第15話1週間が経って

 ミーシャさんの家で俺、アイシス、そして家主でもあるミーシャさんの3人で暮らす様になり、早くも1週間が過ぎ去った…そんなある日の事…


「嘘よぉぉぉーーーっ!?」


 まずミーシャさんのそんな大きな声が家中に響き渡り、続いて…


「はあぁぁぁーーー!?嘘でしょっ!?」


 そんなアイシスの声が聞こえてきた。ちなみに彼女達は2階の自室。俺はというと、自室は同じ様に2階にあるのだが、今は朝食の用意をする為、キッチンに立っている…。俺は何事かと思い、彼女達の部屋を訪れるべきか思案する。


 すると、階段をドドドドッ―と走り降りて来る音が聞こえ、続いてリビングのドアが勢いよく開いて2人が入って来た。ちなみにミーシャさんの家はリビングとキッチンが同じ部屋にあるタイプの間取りをしている。


 そして2人は同時に同じ言葉を発した。


「「レインのせいよっ!!」」


「え〜と…急にどうしたの?俺のせいって何が?」


「そ…それは…」


「い、言えない」


「言えないって…それじゃあ俺のせいも何も…もしかしてまた自己発電で何か…「「それは絶対に違うからっ!!」」…あ、はい…」


 思い当たる節がソレしかないんだけど?ソレしか思い浮かばないのも自分でもどうかとは思うんだけども…。


「と、とりあえずご飯出来てるから食べる?今日はショートケーキを3ホールと…」


「「それが問題なのよっ!?」」


「…えっ?」


 一体どういう事だってばよっ!?


「迂闊だったの…」


「アイシスの言う通りね。私も迂闊だったわ…あまりの料理の美味しさの数々に我を忘れてしまうなんて…」


 いや、まあ、ミーシャさんは特に我を忘れて出した料理出した料理を全て平らげていたけど…それがどうしたんだ?


「は、ハッキリ言わないと分からない?」


「え〜と…そうだな。料理に何か問題があったのか?」


「…増えたの」


「私も…」


「増えた?」


 料理の数がか?確かに今日も朝から食べる料理の量ではないけども…


「入らないのよ。いえ、入るんだけど…ちょっとキツイというか…」


「私はスカートのホックが止まらなかったわ」


 ミーシャさんがスカートと言ったので視線が自然とそちらに向かう。ミーシャさんはスカートを履いてるんだけどサイド部分が開いたまま、無理矢理その上からベルトで締め上げており、そこから上服の裾がちょこんと顔を出していた。 


 そこから導き出される答えと言えば…


「…なるほど…少し着ていた服やらがキツくなった…と?」


「うっ…」


「あ、改めて言われると…かなり堪えるわね…」


 女性にとってそれは死活問題という訳だ。天敵とも言えるか…。俺は2人の為を思い、そっとケーキを2ホール手にとり、冷蔵庫へなおそうして…


「「ちょっと!?何してるのっ!?」」


 2人の声が綺麗に…それはもう、綺麗に重なった。


「いや、量の調整を」


「必要ないわ」


「アイシスの言う通りよ!ケーキをお預けなんて罰な当たるわっ!?」


「え、ええ〜っ…」


 2人の為を思って行動しようとしているのに…。


「ケーキは食べるわ。そ、その分、運動するから…だから…お願いよ、レイン…」


「なおさないでぇ〜 プリーズ、ケーキ!プリーズ!」


 なら、今までのやり取りは何だったんだとまず言いたいのだが…。


「え…ええ〜と…じゃあ…はい」


 そんなやり取りがあった後、食事を終えて、あっ、勿論ケーキも含めて、2人は出した料理は全部平らげたよ…。


 そしてアイシスがおもむろに口を開いた。


「今日はモンスターを狩りに行こうと思うの」


「私も行くわ」


 どうやら異世界でリアルモ◯スターハンターを体験する時間が来たようだ。2人にとってはダイエットみたいな感じなんだろうな。俺は初のモンスターとの戦闘を思い浮かべると少しワクワクしていたのだった。


 



 


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