第■■話 メイちゃんラブラブコメディみんなチャンネル登録……
「……て、……きてよ」
コウスケは、自分の体を揺らし、起こす声に気が付き、意識が段々覚めてくる。
「起きてえ! 幸助!」
「ぎゃああああ! め、芽生! お、起こすときは、もっと優しくって言ったろ!」
「えー、だって幸助は、こうでもしないと起きないじゃん。学校遅刻しちゃうよ?」
コウスケが目を覚ますと、自分の腹の上には、幼馴染で同居人の芽生が制服姿で、コウスケの腹の上に跨っていた。
「……学校? お、俺が?」
ぼーっとした感覚が残る中コウスケは、意識を戻し時計を見ると時計の針は八時を指していて、コウスケは、芽生の存在を忘れ飛び起きる。
「きゃあ!」
「やっべ! 遅刻じゃん! って……そのごめん」
コウスケが飛び起きたことにより、制服を着た芽生は押し倒されたように、ベットに転がり、スカートの中の白い布がコウスケの視界にばっちりとさらけ出される。
「み、みないで! きゃあああ!」
「ぐ、ぐえ!」
コウスケは、恥ずかしがる芽生だったが、コウスケは、恥ずかしさより痛みが勝った。
生まれた時から隣のベッドで寝ていた。中学生に上がる前までは、一緒にお風呂も入っていたからか、特に恥ずかしがることもなかった。
芽生とコウスケの両親はお互いに、再婚し幼馴染であった芽生は、義妹として同居することになってからも同じ。
「い、今頃パンツ後時見られたって、恥ずかしがるなよ! 痛いなこのアホ」
「あ、アホはどっちなの! 私だって、もう子供の産める女の子なの! 精通を済ましてる幸助に犯されたら、子どもができるんだよ!」
「そういう生々しい話は、やめませんか!」
赤面しスカートで、パンツを隠す芽生は、赤面しコウスケを怒るが、コウスケもあまりに生々しい話に流石にツッコミを入れた。
いつもの日常、魔法も超能力も何もない普通の世界。
コウスケは、そんな日常を噛みしめるのであった。
「扇先生でーす。転校生を紹介しまーす」
日の当たる教室、金髪の男性教師がかったるそうにいうと教室がざわめく。隣の席に座る芽生は、コウスケにワクワクとしたように声をかける。
「幸助、転校生だって! 美少女かもしれないよ」
「んな、ラブコメじゃあるまいし」
「えー、ラブコメみたいなラッキースケベ男がよく言うよ」
「ぐぬ……その話はもうやめてもらおうか」
通学中、散々からかわれてきたネタにコウスケは、やめてくれと言わんばかりの表情をしていた。
「じゃあ入れー」
扇が、ざわめきを無視して転校生を呼ぶと、生徒たちはさらにざわめきだす。朴念鈍感系男と揶揄されるコウスケですら、その転校生を目で追ってしまう。
流れる長い黒髪に不思議な赤い瞳、スタイルは、モデルの様で、出るべきところが出て、引っ込むところが引っ込んでいる俗にいう、絶世の美女であった。
「初めまして私の名前は、塚本真理です。モデルをしていて、写真は撮れな……ってアンタ! さっきは、よくも!」
真理は、コウスケを指さすと思いっきり怒ったように声を上げるがコウスケは、真理を見たことはなく、ポカンとするが、真理は、教壇から全力疾走をするとコウスケに思いっきりドロップキックをかました。
「ぐへ!」
「さっきは私のパンツを見てくれたわね!」
「わわ、幸助がついに変態に! ちょっと、えーと塚本さん! 幸助は確かにスケベだけど! 今日の朝も私を無理やり押し倒しはしたけど! 今日は私と二人で登校していたからそんなことはないし!」
「へ?」
芽生は、幸助をかばうが、真理は怒ったように真理に訴えると、真理は踏んづけたコウスケを見て青ざめる。
「う、嘘! なんか引っかかることはあったけど、ちょ、やだ! 完全に勘違いじゃない! ご、ごめんなさい!」
「ぴ、ぴぎい……」
「し、しなないでえぇぇぇ!」
コウスケは、突然のドロップキックに失神してしまう。
そんなコウスケをかかえて、真理は、叫ぶのだが、やれやれと芽生はため息をするが、その殺伐とした教室。
扇だけは、冷静に冷たい目で真理に言い放つ。
「塚本、放課後は職員室な、目が覚めたら、大柴にも同じく職員室に来るよう伝えろ」
「は……はい……」
真理の転校初日は波乱のモノになってしまった。
「……なぜ、俺まで扇に怒られたんだ」
「そ、それはその……ごめん……」
放課後の帰り道、転校初日の暴力事件とわいせつ容疑で呼び出された真理とコウスケは、どこか気まずそうに夕日の射す学校をとぼとぼと歩いて帰る。
「それは、どうでもいいんだ……塚本さん。それに関しては、謝ってくれたし」
「そ、そんな! こんなんじゃ足りないわ! そ、そうだ! ウチでお茶でもしてい
くなんてどう? それくらいしかできないけど! ぜひ! これ以上自分の汚点を増
やしたくないので償いとしてぜひ!」
勢い任せのお願いにコウスケは少し戸惑うが、スマホを取り出し、真理に一声だけ掛ける。
「なら待って、遅くなるって芽生に連絡するから」
「そういえば芽生さんって、妹さんです? 双子にしては似てないけど」
「あー、話すと色々ありすぎるが、俺と芽生は、幼馴染で義兄妹なんだ」
コウスケは、自分と芽生の関係が中々に面倒で説明もしているうちに雑になっていっているが、真理は違った。
わなわなと拳を握ると、急にオタクみたいな早口になる。
「いや義妹で幼馴染ってエロゲーか! いやエロゲーはエロゲーでも、あのゲームとあのゲームのようなハイブリットな設定! むしろエロゲーより、エロゲーなのでは! そしていきなりの転校生……それは、恋愛ゲームの始まりと同じで……いやいや! そうなると私が攻略対象……確かに私は、同世代の子よりもスタイルには自信ある美少女である自負はあるけど! つまり、これは、メインヒロインが、芽生タソと私であり……でゅふ! つまりエンドによっては、私と芽生タソのハーレムエンドも! そうしたら、合法的に芽生タソの体をぺろぺろできるのでは! 大柴君! いや、幸助君! 攻略するならハーレムエンドをキボンヌで!」
……絶句。
幸助は、その早口に絶句をしていると、携帯のメッセージに芽生からの通知が流れる。
『分かったよ! というか、悪寒が走ったのはなぜ?』
やばいのに絡まれたとコウスケは、名の悪寒を信じ、しれっと自宅に帰ろうとするのだが、真理に両手を掴まれ、それを阻まれる。
「幸助君……ニガサナイヨ」
「ひ、ひい……」
コウスケは、その握力と表情からか、動くことができず、脱出はあきらめるのであった。
そして、コウスケは、真理の家に連れていかれるのであった。
「ただいまー」
「お、おじゃましまーす」
段ボールが積まれ引っ越しの荷解きが終わっていないマンションの一室、真理は、扉を開けるとそこには、黒く小さいカラスを肩に乗せた銀髪のボブカット少女と前髪で目が隠れそうな少女が、なぜかネコミミメイド服を着て出迎えていた。
「お帰りなさいですにゃんお姉ちゃん……とそこにいるのは……ふむぅ、お姉ちゃん。さすがです! 初日からルートの突入とは!」
「え……く、クリスちゃん! 帰ってくるのはお姉ちゃんだけだって……お、おおお……男の人に、見られたよ!」
「もう、スズちゃん! そんな恥ずかしがらなくても大丈夫! お姉ちゃんルートに入った主人公君(仮)は、ロリコンではなく巨乳はなので」
カオス。
状況はカオスであった。ネコミミメイドの小学生女子が二人、しかも片方は、肩にカラスを乗せるという中二病。
そんな状態に真理は、頭をかかえて溜息を吐く。
「ごめん、幸助君。言うのを忘れていたわ。うちには、頭のおかしい妹がいるのを教えていなかったわ」
「え……い、妹さん?」
コウスケは、二人を見比べる。おそらく妹である女の子は、言動で銀髪ボブカットの女の子なのだろうが、脳みその理解が追い付いていなかった。
「はーい、大塚クリス! 正真正銘血のつながった妹です! 髪と目は、アルビノ? というものです。ちなみに好きなゲームは、エロゲーの鍵っ子です! ちなみに強引にいたすのは、少し好きではないです! あと、このカラスの名前は、ペットのレーラです!」
「え、えと、三浦スズ……です。その……うぅ、く、クリスちゃんのお、お友達……です」
「かあかあ」
オタク姉妹……しかもエロゲーマーと来た。カラスには、いろいろ言いたいコウスケであったが、それ以上にただ、小学生がエロゲーをやっていいのだろうか、ジト目で真理を睨むコウスケ、真理は、私関係ないと言わんばかりに目をそらし、クリスに耳打ちをする。
「く、クリスさん……実は、このコウスケ君はね……ごにょごにょ……でもって、ごにょごにょなの」
「な、なんですと! これは事情聴衆ですね! スズ、お姉ちゃんの部屋に集合です」
それを聞いたクリスは、驚いてスズの手を引き、真理の部屋に入っていく。
その目は野獣そのもの、先ほどの真理と言い、クリスと真理は、姉妹なんだなと実感するコウスケだったが、真理に手を引かれる。
「あー、ごめん。ちょっとうちの妹は強引でね。じゃあ、入ろうか」
「え、ちょ!」
そのままコウスケは、真理の部屋に手を引かれ、真理の部屋入っていくと、そこは想像とは違い常軌を逸していた。
「な! こ、これは」
髪が天井から壁床に至るまでおびただしい量が敷き詰められ、屋の中心には、ポツンと置かれた古ぼけた鏡台が置いてあった。
真理は扉を閉じるとコウスケは、恐怖を一瞬覚えたが、その後、頭痛に襲われる。
「幸助、気が付いた? ここは、メイの干渉を受けない唯一の安全圏。さあ、リベンジよ」
コウスケは、全てを思い出した。
この世界は、メイのスキルによって作り替えられた世界。今、自分たちが、メイと戦っていること、リスタトリニティで起きた事件から何もかもすべてを思い出したのであった。
「なんと、まあ……で、クリスが二人いるが、呼び方はどうするんだ?」
「まあ、戦いが終わるまでは、真理でいいわよ」
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