第28話 実戦に入る為に
次の日から始まったのは戦士団の皆と魔力抜き、自力のみでの模擬戦。
なぜなら魔力を使わず魂の強さの近い魔物か、格上を1で連続で倒し続けると、倒した分だけ強力なスキルが取れるらしいからだ。
戦士団でもその方法でいくつかスキル獲得していたのはお母さんのみ。
お母さんは取ろうとして取ったわけではなく、魔力の使い方が分からないまま魔物を手当たり次第に狩っていていつの間にか取れていたらしい。
重要なのは魂の強さが近い魔物か格上でないとならない事、それ故に僕は魂を強くしないように魔物を倒さなかったのだ。
聞く話によると今の戦士団の皆がこのスキルを取りに行こうとした場合、魔力なしだと確実に勝てない相手と戦わなければいけなくなると、お父さんが言っていた。
魔力無しの模擬戦は手も足もでず、カイルさんに手取り足取り手本を見せて貰いながら続けるがやはり勝てない。
カイルさんに教えてもらっている戦い方は体の小ささを活かした機動力と小さいからこそできる軌道での攻撃を中心に、相手の急所を狙いまくるというもの。
模擬戦相手になる人は、股間(一番狙いやすい急所)をよく狙われる為なのか手加減なしの全力で模擬戦に挑んでくるため一回も有効打を当てれた事は無いが、それは当たり前だから何時も模擬戦後はカイルさんと模擬戦の一緒に勝ち方を考えながら走り込みをする。
家に帰った後は裏庭で魔力を全開で使いながら動き回りながら素振りをして見に来てくれている両親に模擬戦の話をしてアドバイスを貰う。
最近の両親は昼間は魔物を狩り行き、夜は最近建てた離れの家で”運動”している。
そのうち僕の弟か妹が出来るのかな。
一か月後に素手で戦う魔法使いさんにやっと一本取ることができた。
砂を左手で事前に掴んでおいて右手で左上から袈裟切りを行い、避けた所に砂を顔にぶん投げてほんの少しの隙を作って左足で股間に蹴りこみ、左足を掴まれた瞬間、右足で地を蹴り膀胱の位置を蹴りこむことに成功した。
僕は過去にこの部分を小っちゃい子に頭突きされて悶絶してから滅茶苦茶痛いのを知っている。
蹴りこまれた魔法使いさんは咄嗟に身体強化で部位を守ったが、この模擬戦の唯一のルールは魔力の使用を禁止。
汚すぎる手を使いまくっての勝利であったが、対戦相手の魔法使いさんもカイルさんも見学してる人達も手放しで褒めてくれた。
どんな手を使おうが勝ちは勝ち、勝ったやつが偉いと胴上げをされワチャクチャにされた。
だが一回勝ったからと言ってそれだけで実戦に行けるわけではないだろうし、喜んでもいられない。
実際もう一度戦わせてもらったが一気に詰められて抑え込まれて負けた。
今度は噛みつき攻撃をしようとしてみたが、頭を鷲掴みにされてダメだった。
だけど悔しがっている時間はない。
何度も何度も戦いを挑み、負け続ける。
気付けば僕の顔に笑みが浮かんでいた。
その顔を見て魔法使いさんも口角が上がっていき笑顔になる。
模擬戦の時間が終わると疲れでへたり込んでしまいそうになるが、グッと堪えてカイルさんと走り込みを行いながら走り込みをした。
家に帰るときにはカイルさんも一緒に家に行くことになった。
なんの話かわからなかったが、僕はいつも通り裏庭に行き訓練する。
翌日、食事の席には両親とカイルさんが居た。
「アンドレイ、今日から模擬戦は森の中で行うからね」
「え?いいの?」
「うん、それを昨日二人に相談していたんだ」
その二人はニコニコしながら「うんうん」と頷いている
「俺たち最近森んなかに魔物狩りに行ってただろ。危なそうなやつは多少間引いておいたからよ。これからも毎日間引いてくし、護衛に何人か付けるから安心して模擬戦するんだな」
(最近ずっと森に入っていたのはその為なのかな。どっちにしろありがたい限りだ)
「これからの模擬戦は相手をするのは僕だ。実戦を前提に行うから覚悟してね」
いつものニコニコした優しい顔だが語気を強めて言ってくる。
「わかった。頑張る」
実戦に行くためにはそれだけの実力を付けなければならない。
僕はカイルさんと護衛についてくれた3人と共に森に入った。
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