第13話 プレゼント

2日後、騎士達の一部を残し皇太子様方はどこから来たかは分からないけど帰っていった。


ちなみに赤ちゃんのアイリスちゃんの魔法の素質は水で、魔力量は僕よりも多かったみたい。


教えてもらって魔力量の増やし方はとにかく尽きたと思っても使い続け、自分の限界を超えるまで使い続ける事。


もちろんこの増やし方は危険も伴うので両親から本当にやるのかと聞かれたが、出来る事があるならやりたいとアピールをしてアリーに張り付いてもらいながら訓練をするという条件で魔力を限界まで使い続ける事にして、素質のある属性を使ってもいきたいので危険性が特に高い火属性を使わない約束をした上で軽く使い方を教えてもらった上で、出来る限りアリーか両親のいる間に訓練をしていった。



そこから更に3か月位時が経ち少し肌寒く感じる事が多くなった頃、つかまり立ちからつたい歩きまで出来るようになり、一瞬なら立てる……、でも喋ることを出来る限り練習しているが中々難しい。


そんな中、両親からプレゼントがあるという事でお出かけすることになった。


商人が来ており村の中心部は賑わっていて、アリーがこっちに手を振ってるのが見えた。


アリーの元へ着くと、そこは武器を売っている商人が居て周囲の人達も鋭い目で武器を吟味している。


お父さんが商人に話しかける

「頼んだやつはどこだ?」


「勿論出来ていますよ。ガンズの旦那は相当困惑していましたよ」

と苦笑いしながら、背後にある荷車から布に包まれたデカい物を顔を真っ赤にしながら取り出し、父の元に持ってくる。


周囲の人たちも気になっているようでチラチラ見てきているみたいだ。


お父さんはそのデカい物を持ち布を解いていき、それを僕はお母さんの胸の中で見ていた。


少しづつ見えてくるそれは黒く、よく磨かれているようで光を反射しており、獰猛に笑う狼の刻印が入っている。


段々と姿を現してきてやっとわかった。

(これは斧だ、それも両刃の大斧、長い柄で持ちやすくなっている。でも刃はついてない?)


布を取り払った斧を掲げると、周囲から『おぉ』という声が漏れる。

「アンドレイ、これはお前に使ってほしくて作ってもらった大斧だ、格好いいだろう?俺達の刻印も入ってるんだ。ほら、この部分に触ってみろ」

と言いお母さんに抱えられた僕に柄の少し凸凹している持ち手部分を差し出してくる。


その様子を商人は不思議そうに見て来ているが仕方がない、僕は手を伸ばし柄の持ち手に触れる、……すると斧がドンドン小さくなっていき僕が持てそうなおもちゃサイズにまで小さくなる。


それを見て目を丸くする僕を見てお父さんは満足そうな顔をしながら話をつづけた。

「これはな、刃がついてないから大きい怪我の心配も少ないアンドレイ専用の訓練用大斧だ。大きくなって俺の大斧を使えるようになるまでこれで訓練してくれると嬉しい」

そういって差し出してきてくれたので両手を差し出し重量に耐える為に身体強化をしながら受け取る。


ずしっとしており、かなり重かったが何とか抱えて溢れ出る嬉しさを噛み締めながらグッと力を入れて掲げた。


……その瞬間。


弾けるように周囲が声を上げ、拍手をする……。


勘違いでも良い、だけどこの瞬間、僕は村の戦士達の一員になれたと、そう思えた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る