夕凪礼央
「渚、やっぱりやってくれたね。」
「礼央、なんでここにいるの?」
「こうなると思ったからだよ。それと、開洋高校のみなさんはじめまして、夕月レイ、いや、夕凪礼央です。」
「礼央、それは規約違反だからいっちゃいけないはずなんじゃ。」
「そうだね、でも、もうマネージャーに話して、声優に転身じゃなくて、転生することにしたから。」
「そうなんだ。礼央はそこまでして私と付き合いたくないの?」
「兄妹しかも、双子だからだよ。」
「もう、礼央のバカ。」
ふう、渚の説得はこれで完璧だな。まあ、渚を断ったことで、一部の生徒がじゃあ、私たちにもチャンスがあるのではと目を光らせているが、とりあえずひと段落ってところだな。
「久しぶりだね、礼央くん、会うのは大手の事務所を紹介した上で芸能科に入ってくれ頼んだ時以来だね。」
やばい、学園長に見つかってしまった。
「お久しぶりですね学園長、今日はお日柄もよく......」
「つまらない話は聞くつもりはないよ。先ほど小耳に挟んだのだが、声優に転身するんだね。そもそも、我々としてはVTuberとして活動していたことすらも知らなたっか。この学園には芸能科があるからぜひ、話して欲しかったね。」
「申し訳ございませんでした。」
「謝ることではないよ。だって、芸能科も強制ってわけではないからね。VTuberをするのならば、通信のほうがよかっただろう。ただ、声優をするなら話は別だ。もう、Vプロさんには連絡を送っている。当然親御さんにもだ。どちらもOKをくれたよ。それでは、学園長室に来てくれたまえ。」
「はい、わかりました。」
これでほとんど、僕の芸能科行きが決定してしまった。あとは僕がわかりましたというだけだが、事務所も親も許可していることを利用され、結局入るしかないだろう。そんなことを考えながら学園長室に向かっていると、一人の美少女がこちらに近づいてきた。そして歓声が上がる。それはそうだ、僕に近づいてきたのは、アイドルの白砂海だ。その白砂が僕に近づいたとなると、さすがの芸能科でも尊すぎて耐えられなかったのだろう。
「夕凪さん、あとで屋上に来てください、待ってますから。」
「わかりました。はじめましてなのにグイグイ来ますね、白砂さん。僕は押しが強い子結構好きです。」
「ありがとう、じゃあ」
そう言って白砂さんは去っていってしまった。そして僕は、学園長室に到着した。
ギィィー
「さてそれでは礼央くんはそこにあるソファーに座りたまえ。」
「ご丁寧にありがとうございます。」
「よっこらしょっと。それではいきなりだが本題に入らせてもらう。芸能科に入ってくれるよね?」
「ええ、わかりました。どうやら入るしかないみたいですしね。」
「ありがとう。それで、VTuberの活動はいつまでするのかな?」
「配信はもうしません。荒れる可能性があるので。そして、今度やるソロライブを無料にして、引退ライブにする予定だそうです。」
「そうなのか、それでは、声優としての仕事はどうなっているのかね?」
「ここに来るまでの間に、スマホを確認していたのですが、マネージャーから連絡が来ていまして、アニメの制作会社に僕が声優になるとはなしたところ、すぐに役が決まったそうです。秋アニメとのことです。それと、なぜか、モデルの仕事が来たそうです。」
「もう役が決まったのか、さすが登録者数54万のだな。」
「お褒めいただきありがとうございます。僕はまだ54万でしかなかったんですよ。」
「いやいや、デビュー一年で54はすごいよ。それでは芸能科で励みたまえ。礼央くんは通信であったから、校内のことはあまり知らないだろう。なので、月に校内を案内してもらおうと思ったのだよ、月入りたまえ。」
そして入ってきた少女、十六夜月、彼女は大人気女優にして、学園長の孫だ。どんだけ準備いいんだろうか、この学園長は。孫を芸能一家である僕に嫁がせて、芸能一家と芸能一家で完璧な子供を作らせようと考えているのだろう。僕は心のなかではぁ、とため息を吐いてしまった。
「夕凪くん、よろしくね」
そして俺は、名前に通り、明るくよく喋るが、どこか儚げな月に校内を案内してもらうことになった。
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