第6話Side アイシス②
レインの目が覚めるとまずは謝罪からする事に。
「あっ、め、目が覚めた?」
そりゃあ斬り掛かった相手が目の前にいれば警戒するわよね。
「そ、そんなに警戒しないで…って、無理な話よね?まずは…いきなり斬り掛かってごめんなさい!!」
謝った私にレインはポカーンとしてたわね。
「あ、
テンパってしまったからといって自分を正当化しようとした私はホント可愛くないと自分でも思う。だから十六年彼氏なしなのかもしれない。気恥ずかしくてつい自分の髪をイジイジしてしまう。そんな私に対してレインは自分のせいでもないのに謝罪してくれて、
「え〜と…こちらこそ勝手に君の家に不可抗力とはいえ入ってしまってたんだし…出来ればおあいこという事にしない?」
そう言いながら逆に謝罪してくれて…。お互い顔を見合わせて少し笑ってしまう。少しだけ打ち解けたタイミングでレインが気絶した後の事を説明する事に…。
♢
レインに一通り説明をし終えると安心してしまったのか、“くぅぅ〜〜〜”っと、私のお腹が鳴ってしまう。恥ずっ!?恥ずか死ねるわっ!?異性にお腹が鳴る音を聞かれるのがこんなに恥ずかしいと思うとは思わなかった。
「し、仕方ないじゃない!?冒険者ギルドからの依頼を受けて帰って来たらこんな事になったんだし、安心したらお腹位すくと私は思うのっ。と、とにかく準備するから食事しながら話ましょう!」
「ああ…うん……………あれっ?」
「どうかした?」
「素朴な疑問なんだけど…吸血鬼の食事ってどうなってるんだ?この世界には当然吸血鬼、あるいはヴァンパイアって呼ばれる種族はいるんだよな?」
そういえばレインは吸血鬼になったんだったっけ…。ヴァンパイア達の食事って言ったら確か…血…だったわよね?言うか迷ってしまう。だって吸うとしたら…わわわわわ、私の血しかないじゃないのっ!?
でも言わないとどうにもならないわよね。レインのお世話頼まれてるしっ!?ち、血位あげてみせるわっ!?
「吸血鬼はいるわよ。ヴァンパイアって呼び方が主流だけど…………………食事は…… ………………………血?」
“ガーン”と聞こえてくる程、レインが落ち込んでどうすればいいのかと悩んでいるのが分かる。
そんなレインになんて声を掛けようか窺っていると、目が熱くなり、目の前に何かが浮かび上がる様な感覚が…。レインを凝視する様な感じで集中してみる事に。
****************
はいは〜い!超絶美少女な私が何でも答えちゃうよ?何でもと言っても何でもじゃないけどね!矛盾しとるやないか〜いって突っ込んだらいやよ?さぁ、知りたい事は念じよ!念じれば分かるさっ!道っ!!!
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思わずコメカミを押さえたくなる衝動を我慢する。レインは何してるんだろうと、不思議そうに私を見ている。レインにはこの事は言えないし、後で何て説明しようかしら。その事も考えると頭が痛いわね…。
取り敢えず書かれている様に知りたい事を念じてみる。
『レインの食事って血なのでしょうか?』
すると、
****************
普通の食事で大丈夫だよ?『私を食べて♡』と、言ってもオールオーケーェ!!!
レインには何でそんな事が分かるのと聞かれたら教えてやるのが世の情け!超絶美少女の彼女が教えてくれたとでも言っておけばいいさ!知りたいならレインのレインのサイズも教えてあげるよ?
****************
ぶっ!?と、所々…シモの話を入れてくるのは何でなのかソレが知りたくなるわね。はぁぁ…。本当に天使?なのか疑いたくなるわね。と、とにかく一先ずは安心かしら?
「食事の事だけど、今まで通りの食事でなんら問題ないみたいよ?」
「分かるのっ!?」
そりゃあ私が分かるのが不思議に思うわよね。《視える》事は言ったら駄目なのは何でなんだろう?それも後々分かるという事かしら?疑問を抱きながらも言われた通りに伝えておく。
「…ええ。今、超絶美少女の彼女がそう言ってきたから…」
「連絡取り合えるの!?」
「こちらからは無理みたいだけど…問題があった時は教えてくれるみたいよ。とりあえず解決したという事で食事♪食事♪」
まあ、何だかんだまずは食事よね!でも、普段の食事はレインには合わないみたい。するとまた目が熱くなり、
****************
レインのスキル【血の代価】を使え
****************
―と、視えた。ソレをレインに伝える。スキルの使い方も教えるとレインはスキルの詳細が分かったのか、小さめの刃物を貸して欲しいと言ってきた。彼の事はアーシェ様の寵愛を受けているので信頼出来るんだけど、スキルの名前からしてレインの身が心配になる。
確認すると彼は笑いながら大丈夫だと言った。刃物を渡すと、少し自分の指に傷をつけ、スキルを使うと血と引き換えに彼の世界の調味料を手に入れた。
そこまではよかったのよ。今思えばここで強く止めて置けばよかったと後悔する事になる。
何でも取り寄せられると彼は舞い上がり、沢山の物を取り寄せ、その直後…
「―ぐっ!?」
「レイン?」
もう!だから言わんこっちゃない!倒れるレインを慌てて抱き止める。直後―
“ちゅっ…”
「んっ…ちょっとっ!?」
あわわわっ!?そんな所にキシュしないでっ!?
押し返して距離を取ろうとするも、レイン咄嗟に私を強く抱き寄せ決して逃さない。ちょっとちょっと!?私匂い大丈夫かしら!?体は綺麗に拭き上げたわよね!?
「れれれれレイン!?」
そして…首筋を甘噛され…
「んんっ!? あっ…レイン!?くすぐったい…」
へ、変な声出ちゃう!?は、離してレイン!?
”カプッ…“
―と、いつの間にか生えていたレインの牙が首筋に突き刺さり…
“ちゅぅぅぅぅぅ〜”
「あっ…体の力が…んっ…抜けっ…あん…」
“ちゅうぅぅ、ちゅうちゅう…”
「こ、こんなのっ…んぅっ…おかしく…なっちゃう…やぁっ…あぅっ…」
“ちゅうちゅう…ちゅぅぅう…”
「あんっ…だめ…レイ…ン…んあっ…やめっ…あっ…あっあっ…わた…し…もう…んっ …あっあっ…んんあぁぁ―――」
あ、あんまりコレは思い出したくないわね。痴態でしかないわ。体は動かないし、逆らえないし、吸われて変な感じになっちゃったし!?
でも、そのかいあってとも言うべきか分からないけど、異世界の調味料を使ったオークカツ…オークステーキ…ホットケーキという料理にありつけた。
そしてその品々は私の胃を脳を全てを魅了し虜になった。これ、私って餌付けされたんじゃない?大丈夫?レインから離れられる気がしないのだけど…。き、気の所為よね?
♢
食事を終えた私達は休むことにした。寝る場所は話し合いの末、レインはリビング、私は寝室に決まった。
寝室で一人になった私はベッドに横になり…先程からまた火照りが昂ぶって止まない下腹部へと急ぎ手を滑らせる。
『こ、こんなにっ…』
血を吸われた時もソレは酷かった。あの時は気絶したからだろうか?事なきを得たけど、今はどうにももう止まらない。
『これはレインのせいなんだからっ!!』
隣の部屋で眠るレインに声が聞こえないように枕に顔を埋めたり、シーツを噛んだりしながら一人励む私だった…。
んっ…………―――。
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