第15話 カエルの出世
プログラムされたNPCって言ったって、ここは天下のノーサンクス。ユーザーの精神に直結、さらに安全のためにバイタルも監視している環境で、自動会話の精度は跳ね上がる。人工知能は学習を繰り返し、対人ゲーム業界においてはさらに各社独自のプログラミングを組んで差別化を図り、しのぎを削っている……ってつまりはNPCといえど、まったくばかにできたもんじゃない、ってことなんだけど。
「よかった、アリュイ! こわかったでしょう」
声借り鳥の娘アリュイは、小さな灰降らしのカラスに姿を変えられていた。ゴドワス爺の占いで、沈黙の川(灰がまじって生き物が棲めない。不吉過ぎるね)が大きく曲がるところにいると教えられた俺達は、トルティと別れて急ぎ向い、お嬢さんは見事、小さな岩のうろに隠れて震えていたアリュイを見つけ出した。
ということで俺の出番である。アリュイはケロタニアン専用クエストの出演キャラクターでありながら、プログラムがないので、俺が演じるしかないのだ……。
『あなたは、いったいどなたなのでしょうか……?』
ケロの動きをいったんオートにし、おびえた様子でしゃべる。なお声はケロタニアン。声を貸しているから。
「私はライラン。あなたとあなたの恋人を助けに来たんだよ」
そう言って手を伸ばすお嬢さんに、アリュイはあとじさり、首を横に振る。
「いけません! 私は灰降らしに変えられてしまいました。私に触れれば、あなたにも呪いがかかってしまいます」
この演技も俺。おかげでケロは突っ立ったまま。やっぱ同時に演技はきつい。時差つけたとしても。
それを聞いたお嬢さんは、気づいたように笑った。
「大丈夫、わたしはゴドワスおじいちゃんから灰避けの魔法をかけてもらったの。アリュイは優しいんだね」
震えるアリュイをそっと抱き上げ、荒れてみすぼらしい様子の頭をなでる。
お嬢様は身に着けていたポシェットの中身を開け、アリュイをそこに納めた。影法師に話しかける。
「おお、無事であったか。よかったな、アリュイよ。この人に感謝せねばならんぞ」
「おじいちゃん、おじいちゃんがアリュイの呪いを解くことはできないの?」
いつのまにかゴドワス爺への呼び方がおじいちゃんである。
「魔女の呪いは、本人にしか解くことはできん。あるいは魔女を倒せば呪いも消えようが」
「倒すって、……こ、殺すってこと?」
「いやいや。魔女は不死も同然。だが魔女には掟があってな。勝負に勝った者に対しては、魔女はその相手の言うことをひとつ聞かなければならないのじゃ」
ここで出てくる灰積もる魔女は、ケロ専用クエストキャラクターじゃなく、灰森に配置された正規のボスのひとり。
「勝負って、どんなことをするの?」
「戦うんじゃよ。戦うことで、魔女に魔力を使わせる。魔力が尽きたら魔女はもうなにもできんからの、そうすれば魔女の負けってことじゃ」
つまり、普通に倒すだけってこと。どのプレイヤーとも戦うボスだからそういう設定がついているってだけのことである。それに、お嬢さんみたいにゲームで殺伐としすぎたくないって人も多いしね。
「わかった! ええと、それじゃあ……」
お嬢さんはなにやらぶつぶつ考え出した。口がへの字になっている。珍しい。
「ねえ、おじいちゃん。アリュイはここにいれば安全かな?」
「そうじゃな、姿は戻してやれんが、魔女がここに来ることはない」
「アリュイの恋人さんも、早く助けに行かないとだめ?」
「いや、あやつは魔女のしもべ。魔女のもとに引き戻されただけじゃ」
よし、とうなずく。そしてケロタニアンを振り返る。
「ケロタニアン、一度町に戻りたいの」
「はい、ライラン。もちろんあなたの思うままに。なにか必要なものがおありですか」
「うん。あのね……仲間を増やそうと思って」
ふんすっ。お嬢さんは両手を握り、気合の入ったポーズ。
って、なんて?
「仲間、でございますか?」
「うん。私あんまり強くないし、ケロタニアンにもずっと迷惑ばっかりかけちゃうから、もっと仲間を増やして、それで魔女を倒そうと思うの」
あれ? お嬢さんが頭使ってる!?
「いろいろわからないことがあるから、教えてくれる? ケロタニアン」
「もちろんです、ライラン。わたくしめにできることでしたら、なんなりと」
そこから始まる怒涛のQ&A、あるいはチュートリアル。
お嬢様のやる気がすごい。こんな急ぐタイプの人だったっけ?
さっきの木喰い樹での戦闘といい、もしかしたら魔女討伐はスムーズかもしれない。お嬢さんはレベルだけは高いから、準備さえ十分なら負ける要素はない。
俺はマネージャーに、もう少しでお嬢さんが魔女討伐をしそうだとメッセージを送った。と、すごい勢いでお呼びがかかる。
***
折よく、お嬢さんは仲間を集めてくる! と言って各都市に旅立った。俺はケロをフィフスビーツの待機場所に戻す。
マネージャー室に行くと、今日のワンガールさんは宇宙人グレイだった。昨日はイソギンチャクでしたね、基準なんなの? そして見慣れない人もひとり。ただ、表示されている名前は見覚えがあった。マオカさん、ラナテルデスのディレクターのひとりだ。サポアク話がでかくなってきてびびるわあ。お互い軽く挨拶をする。
「ちょっとアカツラ。まだ数日かかるかと思ってたのに話が違うじゃないの」
「それは俺のせいじゃないでしょ。なんか突然スイッチでも入ったみたいで……魔女討伐したら、ケロの個別ルートが解放されるんでしたっけ? あの感じだと今夜にもクリアしたい感じでしたけど、間に合わないってことですか」
有料枠は改めて予約を取る必要があるから、このままシームレスに移ることはない。間に合わないとしたら、ガイドや内容あたりか。
個別ルートの案内表示については、キャラクターごとに異なっている。難易度が低いキャラ(人気が低く、料金も安い)は、ルート解放条件そのものが表示される。「これとこれを満たしたら、個別が開くよ」って感じでわかりやすい。
難易度の高いキャラや、演出やレアリティを重視したいアクターの場合は、遠回しなヒントがあったり、またはノーヒントで条件が揃ったときだけ「ルートが解放されました」と突然出たりする。たとえばイアンザークさんは、ポップアップヒントやウィンドウ形式のリストを無粋だって言って嫌っているんだけど、やたらと隠すのも嫌い、むしろ個別開放への難易度は下げたいらしく、「イアンザークについて調べていると町でヒントを聞ける機会が増える」という設定になっている。そう考えてみれば、初心者で町のクエストばっかりやってたお嬢さんがイアンザークのルートを見つけられたのも自然なことだったんだと思う。
「いや、もうだいたい用意はできてるよ。君に伝えておかないと困るかなって思ってね」
それはありがたい……のか? てか俺、メインやるのか。ほえー。
「すっごい置いてかれてる顔になってるわよ」
「よくカエルの表情わかりますね」
当たりですけど。
説明するよ、とマオカさんが指を動かし、宙にスクリーンショットを表示させた。
「魔女討伐した時点で、このプレイヤーさんには2つのガイドが出る」
ーーーーーーー
●メインストーリー(ブルー)「雪世界への誘い」
ジークジュルスの街に、不思議な噂が流れています。雪の夜、どこからともなく歌声が聴こえ、朝になると誰かが消えている…
新たな冒険が始まります。ジークジュルスの酒場へ行ってみましょう。
●ラナーストーリー(ケロタニアン1)「カエルにカエルの過去はない」
カエル族の男性が、助けを求めて酒場へとやってきました。ヘビ族の男が、カエル族の娘を狙っているというのです。フィフスビーツの酒場へ行ってみましょう。
!注意!
ラナーストーリーをプレイするには、予約とラナーが必要です。
プレイする場合はこちら
ーーーーーーー
思いっきり眉をひそめてしまった。
「タイトルからしてネタバレじゃないですか」
「あ、わかっちゃう?」
まんまじゃん! ケロタニアンが昔はカエルじゃなかったって!
ちなみにラナーストーリー=有料ストーリー、ラナーは金ってこと。
「アリュイが呪いで姿を変えられたのも伏線ですか」
「まあね。灰積もる魔女は関係ないんだけど」
もう1枚ウィンドウを出してくる。今度はタイトルの並んだリストだ。
「人助けしながら世界中を冒険するような感じね。浅く広く。で、並行してケロタニアンの謎に関するヒントが少しずつ集まっていって、最終的には乙女のキスで呪いが解ける、と」
めまいがするぜえ。
「あの、それ変えられませんか。お嬢さんは本当にイケメンとか望んでないと思うんですよ。ケロはケロのまま、野獣も野獣のままでみんなハッピーなんですよ」
つい主語をでかくしてしまう。
「まあそれはね、大丈夫。ちゃんと調整していくから」
にこにこ笑って言ってるが、つまりすごく却下されたね?
「いやでも、タイトルがもう」
「このタイトルは、単純にケロタニアンが記憶喪失ってことを指しているんだ。ケロタニアンにとっては重要な設定だけど、彼女はその設定自体知らないかもしれない。だから、まずは記憶喪失だってことをフォーカスする必要がある。人助けの冒険をメインに据えたとしても、ケロタニアン自身のストーリーは絶対に必要だよ。だってこれは個別ルートなんだからね」
そう、その通りなんでしょうが、俺はまた丸め込まれるのかな?
「そして君が心配している通り、確かにケロタニアンがカエルじゃない可能性を匂わせている。この匂わせで、ライラン嬢の反応を見ていく。君にとってカエルがよくても、ライラン嬢にとってどちらがいいかはわからないだろう? 彼女だって言っていたじゃないか。恋をしてみたかったって」
そうだね、そうですね、これは乙女ゲーです。
「ライラン嬢の様子を見て、最終的にケロタニアンの秘密は確定させる。そのときに人にするにしても、カエルにするにしても、このタイトルは嘘じゃないだろ?」
にこにこにこにこ。ディレクターの後ろでワンガールさんもにこにこにこ。
「安心していいよ。僕だって、お客様をがっかりさせたいわけじゃないんだよ」
「……はい」
それ言われて言い返せることあるか?
マオカさんは俺にカードを渡してきた。ラナテルデスの紋章に、裏はケロの肖像。
「これ、ケロタニアンのラナーカードね。入ってるのは概要だけだけど、追ってシナリオ入れていくから」
うわあ……これがメインが持つっていう。担当キャラクターの情報は、すべてこれに納めてやりとりするってやつ。
「時間枠は、週7日0-24時でいいわね?」
「いいわけないでしょ!」
ワンガールさんは素の顔だったが、マオカさんは笑ってくれた。
「お嬢さんがいつも入る時間だけでいいじゃないですか」
「最近あんたのおかげで不規則じゃない。じゃ、あんたの勤務時間にしとくわね」
ってことは、19-29時か? お嬢さんのためだけに驚きの広さだな。ほんとに入るかどうか知らんけど。
「あ、俺毎月16-24日は入れないんで」
「わかってるわよ。早く本業こっちに変えたら?」
「余計なお世話です」
毎回言わせるなや。さらに枠料金を電卓で見せてくる。たけえ……。
「あれ、こんなもの?」
のぞきこんだマオカさんが首をひねる。
「サポアクですし、メインDランクの相場を超えるべきではないかなと。それに、シナリオとグラフィックも追加でありますし」
「あー、そうですねえ。まあ額についてはあとでもうちょっと煮詰めましょうか」
外堀が埋まっていく。概要読んでおかないと。
「で、アカツラ君」
「はい、なんですかぁ」
「今日のライラン嬢の様子をもう少し聞かせて欲しくてね。今後の参考に」
どっと疲れを感じる。だが今日はまだ終わらないのだ。
念のため、お嬢さんの現在地を確認。今は王都キングシュルツにいるようだ。お嬢さんにしては珍しいことだけど、王都にはお嬢さんがこれまでクリアしてきたメインストーリーに関わるNPCがたくさんいる。
「えーと、さっきも少し話しましたけど、お嬢さんは俺に『魔女に勝つパーティを作るにはどうしたらいいの?』って聞いたんです」
「そりゃまた、具体的ねえ。なんて答えたの?」
「強いNPCをパーティに入れろ、ですね。もちろんケロの言葉に変換しましたよ」
このゲームは、戦闘サポート用NPCが1000人以上用意されている。これくらいいないと、プレイヤーの仲間被りが頻繁に起きてしまうからだ。自分の仲間がよそにもいたら、いくらゲームでも興覚めだろってね。同時に「脇役らしさ」も徹底して管理されていて、特定のモブに人気が集中しないよう、デザインのクオリティも背景設定も魅力が抑えられている。ケロタニアンも唯一無二のカエルではなく、少しデザインを変えたカエルの魔法使い、神官なんかのバリエーションが多数用意してあり、レア度は低い。
そして、ここ重要。NPCの能力は成長しない。レベル自体はプレイヤーと同期されるが、特性(パッシブ)とアクティブスキルは最初から持っているものだけ。
だから強いNPCを入れないと、強いパーティは一生作れない。
で、仲間にできるNPCは、メインストーリーや各地のクエストクリアで随時解放されていく。当然、後半のほうが強いNPCが多く、ランクが高く設定されている。初期から仲間にできるNPCは弱い能力しか持っていないので、プレイヤーと同じレベルに揃えることはできても、高レベル帯の複雑な戦闘に対応することが難しい。
――できるだけ魔女の力を調べて、対応できる力を持つ者を仲間に入れましょう。大丈夫、ライランの頼みでしたらみんな快く引き受けるに決まっています!
灰積もる魔女は、高レベル帯を目指すプレイヤーなら必ず倒すボス。情報は十分に転がっている。
「まあ、回復力の高いヒーラーと、サポート寄りDPS、あとはタンクがいいんじゃないかって紹介しときました。ケロもタンクだからファイターのほうが理想っちゃ理想ですけど、弱いんでちゃんとしたやっぱりタンクがいたほうがいいと思うんですよね」
俺はもうガチガチにとがった攻撃的編成が好きだけど、お嬢さんには防御に特化したほうが安心できるだろう。それで自分で火力出して倒したほうが喜ぶと思う。こんなことは伝えてないけどね。
ケロからおすすめ編成を聞いたお嬢さんは、わかった、お話してみる! といって各地に飛び立ったわけだ。
が、ワンガールさんはグレイの頭を伸ばした。長く長く。
「きもっ!? なんですかそれ、どんな感情」
「あんた……それ言っちゃったら、ケロが一番足手まといってバレちゃうじゃないのよ!」
「ああ」
あはは。それはそう。ケロは初期ランク1のくそ雑魚ちゃんである。
「笑いごとじゃないわよ! 由々しき事態じゃないの!」
「え、なんでですか。ケロが強かったことなんて一度だってないし、お嬢さんも強さとか求めてないかと」
「灰森抜けたら次はゼメスタンでしょ。あそこでケロなんて使ってられないわよ」
灰森でだってケロなんか使わんけどな。俺だったら。
「アカツラ! あんたね、個別ルート進めるのにメインストーリーの進行が必要になることは知ってるでしょ」
もちろん知っている。いろんなエリアに行かせるため(拡張パックを買わせるため)ですよね。
「高ランクエリアに行ったら、性能差が開いてケロがいかにゴミかあからさまになるのよ」
「はあ」
ゴミはひどい。せめてくそ雑魚ちゃんで。
「好きな男が一番弱くて足手まといとか、そんな状況になるのよ!?」
好きな男ぉ?
「お嬢さんはケロに恋愛してるわけじゃないですよ。一緒に戦う仲間が欲しいんでしょ。守られたいタイプじゃないから今こんな話になってるわけで」
「いや、ワンガールさんの心配、わかりますよ」
にこにこ話を聞いていたマオカさんが口を開いた。そういえばマオカさんは証明アバターで、その姿は40代くらいか、結構年上の男性である。信頼感すごい。
「ですよね!?」
俺はわからない!
「今はいいですよね。でも話を聞いた感じ、プレイヤーさんは早く今回のクエストをクリアしたいんじゃないかな?」
早く? お嬢さんは攻略や進行に関して相当にのんびりしたタイプだから、俺はすぐにはうなずけなかったんだけども。
でも確かに、さっきのお嬢さんはあせってるようにも見えた。
「申し訳なさそうにしていたのは、長時間同じイベントにつき合わせたからでしょう。あなたに対して、振り回したり、失礼なことをしてはいけないと思っているんですよ。これまでのやり取りは見せてもらいました。僕の予想ですが、彼女は恐らくこう考えているんじゃないでしょうか。『私が無理にお願いをして、付き合わせてしまっている』と」
無理なお願い。って、なんだっけ。
――でも、次はあなたじゃないかもしれないんだよね?
「まじめで優しいお嬢さんです。そしてここまでにイアンザークとの経験がある。対象について調べたり、クエストをこなしたりしていたら、個別ルートが解放された。それなら、ケロタニアンにも個別ルートがあるんじゃないか?」
「NPCに個別があるわけないじゃないですか!?」
「それは僕らの常識です。彼女の常識じゃない。第一、君はケロタニアンの中に入っていたじゃないですか。特別なNPCだと勘違いしてもおかしくないでしょう」
だってそれは。イアンザークさんのサポートで、あのときノーサンクスが停止をかけたから。
「彼女が君と過ごしたいと思ってるのは、間違いない。だから僕達は、彼女が楽しめるように物語の元を用意するだけです。もしこのままでは、ケロタニアンの弱さが相対的に目立っていくのであれば。……たとえば、ケロタニアンがあるきっかけで覚醒して本来の力を目覚めさせる、とか!」
カッ! とマオカさんが目を見開いた。へ? へ?? 眼鏡かけてるのに目力がすごいんだが。
「そうね! お人好しでちょっとおばか、正義感は強くても根が優しく、不幸な境遇なのに自分のことには無頓着で気づかない! そしてその実態はイケてる強いメンズ! あり!」
グレイが片手を振り上げ、旗を上げる。そんなギミックもあるんですね。
続いて眼鏡の鼻あてを中指でくいっと上げるマオカさん。なんなんだこの勢い。
「そうですね! ですがちょっとおばかの部分は修正が必要です! なぜならゲームに明るくないライラン嬢へのサポートが適切過ぎるため、現在のケロタニアンには確実に知性が感じられるようになっているからです! この知性は男性らしい頼もしさにつなげていきましょう、そうすれば、ケロタニアンが戦力としてパーティ内で劣っていることが際立ってきたとき、普段ケロっとしているケロタニアンが思い悩むことに説得力が出ます! 覚醒は必要! 覚醒はロマン! カエルの騎士が真に弱いなんてことは、あってはならんのです!」
そこからさらに、ケロタニアンとライランの関係性についてどう演出していくのか、どうすれば萌えるのかについてずどどどどどと語り続けるふたり。もう何言ってるのかわかりません。そうか、この人達、ほんとに乙女ゲーが好きで作ってる人達だったんだな……てかマオカさんディレクターであって、ライターじゃないじゃんって思ってたんだけど、以前はライターもゲームデザイナーもやってて、なんならインディーズで一人で乙女ゲー作ってた猛者だったって後で知りました。熱量よ。
画面を再度見る。お嬢さん早く戻って来て、って、初めて思っちゃいました。
俺の願いは届いたのか、お嬢さんはそれからすぐ戻ってきてくれた。
揃えてきた仲間は頼もしく、本当に1時間程度でお嬢さんは灰積もる魔女の討伐を成功させたのだった。
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