第10話 鏡よ鏡…あsdfghjklslvhjblhl(解読不可)
「すげえ! この鏡、たぶん普通じゃないんだろう!」
「そりゃそうよ! 写したものを殺すかもしれないし、未来を写すかもしれないし!」
巨人を倒し、開かれた扉を入るとそこには、人の背丈より明らかに高い鏡が祭壇の上に立っている。クリスとコウスケは、前のめりにその鏡に近づくが、レーラは、一歩引き二人を見ていた。
「……知っていましたよぉ。うぅ、私がまだ甘いのは」
レーラは、目が覚めると、コウスケ達に開放されていたのだが、自分が冒険者として甘いことに恥じらいを覚えていた。
そんなこともあり、二人の後ろをとぼとぼと歩いていた。
「ささ、見てなさい二人とも、大魔法使いクリス様の鑑定を……展開『すきる:こう
かいだいかんてい』」
クリスが魔方陣を編むと突然世界がモノトーンになるクリスとレーラ。
そして瞬間流れる映像は、どこかの王宮。
見たことない映像、そこには、銀色の髪をなびかせドレスの少女が、楽しそうに走る。
それを追いかけるメイド服を着た女性。
『あはははは、魔法の勉強なんて全部頭に入ってるもーん『展開:神速』ふふーん、ママじゃないと私には追い付けませーん!』
『ああ、姫様お待ちを!』
そして全力で春少女は、走っていくと途端に世界は暗転。何も見えない世界に少女は、大慌てをしだす。
『ど、どこ……ここ……ま……ママは?』
そして少女の前に白い靄が立ちふさがり少女は立ち留まるが、そこには、白い靄に包まれ見えなくなっている人がが手を差し伸べていた。
『君は……どうしたの?』
『わ、私、いきなり雷が落ちてそれで、それで目が覚めたらここに』
『そうか……そうだね……。私も目が覚めたらここにいたんだ』
『そうなのね、じゃあお揃い!』
少女は、何の不安もなさそうに満面の笑みで靄に笑いかける。
『君はこの後起きることは理解できている?』
『わかんないけど、アナタがいるなら安心ね。一緒に行こ! 貴方は寂しそう!』
靄は、手を握られ戸惑ってしまう。
『ちょっと! そんなのだめだ! 私たちは、行くべき場所に行かないと』
『私、やらないといけないとか、するべきとか。そういうのは嫌い! だから貴方にもそれをわかってほしい!』
その言葉の瞬間、バチンという音と共に視界が白色になる。
そして、刹那、少女と靄は、重なり合い一つになっていった。
そして気が付くと元の世界に戻ってきたレーラとクリス。
コウスケにとっては何が起きたか分からないのか、二人がいきなり倒れたように見えていた。
「あ、あれここは……てかあの過去……」
「く、クリス、レーラ大丈夫か?」
クリスは、目覚めた瞬間顔を赤くしていたが、レーラは、何が起きたか理解できずありのままのことを話そうとした。
「うぅぅ、いきなりなんでこんな。ていうかあの少女は、もしか……もごもごもご! し、師匠! いきなり水魔法を使わないでください! くる……し……」
「しゃべっちゃダメ! あれは恥ずかしいのよ! わ、忘れて!」
顔を真っ赤にして、涙目のクリスなんて初めている光景。コウスケは、あまりのギャップに恐怖しながら話しかけようと試みる。
「く、くり」
「なによ……今、喋ったらレーラを殺す。コースケ、アンタも過去写しの鏡を早く鑑
定しなさい。媒介のスキルがあればできるでしょう!」
だめだ、言うことを聞かないとレーラもろとも殺されると察したコウスケは、杖を鏡に映すと、クリスと同じように呪文を唱える。
「え、えと『想像:公開鑑定』」
おずおずと、コウスケは、触媒スキルにより鑑定スキルを想像し発動するとコウスケとレーラの視界はモノトーンに点滅する。
「もご、な、なんでわたしまでぇえええ!」
視界のない世界。
何かに引かれ階段を歩く。コツン、コツン聞こえる足音は、どこか怯え、恐怖の交わる音。
何も見えない世界。
ただ登るだけ、それだけのはずなのに、どこか怖く、恐ろしい。
コツン、コツン、コツン
コツン、コツン
コツン
そして永遠にも思えた登壇の時間は、終わる。
そして、引かれることは、終わり、何かを首にかけられる。
ひんやりとした空気、何も聞こえない声であったが、ようやく聞こえてくる声。
『何か言うことはあるか』
その声は、どこか怒りがこめられているが、何か使命感なのか、淡々と抑揚のない声のように演じている。
そんな歪なセリフ。
ただ響き、そして、答えが返ってくる。
『(隠匿のスキルによりすべての発言を検閲添削いたします。)』
『そうか……始める』
何も聞こえない。
なにも分からないただ、スキルが発動したようにしか思えない発言。
それから、数秒後ビィーーーーという不快な音。
同時に浮遊感が体を襲った。
瞬間、粉砕音のようなものが鳴り、意識は、飛ぶ。
元の世界に戻っていくのであった。
「く、苦しかったです……」
「謝っているじゃない。ねえコースケ」
「まあ、レーラがなぜ俺たちの過去を見れたかは定かではないが、恥ずかしいんだぞ」
夕日の射す遺跡、あの後結局目を覚まさなかったコウスケとレーラは、クリスの魔法で外に運ばれ、気が付いたら報酬を受け取り次に行く街へと続く道を歩いていた。
「そうですが二人とも……ひぃ!」
となりを歩くコウスケとクリスは、レーラを見ると過去を見た話は、するなと言わんばかりの満面な笑み。
悪魔の様に吊り上がる口角に瞳。恐ろしい。レーラは、押し黙ってしまう。
他愛もない話、レーラは一人上の空に考えていた。
クリス、彼女の旅の理由、きっとそれはだれかに会い、約束を果たすこと。
何があったかは分からないが、それがクリスにとっての旅。
過去をあまり話したがらず、旅の理由もわからなかったクリスだが、なんだか親近感を覚えるレーラは、クリスをより一層敬えるような気がした。
対して、コウスケの過去は、到底理解もできず、所々スキルで隠匿されていた。
そして転移者特有の魔獣を初めて殺した時の罪悪感も全くなく、まるで生き物を殺し馴れているようであった。ある意味でレーラには、怖く感じる。
クリスとコウスケ、お互いは、お互いの過去を知らない。
だから分かる。
二人の心は、深い闇がある。
冒険という言葉をダシにして自分の目的を果たそうとするクリス。
内に秘めた狂気をひた隠しにし、少年のように冒険を楽しむコウスケ。
この二人をパーティーに冒険し自分が今後どれだけの苦労をするのだろうか。
考えただけでレーラはめまいがしてしまった。
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