第11話 気になる魔法の素質
「それと手紙に書かれていた、魔法の素質を見る魔道具を持って来たけど早速使ってみるかい?」
と言い、懐からすっと持ち手のあるデカい水晶を取り出し、その持ち手を台のようにしてテーブルの上に置く。
(次元収納みたいなアイテムボックス的なのがあるのか)
と考えながらその水晶とアレックスさんを見ていると、お父さんが問いかける。
「どうだ、自分の魔法の素質が見たいか?」
と言われたためもちろん頷く。
すると僕をテーブルの上に置いてくれたので、ハイハイして水晶を触りに行く。
大人二人が見守る中、恐る恐る手のひらで水晶を触る。
水晶の溢れる光は前世で見学した教会のステンドグラスから差す光のようでとても幻想的だった。
とはいえ、光が溢れて綺麗だったとはいえこれで素質なしと言う可能性も考え我に返りアレックスさんの顔をじっと見た。
「……ゴルダス。君の息子は素晴らしい素質を持っているよ」
「そうであってくれて嬉しいんだがどんな素質を持っているんだ」
「光、闇、火、土だね。光と闇というかなり珍しい属性二つに、恐らくダッラから引き継いだであろう属性二つ。そもそも多属性持つ者自体が珍しいのに、4属性持ちで更に光と闇を持っている。これはとてつもない事だよ」
「そうなのか?俺にはよく分からないんだが……」
「もちろんさ、まず光属性と言うのはアリーが持っている聖属性とは別で、聖属性は特にアンデッドに対して効果を発揮し、回復魔法や支援魔法を使えて素質が無い者でも適性があれば修練によって得る事が出来る属性だ。だが光属性は違いそもそも素質のある者でしか扱えず、聖属性の上位互換と言われていて、アンデッドや回復・支援は勿論のこと、光を自由自在に扱えるんだ。文献によるとその昔光を自由自在に操った賢者が手から光線を放ち、それに当たった魔物達は灰となって消えたそうだ」
「そりゃ随分と物騒で良い力を持ったもんだ。そんで闇はどんな属性なんだ?」
ちなみに聞いているぼくは一言一句逃さないよう、超真剣に聞いております。
「闇属性は名前だけ聞くと良くない印象しかないだろうけど、結局は使い方だ。まず闇属性にも近い属性は存在していてそれが邪属性だ。邪属性には性格破綻者や壊れてしまった者などが殺人や快楽に溺れた上で適正があれば得る事が出来る属性なんだ。あ、アンドレイ君の前でこんな話をしてごめんね?」
ふと気付いたように僕とお父さんに謝ってくるが、正直そんなことより続きが気になるので首を振り、お父さんも「気にする必要はない」と言った。
苦笑いしながらアレックスさんは話を続ける。
「わかったよ。邪属性はアンデッドや毒を産み出したり、洗脳・弱化魔法を使うことができる。闇属性はそれらを使える上で、周囲を暗闇で包んだり、重くすることが出来るようだ。それこそ立っていられないほどにね。今言ったのが出来る事の全てではないだろう、光と闇属性というのはそれだけ素質を持つ者が少なく研究が進んでいないんだ」
それを聞いた父は何かを考えているかのように顎を撫でながら質問をする。
「……なあ今、周囲を重くすることが出来ると言ったがそれはもしかして重力を操れるという事か?」
「うん、そうだけど。……まさか?」
父の質問になにか心当たりがあるようだった。
「ああ、俺が使ってる加重の大斧を使えば使うほど力を引き出せてないと感じることが多くてな……。」
するとアレックスさんは苦笑いし始める。
「あんなに恐ろしい戦果をだして相手を恐怖に陥れていたのにかい?」
やっぱりお父さん凄く強い人なんだ。
(ずっと思ってたけど皇太子様にタメ口をきいてるもんな、只者ではないのは当たり前か)
「そう言われてもな。正直あの武器は俺の手に余るものだ。ずっと何が足りないのか分からなかったんだが恐らくその重力を操れることがカギになるんだと確信した」
そう言うとお父さんは僕の顔を見つめてくる。
「デカい斧は好きか?」
ロマンの塊!デカい武器は憧れでしかない!僕は当然力強く頷く……、なんなら身体強化を使って全力でブンブン頷いた。
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