第8話冒険者ギルド
朝食を食べ終えた俺はアイシスに付き添う感じで冒険者ギルドへと向かう事になった。今日は依頼受けるかどうか迷っていたアイシスだったが、冒険者ギルドって聞くだけでもオラ、ワクワクすっぞって感じの俺は是非行くだけでも行ってみたいという形でアイシスにお願いしたのだ。
どうせなら俺も登録したいしな。
冒険者ギルドは町の入口近くに位置しているらしいのでアイシスの家からだと町の中心部を抜けて行く形になる。町の中心部は露店が所狭しと並んでいた。後でゆっくりと見たいものだ。
♢
「ここが冒険者ギルド?」
「ええ」
「おおーっ!何だか感慨深いな」
「入口で感動してないでさっさと入るわよ」
「あ、はい」
冒険者ギルドは2階建ての立派な建物だった。アイシスに次いで建物の中へ。建物の中はゲームの世界をそのまま現実にした様な感じだ。キョロキョロと建物の中を見渡すと掲示板もあるし、酒場もある。そして何より目を惹かれたのは依頼を受注したり、報告したりするカウンターとそこにいる受付嬢達。
そしてアイシスがいつも担当して貰っているという女性の元へと向かう。
「あらっ、アイシス。今日も依頼を受けるのかしら?」
「今日は依頼を受けるんじゃなくて、連れの冒険者登録をお願いしたいのよ」
「そっちの彼?」
「うん。レインって言うの」
「そうなのね。じゃあ、レイン君は冒険者登録は初めて?」
特徴的な耳をした同じ歳位に見える金髪の女性がそう聞いてきた。たぶんだけど、間違いなく彼女の種族はエルフなんじゃないかと思われる。そしてついついしてはいけないとは思いながらも女性をガン見してしまう。
「はい、初めてです」
「私はミーシャよ。え〜と〜 もしかして私の顔に何かついてる?」
「あっ、いえ、すいません!そういう訳ではなくて…」
「レインはド田舎の出身だからエルフを見たのも初めてなの。ごめんね、ミーシャ?」
「そうなのね。まあ、この町に住んでるエルフ族は私だけだし、改めて考えるとエルフが居るのは珍しいかもね」
お〜、うまいことアイシスが誤魔化してくれた。アイシスの目がこれは借りだからね?と、訴えてくるのはたぶん気のせいでは無いだろう。何か美味しいもので手を打つといった感じだろうな。
登録する際に書類に必要事項を明記しないといけなかったんだけど、それもアイシスが全てやってくれ、俺は冒険者カードを手に入れたのだった。
「お〜、これが冒険者カード!?」
「冒険者カードを見てこんなに感動してる人は初めて見たわ」
「私も初めて見たわ」
いやいや、異世界から来た者なら絶対感動するって。
「え〜とね、レイン君。冒険者にはランクがあって、依頼をこなしていくとランクが上がっていくの。依頼はあそこにある掲示板に貼ってあるわ。依頼はランク分けされてるものから誰でも受けれるものまであるから。分からない事があればいつでも聞いてね?」
「早速ですが、1つ聞いても?」
「何か分からない事があった?」
「エルフの方ってやっぱり弓や風魔法を得意としてるんですか!?」
これは聞かねばならんだろう。
「え、エルフに会ったことないのにやけにエルフに詳しいのね…」
「…変な事を知ってるだけでしょ」
アイシスが余計な事聞くなと圧を飛ばしてくるな。
「さっきの問いに答えると、私はそうね。風魔法はエルフ族全員得意としてる魔法よ。弓もそうね。短剣を使う者も居れば剣を使う者も居るけどね」
「おお〜、やっぱりですか!」
「え〜と……エルフになんか憧れでもあったりするの?」
「それは勿論です!エルフですよ、エルフ!至宝とも言えるエルフですよ!?男のエルフの人はイケメンで、女の人は美人で、必ずと言っていい程物語にも描かれていて!」
「そ、そう?」
「ちょっ…レイン!?」
「ミーシャさんに会って確信しました。エルフは素晴らしいと!そしてミーシャさんは俺が思い描いていた通りのエルフの女性でした!こんなに綺麗な人は見たことありませんでした!エルフ万歳!エルフ最高!」
「……ふぇっ!?」
「…ちょっとレイン来なさい」
「なんだ、アイシス?今、エルフについて存分に語って…痛い痛いっ!?ちょっ!?どこに連れて…痛いって…」
そして俺はアイシスに無理矢理連れて行かれて冒険者ギルドを後にするのだった。まだ話したい事いっぱいあったのに…。
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