第2話 理由と経緯と戦闘


~何処かの部屋~

【私】 「さぁ始めようか、まずは・・・そうだね、なぜお前を呼んだかについて。

話すと長くなるけれど聞くかい?」

【俺】 『ああ、聞かせてくれ。』

私が腕につけているバンドのようなものをいじって、空間に映像を映し出した。

【私】 「私の住む世界は化学技術が発展していてね、だがそれに対する弊害も起こっているんだ。それが空間の歪みによって引き起こされる転移事件さ、お前もさっき身をもって知っただろ。」

【俺】 『県境や校門を跨いだ時に起こったやつのことか?』

【私】 「物分かりがいいな、その通りだ。お前が今日体験した出来事が私の世界で起こっているんだ。」

【俺】 『じゃあよ~、なんで俺は毎回お前のいるこの部屋に転移してんだ?』

【私】 「それは、お前が意図的に転移させられていたからだ。そもそも転移は私の住む世界にしか起きない事象だ都いったが。お前の世界で起こるわけなかろう。」

【俺】 『てかよ~、世界世界ってどうゆうことだよ~、そこから説明頼むぜ~。』

【私】 「そのことについては、まだだったな、説明しよう。俺の言う世界とはお前のの住む世界の平行世界だ、つまりパラレルワールドってことになる。」

【俺】 『あ~、聞いたことあるぞそれ、何とかワールドってやつな、分岐した世界的な奴!』

【私】 「パラレルワールドだ!、何とかワールドではない!」

【俺】 『そうだったそうだった、確かにそのパラレルワールドとかが存在するなら、お前が俺っていうことも間違いじゃないってことになるもんな。』

【私】 「そういうことだ、あともう一つ、この場所は空間の挟間だ、さっき空間が歪み転移事件が発生すると言ったが、ここはその歪みの中ってことになる。」

【俺】 『えーー!てことは俺も転移事件に巻き込まれてるってことになるのか?』

【私】 「いや、この部屋は大丈夫だ、転移事件を解決するために作られた部屋で、通称cena(セナ)と呼ばれている。空間の挟間では、別世界の空間から入り込んだ化け物、通称Z(ゼータ)と呼ばれる生物がこの空間にさまよう人を貪っているんだ。君にはそれを止めてほしい。」

【俺】 『何言ってんだ、俺はただの一般ピープルだぜ~、そんないきなり化け物退治をしろと言われても、困るってもんだぜ。』

【私】 「安心しろ、何も持たずにZと戦わせるわけなかろう、君には専用の武器を用意してある。ちなみに専用武器はあと私の物を含めて六つある。ということはわかるね?あと五人、君には仲間ができるのだよ。」

ガサゴソとたんすから物を取り出す

【俺】 『そいつは心強いな、そんで俺の専用武器ってのはなんなんだ?』

【私】 「それはね・・・〘バット〙だよ!。どうだい、うれしいかい?」

やたらと自慢げに見せつけている。

【俺】 『確かに毎日握ってっけどよ~、ほんとにZってやつ、ぶっ倒せるのかよ。』

【私】 「当然さ、余裕も余裕だ、そこらのZならワンパンしてもらはないと困るよ。」

鼻息がふしゅーと音を立てる。

【俺】 『それほどの物ってことか、なんか自信がわいてきたぜ~』

【私】 「自信わいてるとこ悪いけどZの反応があった、腕試しをしてきてくれ!」

【俺】 『まかせとけっての。』

私が持っているバットを受け取り、力強く握った。

【私】 「おっと、戦闘に行く前にこれを張ってくれるかい?」

私はポケットからパッチを取り出した。

【私】 「これは無線の役割と、君の身体状態の把握ができる。それと・・・まぁそんなところだね。」

かなり便利な機械のようだ。

【俺】 『服は俺のこの部屋着でいいのか?』

【私】 「一応戦闘服もあるが、特段機能はついてないよ。そうだね、自慢できる点としては通気性がいいぐらいしかない。」

戦闘服はそこまで便利じゃないみたいだ。

【俺】 『じゃあ行ってくるぜ!ってどこから行くんだよ!』

一人でボケとツッコミをする俺。すぐさま私が説明した。

【私】 「どこからでも飛べるよ、床に転移装置を仕込んでいるからね。それじゃ制御室に行ってくるからこの部屋から出ないでくれよ。」

そそくさと部屋を出ていく私、部屋は他にもあるらしい。数秒後スピーカーから音が鳴った。

【私】 「それじゃあ転送開始十秒前、五秒前、三、二、一、転送開始。」

目の前が光で包まれる、ふわふわと宙を舞うような感覚が俺を襲う。


~挟間の世界~

【私】 「転送完了、目を開けてくれ。」

【俺】 『ここが狭間の世界。』

正直圧倒されてしまった。これまで生きてきた中で見たこともない物が、そこら中に転がっている。本当に狭間に来たんだという実感が押し寄せてくる。

【私】 「今の地点から四百メートル北上してくれ救助対象が二人いる。救助してくれ。パッチから視覚支援がかかるはずだ。」

現場へ向かうと、俺の身長の五倍はあるだろうZが俺と同年代ぐらいのセーラー服の女の子を襲っていたのだ。

【私】 「落ち着いて対処しろ。このZは反応が弱い。あまり強くはないはずだ。」

【俺】 『おいおいまじかよ、バカでかいぞ、こいつ。』

足が震えた、膝が笑いすぎて、立っているのがやっとなほどだった。

【私】 「安心しろお前にはそのバットがあるだろ!そのバットはただのバットじゃない。リベレイションと言いながらお前の名前を叫ぶと、形態を変えZを葬る形へ姿を変えるはずだ。」

迷いはなかった、迷っていたら命はないのだ。後悔をしないための選択であった。

【王創】 「リベレイション王創入有!(きみきず いある)」

名乗りと同時にバットが王創の声に反応して機械音をたてた。ふとバットを見ると、先ほどのバットの姿はどこへやら、刀身がキラリと光を放っている。

【王創】「これがZを葬る姿。」

王創はその刀身をZへ向け一直線に走り始めた。一撃で葬るつもりだ。王創は覚悟を決めたかの様に、雄叫びを上げながらその刀身をZへ突き刺した。とたんに目の前に立っていたZはパラパラと、体が紙吹雪を吹いたかの様に消えていった。襲われていた女の子はショックで気を失っている。

【私】「よくやった、そちらに今帰還用の転送装置を送る。」

通信の直後目の前に、これに乗ってくださいと言わんばかりの、台座のようなものが送られてきたので、とりあえず王創は女の子を背負い台座の上に立った。

【王創】「早く転送してくれ。けがはないけど気負いすぎて、へとへとだぁ~。」

まったくしょうがない奴である。

【私】「わかっているよ。もう転送の準備は完了しているよ。それじゃ転送開始。」

またしても目の前を光が包む。


~セナ内~

【私】「お疲れ様。どうだったかな、初めてのZ退治は。」

気軽に問いかける私。王創は疲れたのだろう。疲れを体を使い、十二分に説明していた。

【私】「疲れたならこれを飲むといい。」

そう言って私は一錠、ポケットから小さめの錠剤を取り出し、差し出した。そして王創の口に入れ、水を飲ませ、飲み込ませた。

【王創】「なに飲ませたんだ?」

と私に問いかける、私は答えた。

【私】「睡眠薬」

私は即答した、がくッと王創は眠ってしまった。

【私】「睡眠が一番体を癒すからね。」



≪次回へ続く≫

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る