第12話まぁまぁ…

「ぐすんぐすん…絶対にお嫁にいけない…私…穢れちゃったよ…」


「だ、大丈夫だから!?ねっ、ミーシャ?私も同じ!そ、そう、私も同じくあんな事した挙げ句見られちゃったから同じ、同じだからっ!!」


 うっ…。流石に俺は何も言えない…。


 あれから俺達はアイシスの家へと即座に移動。そしてリビングでアイシスが一生懸命にミーシャさんを慰めているという図式が出来たわけなんだ。原因の発端である俺が言える事なんて何もなく…その場には居ないかの様に存在感を消すしかない状況というわけだ。


「ぐすん…それも…何回もあんなはしたない事…」


「エロフを堪能させてもらいました」


「うわ〜〜〜ん。エルフなのに…私エルフなのに…エロフって…うぇ〜〜〜ん」


「もう!レインは黙っててっ!!」


 つい突っ込んでしまった。仕方ないよな?ミーシャさんって本当にエロ漫画に出てくる様に淫れていたんだから…。


 と、とりあえずこの場をなんとかしないといけないな…。そうだ。いい事を思いついた。俺はキッチンへと向かう事に。こんな時は美味しい物を食べて忘れるに相場は決まってるよな?





「さて、キッチンに来たはいいが何を作ろうか…」


 オーク肉はあるし、卵も米もある。醤油や砂糖、みりんもあると来れば…アレにするか。


「カツ丼でも作るか?」


 しかし玉ねぎやネギは無かったな…。取り寄せるか?しかしそれをすればまた惨劇を生み出しかねないしな。俺はアイシスの魔道具の貯蔵庫を見てみる事に。要は冷蔵庫だ。


「おっ、コレって見た目は玉ねぎに似てるな。おっ、これもネギに近いし…」


 後で聞いた話だがそれは異世界の玉ねぎとネギだった。名前は金ネギとおネギ…。まあ、ほぼ名前も一緒って感じだ。


「まずは玉ねぎを薄切りにしてっと…」


“トントントントントントン…”


 この切る時の包丁の音って言うのかな?まな板と奏でる音がまたよく感じるんだよな。


「ネギも形よく切ってっと…オーク肉に片栗粉、溶き卵、パン粉で衣をつけて…そして油であげていくぅぅ〜〜〜♪」


“パチッパチッパチッパチッパチッジュワワワワ…”


「カツは2度揚げは当たり前でい!って感じで並行して…」


 鍋に水や醤油、みりん等の調味料の材料を入れて中火で熱していく。勿論玉ねぎのスライスした物も一緒にな?


 玉ねぎがしんなりしてきたら、中火のままで揚げたオークカツ、そして溶きほぐした卵を入れてっとっ…。蓋をして火を止め、30秒位蒸らしていくぅ〜。カツを入れるタイミングと卵の固さはお好みだな。


「丼に炊きたてのごはんをよそって…鍋で蒸らしたものをふりふりとして載せて…仕上げにネギを見た目よく載せたら…完成だよ!オークカツ丼!マジウマそう」


「ほ、ホントね…」


「そ、その匂いがいい食べ物? は何?」


 いつの間にか匂いに釣られてしまったのかアイシスとミーシャさんがすぐ傍迄来ていた。全く気付かなかったよ?


「アイシスは知ってると思うけど…オークカツを更に一手間掛けた料理だな。名付けてオークカツ丼!」


「「ふわぁ〜〜〜食べていいの!?コレ食べていいっ!?」」


「まぁまぁ、そんなに慌てないで?ゆっくりと2人共…おあがりよ?」


「戴くわっ…はむっ…うう〜〜〜ぅん。卵がとろとろ…」


「私も…あむっ…んん〜〜〜〜っ…何これ…美味しすぎて涙が勝手に…」


 2人の反応は上々だな。丼の中身が凄い勢いでなくなっていく…。これはおかわりが必要だろうな…。


「オークカツがまた…美味ひぃ〜〜〜」


「このご飯って言うの?白米って言うの?これもまたオークカツと最高のハーモニーを奏でてるわね?」


「玉子と金ネギもよね?」


「そうそう…はむっはむっ…止まらない…止まらにゃい…」


「「お〜まい…こ〜ん…「いや、そのセリフは駄目だ」…何で?」」


「とにかく…おかわりは?」


「「お願いします!」」


 即答だった。カツ丼を考えた偉人よ…。異世界でもカツ丼は偉大だったよ…。


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