくる。

　俺も沢山好きを玲愛に伝えないとな。

　――やっとマンションに着く。重い荷物を持っていたせいで、歩き疲れた。

「ここが俺のマンションだ。玲愛、好きだ」

「私もここのマンション、清潔感があって好感持てます」

　ふふっ、と玲愛は笑う。

　可愛いが…………

　ちげえええー！　何で伝わらないんだ。

「俺は玲愛が、す――」

「マンションが好きなんですね。私もこれから住むマンションがここで良かったです」

「違う。冷静に聞いてくれ。俺は玲愛が好きなんだ。マンションじゃない」

「マンション、嫌いなんですか？」

「〜〜！！」

　何度頑張っても伝わらなかった。けど、マンションは気に入ってくれたみたいで安心した。