異世界転生したけど種族が人間ではなく吸血鬼になってるんですけど！？

第11話ミーシャ

『さてさて、久しぶりに私の出番って訳ね。それで敵はどこにいるのかしら？』

　その小さな見た目とはまるで違い、迫力というか威圧というかそういうものが人とはまるで違うのが本能で分かる。

「これが…精霊」

「ミーシャ！　レインは悪い奴なんかじゃ―」

「悪いけど、アイシスは黙っててね？さあ、シルフ？」

『……ミーシャ』

「ちょっと、シルフ？ぼっーっとしてないでいつもみたいに風の結界を張ったり、先制の風の一撃を放って！？」

『だから、どこに敵がいるのよ？』

「…はっ？目の前にいるじゃない！」

　おやおや…何故かミーシャさんとシルフって精霊の意思のやり取りがうまくいってない？アイシスも様子を窺う事にしたみたいだ。先程までとは空気感が違うしな。

『え〜と…目の前にいるあの男の子の事を言ってるわけ？』

「分かってるじゃない！？あなたにも分かるでしょ？当然見えてるわよね？あの闇の力が…」

『…ミーシャ』

「さあ、私に風の力を！」

『…あんた馬鹿なのっ？』

「……えっ？」

『あんたちゃんと見えてる！？』

「見えてるわよ！何を言って…」

『確かに闇の力も持ってるけど、その中心にある光が見えないの！？それに君、レインだよね！？』

「そうですけど」

　俺はシルフの問いに答える。

「見えてるわよ、失礼ね？いいから早く―」

『見えてるなら話が早いわ。その光はアーシェ様の寵愛でしょうがっ！！見て分かるでしょっ！？神々しさで分かるわよね！？あんた馬鹿なのっ！？アーシェ様に、神に喧嘩売るつもりな訳ぇ！？』

「…えっ！？　アーシェ…様の寵愛？」

　そうなのか。俺の中に光が…。アーシェ様感謝します。

『それにこの世界の精霊にはレインが困った時には力を貸すように連絡が来てるのよ。レイン君の事情も知ってるしね』

「えっ？えっ？」

　どうやらミーシャさんは混乱している様だ。

　そしてそのタイミングで最悪な事が…ドクンという感じで心臓が高鳴り体が血を欲しているのが分かる…。ヤバい…俺は咄嗟にアイシスに視線を送る。アイシスはフルフルと首を振っている。でもアイシスしか…

『大丈夫よ？血が欲しいんでしょっ？ここに馬鹿が迷惑掛けたから馬鹿の血を呑んでいいからね？』

　そして一瞬、この地下施設に風が吹き荒れた。

『風の結界は張ったわ。しっかりと《防音》にしておいたから。ミーシャも流石にあの声は聞かれたくないだろうからね？』

「えっ！？何なの！？あの声って！？ちょっ、体が動かないのだけど！？」

『ついでにミーシャの動きも止めておいたから、テヘペロっ！』

「シルフっ！？どういう事！？」

「あっ、私は邪魔にならないように端っこに移動しておくね？」

「アイシスぅぅー！？助けてぇ！？」

『じゃあ、楽しんでね、ミーシャ？吸血された後のムラムラは格別らしいよ？』

「ムラムラって何！？」

　そして…俺はミーシャさんのその言葉を聞いたと同時に意識を失ってしまった。

♢

　そして、目を覚ました俺の視界は驚愕なものを目の当たりにする事となった。

「はぁん…止まらない！止まらないよぉぉ」

　まさしくその姿こそエロフとも言えるべき姿だった。下半身丸出しで１人行為に明け暮れるエロフ…。

　ふとアイシスの方を見るとそれはしょうがないのという感じで、同情の視線をミーシャに送っていた。

　脳内フォルダーにしかと保存して…俺も現実逃避する事にした。ミーシャさんのそれが終わるまで…。