第20話 きっと時には割り切ることも大事
次の日は通常通りの訓練が出来そうだったので、最後の最後の詰めとして魔力を消費する形で闇魔法の重力を使って訓練してもらおうと両親とデレじいさんに伝えておく。
広場に向かい訓練をして、途中で合流した3人に少し待ってもらい最後の追い込みをかける。
前回の訓練とは違い、出来る限り魔力を消費しないように気を付け余力を持たせた上で3人の協力をすることが出来た。
昨日と同じ大体の感覚で30ちょい位の重力を一人一人に掛けようとすると、制御が難しいのか中々魔力の消費が多かった為、節約の為出来る限りエリアを絞って3人に訓練をしてもらった。
そこで驚いたのだが、デレじいは昨日同様に身体強化を使っているのがなんとなく分かるが、お父さんとお母さんは素のまま訓練し始めた。
お父さんは愛用の大斧を持ち振り回し、お母さんはなんかでかく重そうな塊を両手に持ち、重りっぽいものを足に巻き付け重そうな靴を履き、華麗なフットワークを踏みながらパンチやキックを繰り出している。
正確にどれだけ重力が掛かっているかはわからないけど、同じ重力を一度自分にかけてみたら押しつぶされそうな感覚になったから本当なら立ってるだけで凄いと思うんだけども、軽々武器を振っていて心の底から憧れた。
昨日よりも効率的に使えるように気を使ったつもりだったが、予想より早く限界が来てしまった為、声を掛けた上で切る。
デレじいは倒れこみはしなかったものの片膝を着き大汗をかきながら息を整えていたが、両親はどちらとも変わった様子は無く、なんなら清々しい笑顔でニコニコしている。
「いやぁ~、アンドレイのお陰で良い運動が出来たよ!見事な魔法だった、ありがとうね」
「ガハハハハ、全くもってその通りだな!この調子で魔法も鍛えていけば、いつかお父さんとダッラより絶対強くなるぞ!」
僕はそれを聞いて嬉しい気持ちになると共に必ず追い越し、なんだったら度肝抜いてしまう位強くなってやろうと心に決めた。
「ウハハ、ホントに団長とダッラには敵わねぇな」
デレじいのその言葉を聞いたお父さんはニタァと笑いながらデレじいの首元を掴み無理矢理立ち上がらせた。
「デレルン、てめぇ随分となまってるんじゃねぇか?この位でその体たらくはなんだ?」
デレじいはお父さんの顔を見ないように明後日の方向を向いて小声で返事する。
「最近歳のせいか体がついてこなくてな、ウハハ」
それを聞いたお父さんは笑いながら「それなら若返れるように協力してやるよ。」と言い、デレじいを担ぎあげて訓練場の方に向かう。
担がれたデレじいはジタバタ暴れて叫んでいるのだがお父さんはビクともせずに訓練場へと歩いていった。
周囲の人達も巻き込まれまいと恐ろしい速さで離れていき、叫び声もまた遠くなっていく。
それを片目にお母さんは
「さぁ帰って飯にするよ!心配すんな!お父さんの分は後で作っとくから」
と言い僕を抱きかかえて帰ろうとしているのだが、僕はどちらかと言うとデレじいが心配でならなかった。
(まあいいや!明日からも頑張ろ!)
と遠くのデレじいに対し心だけ敬礼をして割り切り、この後する昏倒して気絶してしまう為、危険で失敗が許されないが日課にしている極限魔力消費の訓練と明日からの訓練に思いをめぐらせた。
そしてその日から毎日毎日、一日も休む事なく訓練三昧の日々を送るのであった。
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