学園生活〜はじめてのモデル編
十六夜月
「礼央くんこっち、ここが図書館だよ、自習室に入ると、勉強どころじゃなくなる人たちがここで勉強してるんだよ。」
「それってどういうこと?」
「例えば私とか、自習室が騒がしくなるの、礼央くんもそうだと思うし、毎日二人で勉強会しよ。」
「月さん、なんでさっきからそんなに僕のことを誘惑してくるの?学園長に言われたの?」
教室では放課後の教室でとか、放送室では二人っきりだねとか、やたらと僕のことを誘惑してくるのだ。
「それはね、今から行くところで話してあげる。」
そう言って彼女は僕の腕をひっぱて走りだした。そして僕たちは旧校舎と思われる倉庫になっている建物の空き教室に着いた。
「おじいさまにい言われたのもあるけど、1年と3ヶ月前に写真で見た時から気になっていたんだ。そしたら礼央くん謙虚で優しくて、空気読めて、笑顔が綺麗だったから、好きになったんだ。私なんかでいいなら、礼央くんと付き合いたいなって。」
そういった彼女の笑顔の方が綺麗で、彼女の方が謙虚で優しかった。だけど、何故だろう、彼女の表情はどこか儚げで壊れてしまう気がした。
「月さんのことよく知らないから、いいよと答えることはできない。でも、月さんのことを気になりだしているから、ごめんってとたえることもできないな。あと、大丈夫、その、月さんの顔みてると何故か壊れそうな気がして。」
「えっ、本当?それはたぶん私が疲れているからだよ。すごく忙しいの、そうだ、仮眠室を紹介し忘れてた。今から二人で仮眠取ろう。」
そして、俺たちは仮眠室へ向かった。すると何故か二人だけの特別室が用意されていた。学校長、ここまで行くと流石だな、と思いつつダブルベットに腰掛けた。よほど疲れていたのか、彼女は寝てしまった。
「寝顔も美人さんだな。あれ、この寝顔どこかで見覚えが。思い出せないな、思い出せないで、白砂さんに屋上に誘われてたの思い出した。まあ、少し疲れたし、仮眠してから行くか。まあ、俺は子役やってた時に子役の子と結婚の約束してるから、その子に合わないと、誰とも付き合えないんだよなあ。成長したその子と付き合わないにしても、しっかりと振らないと、どっちにも失礼だしね。」
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月視点
礼央くんは寝た、これでやっと泣ける。子役時代に婚約したのは私だよ。私のことを覚えてくれていたのに、忘れてしまっている、それは私が大きく変わったからだろう。だから、私にとってそれは、嬉しいのに、たまらなく悲しかった。私はすっかり変わってしまった、だから、打ち明けても付き合えるかわからない。ただ、打ち明けないと彼は誰とも付き合わないだろう。こうなったら、彼を見守り続けることにしよう。私はそう決心して、彼の寝顔の上で囁く。
「れおくん、好きだよ、ずっと、だけど、付き合うことは出来そうにないや。これからもずっと好きだから、れおくんも昔の私のことだけをずっと思っててね。」
そう言ったとたん、私は涙が止まらなくなった、そして、20分間礼央くんにバレないように、声を上げないよう、枕をきつく当てて、泣き続けた。そして、礼央くんが仮眠室を出たのを確認したらいなや、大声で泣き続けた。
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