第7話 決意

アリーが僕を抱いて家に着くとそのまま家の中に入り声を上げる。

「ゴルダス!アンドレイ連れてきたよ!」

その声に反応し奥の部屋から声がする。

「おう、今行く!」

ドスドスという足と共に奥の部屋から父が姿を現す。


(やっぱり他の人と比べても両親は頭一つ抜けて大きいな)

身長がそれなりに高いであろうアリーの頭が胸より下の位置にあるから天井が低いように錯覚してしまう。


僕をアリーからそっと受け取りながら口を開く

「ありがとな、アリー。ダッラはどうした?」

苦笑いをしながらアリーは答える。

「いやぁ、皆が戦ってたのを見てアンドレイが凄く喜んじゃってね。それを見たら皆が見てほしいってアンドレイの目線の先を取ろうとして取っ組み合いになっちゃってね。そんでそれを見てダッラが鬼になっちゃって説教を始めちゃったの。だからあたしが連れてきた」


「ッフ、よっぽど喜んでくれてるのが嬉しかったんだな……。」

そう言った父は、僕を見つめて質問してきた。

「アンドレイ戦ってるの見るのが好きなのか?それとも魔法か?」

なので僕は両手で父の胸を叩く

「どっちも好きなのか?」

伝わってくれたので喜んで見せるとそれに対してアリーが反応を見せる

「たまたまだろう?赤ちゃんは言葉を理解しない。ただの偶然さ」

普通はその通りだと思うんだけど、理解できちゃうからなぁと考えていると

「俺もそう思っていた。だが実際に理解してしまっている……。理由を考えてみたんだが、この子を産む時にダッラがペンダントについていた宝石を握りつぶしてしまったんだ。その時に光が放たれた。多分それでこの子の体に何らかの変化をもたらしたんだろう」


(そんな事が起きてたのか!じゃあ僕がこの体になる前にみた光はその光?)


僕が衝撃を受けている間にも会話は続き

「確かにあの時ドアの隙間から光が漏れてた気がしてたけど、気のせいじゃなかったってことなの?」


「まあな……。考えたって仕方ないし、どんな事が起きたって俺らの子供だ。それは変わらないし、この子が望むことは出来る限りやってあげたい。文句言ってくる奴がいたらそいつの顎を引き抜いて喋れなくしてやる」

それを聞いて僕はちょっとした恐怖と、何よりも両親に対して失礼だったと恥ずかしくなった。


確かに親は親だけど、僕の本当の親は元の世界の親だからなーとか心の中のどこかで考えてしまっていた。


だからこそ僕は、心に決意し認識を改めた。

(僕のお父さんはゴルダスで、お母さんはダッラだ!この世界で全力を尽くして生きよう)


「そうだね、あんたらの息子はあたしらの息子だ。……それで、魔法を使って戦ってるのを見たいのかい?」

そういうとお父さんに抱かれた僕の方を見てきたので、喜んで見せると

「そうかい、そうかい。でも赤ちゃんの頃からあたしらの言葉がわかるってんなら、話は速い、魔法を学んでいけば良い。どれだけ小さい頃から訓練していたかがその後にもかなり繋がるからね。どうだいアンドレイ?」

アリーとゴルダスは僕の方を見る……。


(もちろん、やらせてもらえるのなら絶対にいくらでもやってやる)


その決意と共に同意の喜びを見せる……と、同時に我慢していた下の物が出てしまって本当に恥ずかしくなった……。


穴があったら入りたい……、まともに動けないけど。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る