第19話はい、特製幕の内弁当

「さて…家に帰って来た訳なんだが、何を作ろうか」


 俺は冷蔵庫の中を覗き込む。すると見慣れた色の魚が目に映り込む。


「これって…見た目的には鮭だよな?」


 虹色の淡い光を放つ魚の切り身、異世界版の鮭だろうと予測。前世でお馴染みのオレンジ色の鮭も脂がノッていると光が反射して見方によってはそういう様に少しだけ見えたしな。まあ、こんなにハッキリと虹色をアピールしてはいなかったけど…。


「鮭乗っけ弁当にするか? いや、それだけでは2人の意識を料理に向けれないな。 ならば、特製幕の内でも作るか? うん、そうするかっ!」


 まずはご飯を炊いてっと…


 おかずは確か…焼魚や揚げ物、それに煮物や玉子焼き、それと漬物などが一般的な幕の内弁当だったよな。


 虹色の魚の切り身を網に乗せ、炭火で焼いていく…このパチパチと魚の油が弾ける音、そしてなにより焼ける魚の香りが食欲を刺激してくる。


 いかんいかん。次に取り掛からねば…煮物にはこっちの異世界の野菜を使う。見た目はゴボウや人参、それに椎茸等に似た物をダシをとって醤油やミリン等で煮て薄味で仕上げる。


 そして玉子焼きも冷蔵庫にあった玉子を溶いて味付け、んで、焼き上げていく。ちゃんと網に乗せて焼いている虹色の魚の切り身を裏返したり、灰汁をとったりと万事抜かりはない。


 こういう時にキッチンが広いと料理がやりやすいと思ってしまうな。同時に色々取り掛かれるし、その辺もミーシャさんに感謝だな。そしてそんな広いキッチンで揚げ物にも取り掛かる。


「か、形は似ているんだが…冷蔵庫に入っているという事はいけるよな?手触りはまんま海老だしな…見た目は海老では断じてないけども…衣着ければ大丈夫だよな?今日狩ってきたものだしな…」


 りょ、料理にはチャレンジ精神も必要な筈だ。うん、昔の偉人もそう言っただろう。それに俺の勘も大丈夫だと、食べれる食材だと告げている。ソレに小麦粉をまぶし、溶き卵につけて、最後にパン粉をまぶしていく…。


 ソレを油で揚げると形は海老だ。ちょうど先端部分のが海老の尻尾みたいだし、見た目は本当に完璧に海老だ。


 漬け物はきゅうりの◯ちゃんをあっちから取り寄せて、出来た物を盛り付けて…


「完成!特製異世界幕の内!アイシス〜!ミーシャさ〜ん!ご飯出来ましたよ」


 各々呼び掛けに応えて、自室から食卓の席につく。我ながら見た目よく盛り付けられた事もあり、2人が笑顔で…


「「何これっ!?お弁当みたいっ!?」」


「ああ、これは幕の内…って言っても通じないよな。とにかくアイシスとミーシャさんが言うようにお弁当だよ」


「見た目が凄く美味しそう…」


「こ、これは…また…食べなくても美味しいと分かってしまうわ…。本当にどれだけレイン君は私の胃袋を掴んでいくのかしら…」


「とりあえず出来たてを召し上がってよ」


「「うん」」


 アイシスは一つ一つ味わいながら…ミーシャさんは…がっついているね…。


「美味しい…この煮物っていうの?薄味なんだけど、私は好きだな」


「分かるぅ〜 分かるわぁ〜 煮物もいいけど、このレインボーフィッシュも焼き加減といい、塩の絶妙な振り方といい…もぐもぐ…んぐっ…最高ね」


 虹色の魚はレインボーフィッシュか…。そのまんまネーミングだな…。


「この漬け物も美味しい〜」


 流石だな…。きゅうり◯ちゃん!


「玉子焼きも最高だわ!えっ?ダシが入ってる!?そんな調理法もあるのねっ」


 そして2人が揚げ物を口へ運ぶ。


「「んんっ〜〜〜!!?」」


「…中はプリプリしてて…」


「それでいて…外はサクサクッ…」


「「美味しぃ〜これおかわりあるっ!?」」


 勿論、某マスター風に俺はこう答える。


「あるよっ!」


 俺も食べてみたんだが…これが本当に美味い!アイシスが言ったようにプリプリしているんだ。


「「はぁ〜 本当に美味しかったわ」」


「うん、お粗末!」


「それにしても…あの揚げ物美味しかったぁ〜」


「それね?流石レイン君の世界の食材よね」


「ああ、アレね。アレはこっちの食材だよ」


「「へぇ〜 何だろう?」」


「アイシス達が今日狩ったゴブリンのアレだけど?」


「「……………………えっ?」」


「だからゴブリンのアレだよ、アレ!冷蔵庫に今日ミーシャさんが入れていただろ?食べれると思ったんだけど、やっぱり食べれたな。美味かったし…」


「ご、ごめん…レイン…よ〜く聞こえなかったんだけど?」


「わ、私も…耳が悪くなったのかしら…あは…あはは…」


「えっ、2人ともそんなに俺の口から言わせたいの?ゴブリンのおち◯ちんだけど?」



「「はぁーーーっ!?!?!?」」


「何かまずかったか?」


「た、食べれは…するって聞いた…けど…」


「れ、レイン君?それは明日ギルドに卸そうと思って…いえ、それよりも…それには…ふ、副作用と言うか…」


「はっ!?毒か何か!?」


「いえ、害はないけど…」


「強力に…性欲をあげる…効果が…」


「「「…………」」」




 そしてその効果は1時間もしないうちに現れ、各自部屋に篭ったのは言うまでもないことだろう…。


 アイシス、ミーシャさんすまない…。俺はそう思いつつも…2人の嬌声を聞きながら…自分も処理するのであった…。

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