第26話 やほー、ようやく登場メイちゃんだぞ。私のスキルを先にネタバレすると……まあ読んでよ。  カクヨム読者様達

 レイラの姿をしたメイは、抜けた天井から射す月光に照らされ、王座から降りる。

瞬間、肩ほどの金髪ツインテールに幼さの中に大人の雰囲気のある姿に変わる。

生前のメイの姿。


「あ、あの人は! え、レーラさんは?」


「うーん。せっかくの再会なのに外野がうるさいな……白痴の空間」


驚いて話しかけるスズにメイは、面倒そうに手を叩くと、世界がモノクロになり動きを止める。その中で色彩を放つのはコウスケとクリス、そしてメイのみ。

それ以外すべてのものは、時間が止まったように動かなくなる。


「さあ、必要な登場人物以外は、全員この場面に登場しないからゆっくり話そう二人とも」


「メイ……お前がなんで……」


「そ、そうよ。アンタは私のスキルの中にいたはず!」


 子供のような笑顔のメイに対して恐れるような表情のクリスとコウスケは、状況が把握できず現状への問いただしをする。


「うーん。分かりやすく言うと……私、レーラちゃんの中に転生したんだけれど、黒竜でも最強のレーラちゃんは、生まれた時から頑強な肉体と魔力で守られていてね……表に出ることは絶対にできなかったの」


レーラに転生していたという、メイ。

コウスケは信じられないという表情をしていたが、クリスは考え込んでぼそりという。


「私と同じパターンね」


「そうそう! 流石は、真理ちゃん。私もレーラちゃんの肉体に転生したの! けどレーラちゃんの魂は、生きていて転生は、中途半端だったんだ……でね、このままじゃ大変だーって思った私だったんだけれど、私のスキルって便利でね。このスキルを使って、どっかにいる分からない登場人物を殺して、そこに真理ちゃんを転生させて、転生時スキルの中に私の魂を紛れ込ませてしまおうと思ったわけです!」


「わ、私のスキル」


並列地獄リンフォン、それは、真理がクリスに転生した時に持っていたスキル。

自由なスキルを三つ作成、三回目のスキル作成と同時に、使用者の世界が地獄になるように改変される。

しかし、クリスにとっての問題はそこではなかった


「待って、つまり、私は、アンタがこの世界に復活するためにスキルで転生させられたってこと! しかも何の罪もないこの子を殺してまで!」


「そうだよ。別にこのお話を進めるためには必要な犠牲だし、それに貴女には、異世界転移魔法で私の幸助を召喚してもらうという役割を持ったキャラ設定でしたので」


「ならレーラも!」


クリスは、怒りの表情をメイに向ける。この口ぶりだと、レーラも殺された可能性がある。

しかし、メイは、残念そうな表情のふりをする。


「はあ……殺せていたらいいんだけれどね。レーラちゃんの言う最終奥義は、私の疑似召喚。まあ、スキルは、レーラちゃんの命令以外では自由に使えないんだけどまあ、だから、ひそひそと対価と言い、黒竜の鱗を貰ったり、ニーズヘックを遣わせて黒竜の混ざった血を集めたんだよね。黒竜って、強いから、これでも数分の肉体乗っ取りしかできないんだけどね。あとは、私のスキルで乗っ取りの時間をいじくると、レイラとして新しい肉体を手に入れるということなんですね」


おかしい、コウスケには疑問が浮かぶ。

コウスケは、酔った勢いのクリスにより異世界転移をしてきた。それは、メイの企みで、転生の事実すらも改ざんする。

事象すらも捻じ曲げるスキルコウスケは、気が付く。


「俺が転移した時、死ぬ瞬間よりも体が若くなっていた。それ込みでお前は、スキルを使ったな」


「あーん、流石、幸助。そう、今のあなたの姿は、私の初めてを奪った時の年齢……キャ恥ずかしい! 親友の前で私ったらはしたない」


メイは、わざとらしく演技をすると、仰々しく腕を広げ、純粋な子供のような目で意気揚々と話を続ける。


「そう! 私と幸助のラブストーリー第二幕は、異世界ものがいいなと思いましてね! 前世での夫婦が出会ってチート無双! でも、そんなありきたりなお話じゃ読者は、楽しんでくれないと思いましてな! 今回のように少しヘビー目なお話にしてみたんだ! いいでしょファンタジー世界観。女神なんて出しちゃうと物語のテンポが悪いので省いてみたところなんて、中々いけてると思わない?」


「メイ……お前はまだそんなことを」


「そんなこと? ヤダな、この世界は、転生ものチートカクヨム投稿小説だよ! もっと楽しまないといけないよ! 読者からいいねがもらえないよ! 読者のみんないいねしてね……とか言うのは流石に無礼だよね」


前世のメイには、一つの病があった。


解離性物語症候群。

世界が、現実と認識できず、自分含めた全ての生き物は、物語の登場人物にしか認識ができないため、現実に存在するものや事象全てに愛着が持てなくなってしまう病気。


そのためメイの言動は、物語のメタ発現、第四の壁を壊したような話し方をしてしまう。


「メイお前は、親が死んだ時に、解離性物語症候群を発症した。そう思っていたが」


「うーん? 何それ、私は、病気じゃないし本当の事だよ。前世は、恋愛ゲームの世界で、今は、投稿小説の世界。本当のことって、前世からずっと言っているのに、やっぱり幸助は信じてくれないんだ。っと! わお、ビックリ。今の場面は、私の転生の話をする場面だから、攻撃はできないはずなのに……変な真理ちゃん。違う、その意思は、クリスちゃんね……本当に邪魔」


メイの話す言葉の途中、クリスの打った火球を避けると表情がなくなる。クリスは、怒りの表情で、杖をメイに向ける。


「今の私は、クリス。真理は、亡霊なの」


「あー、そういうこと。これは、ヒロインが覚醒して、世界を塗り替えるパターン。つまんない。本当にその展開は、クソだよ? もっと面白い展開があるのに興ざめだよ」


冷たい目に、感情のこもっていない笑顔。

コウスケは、このままじゃいけないと思い、杖をメイに向けるがメイの表情は変わらない。


「あーあ、真理ちゃんのせいで展開が変わっちゃったじゃん。まあいっか。なら私のスキルを次の地の文で詳しく解説しちゃう! しかも一人称視点に変わるので読者のみんなは注意だぞ! なんつって」






 私、こと麗しい美少女で大柴幸助の嫁こと、大柴メイのスキルは、白痴の神様だぞ。

このスキルは、私がアルマテリア王立連合国のある異世界、地球そのものになり替わることができるの。

簡単に行っちゃえば、この物語、世界を自由に改変、操作ができちゃうんだ。

だから、私がこの物語は完と言っちゃえば終わる。まあしないけど。

というわけで、今回の一人称はおしまい。次からは元に戻るから安心してね。






「……な、なんだか、本当にクソみたいな能力の情報ね……ずっと知っていたような」


「お、同じく。まあやばいのは、伝わった」


 クリスとコウスケは、突然の静寂の後、急にメイのスキルに関する情報を手に入れて戸惑っているがメイはお構いなしであった。


「はい、では、教えましたスキル使っちゃおうかな。うーん、そうだな。まずは、バ

トル物にならないようこの世界を改変してみましょう! 白痴の夢、発動! 内容は……そうだな。私たちの過去をそのままラブコメにするなんて感じで」


 メイは、そういうと楽しそうに手を叩く。

その次の瞬間、世界中の生物は、一瞬の暗転の後、一度意識を失ってしまうのであった。

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