第17話 お誕生日その2

それから1時間後くらい経った後で、お母さんはアリーさんと一緒に帰ってきた。


お母さんは手を洗ったのか濡れており服にちょっと血がついていた。


きっとあの冒険者さんは痛い目にあったのだろう。


「おう、やっと帰ってきたか」


「ただいま、アイツは多少痛い目に合わせてやったからこれからは少しは言葉に気を使いだろうよ」

それを聞きお母さんの隣にいるアリーは苦笑いする。

「あれが、多少ね……。こっちは結構直すの苦労したんだよ?」

さすがにちょっと同情しちゃう。

「まあ、しゃあねえだろ」

とお父さんも苦笑いしている。


するとお母さんが手をパチンと叩き、話始める。

「さあ、本題といこうかね。アンドレイ、あたしたち3人から誕生日のプレゼントがある」

すると僕を椅子に座らせ3人は物を取りに行くために部屋から出て行った。


この前もプレゼント貰ったばかりなのに、またもらえてしまうのかとちょっと申し訳ない気持ちになりながら、待つことにした。


それほど時間もかからず3人が色々な物を持って戻ってくる。


お父さんが僕の前に立つ。


手に持っているものはおそらく直剣で、鞘は竜の赤い鱗のようなものが剣先と根本部分以外にびっしりとついていてカッコいい!柄頭にはお父さん達の刻印が入っていてそれもまた惚れ込むかっこよさだ。


お父さんは剣を抜いて説明し始める。

「まずは俺から、これは俺が直接素材を取ってきたもんで、頼んで作ってもらった剣だ。この剣は竜の骨と鱗で出来ててな、剣を使えて損になることはないし、今後スキルの習得を目指す時に使ってくれ。大斧を使ってほしい気持ちはあるが、さすがに取り回しが悪いし、ちっちゃい内から大斧を扱おうとしてもどうしたって体の大きさが露骨に出るからな。さすがに今は大きいだろうがそれでもかなり軽めの重量になってるから多少は使いやすいだろう。柄頭には俺たちの刻印もしてあるぜ。あともう一つ、この剣は魔力を込めることで火を纏うことが出来る。扱いに気をつけろよ?」

そういって差し出された剣は全長が見た目的には大体80cm位で、刀身は赤みがかっており骨と鱗で出来ているとは思えないほど綺麗で鏡のように反射していて、柄部分は持ちやすいように何かの革で巻かれており、でこぼこしている。


差し出してもらったのは良いのだが、持った瞬間前のめりに椅子から落ちちゃうんじゃないかと思いつつ

「ありがとう!」

と言い刃で手を切らないようにそっと受け取る。


最初に持った印象はすごく軽い。


身体強化を使ってはいるものの普段練習で使っている剣と比べてもすごく軽いし、これならちゃんと振ることが出来そう、そう思えるほど軽かった。


そして、刀身が暖かくすべすべしていて触ってて気持ち良い。


でもずっと触ってたらケガしてしまいそうなのでお父さんに鞘を持ってもらい納める。


「そしてだ。さっき貰ったマジックバッグあるだろう、それにこれを入れよう」

と言われたので、貰ったポーチを開けてお父さんの方に向ける。

(ポーチだけどマジックバッグなんだなぁ)

と考えていると、80㎝位ある剣がどんどんポーチに飲み込まれていく。


なんとなく性能は想像できていたとはいえ、目の前で見るとあまりに不思議な光景に感動してしまった。


多分僕がおかしな顔をしてるのだろう、3人とも笑ってる。


次はお母さんの番、と思ったらアリーとお母さんが同時に前に出て来て袋から革製の物と思われる真っ黒の防具を4つ取り出したのだが、その内籠手とブーツには白くなってる部分がある。。


「あたし達からは防具を用意した。素材ももちろんあたし達が取ってきたんだ。まずは胴と脚の防具からだ。これはゴライアスって言う名が付けられたネームドのオーガの革から作られててね変わった能力はないが目を見張るのはその防御力さね。あたしがどんだけ殴ろうがびくともしなかったから目に手を突っ込む羽目になっちゃったんだ。アハハハ」

と笑っているが、そんな相手を仕留めたお母さんマジパネェってなっちゃった。


「じゃあ次はあたしから、この籠手とブーツにもゴライアスの革が使われてるんだけど、籠手にはバカ固いオーガの骨を線状に入れてあるから剣を受けるのにも使えるし、殴ってもかなりの威力を発揮するはずだ。ブーツの方にもつま先と踵部分にも同じように仕込んでる。これらは全部大きさが使用者の体格に合わせれる効果を付与してもらってるから、大人になっても使えるし、ちゃんと歩けるようになったらこの防具を着て訓練するのもいいだろう。魔力を込めながら持ってみな」


二人は同時に僕へ差し出してくれたので感謝の言葉を言いつつ受け取ったのだが、魔力を通した瞬間僕サイズのミニチュア防具に様変わりする。


こういう不思議現象を見るとしみじみと思う……魔法万歳!


そして僕は貰った物を見て、これからの自分を想像しニヤニヤしているなか、僕の反応が面白いのか3人はニコニコしながら見守ってくれていた

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