第一章 転生
第1話これが本当のプロローグ?
「―見た事ある天井だ…」
「あっ、め、目が覚めた?」
その聞いたことがある声に反応した俺は慌てて身を起こし彼女を見据える。
「そ、そんなに警戒しないで…って、無理な話よね?まずは…いきなり斬り掛かってごめんなさい!!」
ガバッ―っと頭を下げて謝罪の言葉を述べる彼女…。
「…えっ?」
斬り掛かられた時とは打って変わったその態度に思わず呆けた声を発してしまう。
「あ、
そう言ってまた俺に対して頭を下げる彼女。謝罪は傷を負わせた事に対してだろう。若干テンパっているようなそんな感じが見て取れる。
彼女が言った事を冷静に捉えて考えてみると自分の家に見知らぬ人、しかも男がいたら誰でもビックリすると思うし、そりゃあそうするだろうな。最悪殺されても仕方ないと言えば仕方なかったと思うし。異世界だしよく本等で見た様に盗賊とかとの殺し合いも多分あるだろうしな…。
「え〜と…こちらこそ勝手に君の家に不可抗力とはいえ入ってしまってたんだし…出来ればおあいこという事にしない?」
「…そう言ってもらえると助かるわ」
俺の言葉に下げていた頭を上げる彼女。俺が今度は頭を下げて謝罪する。すぐに頭を上げる様に言われて頭を上げた俺は先程、彼女が言った言葉に対して気になった事を聞く事にしたんだ。
「それと先程、君が―「アイシス…」…えっ?」
「…私の名前よ」
「…ああ…え〜と…アイシスさん?」
「さんはいらないわよ?アイシスでいいわ。同い年みたいだしね」
「分かったよ。アイシスって呼ばせてもらう。俺は……」
あれっ…俺の名前はなんだ?名前すら忘れているのか?考えてみれば年も何歳か分からない。でも彼女は俺と同じ年だと言った。何で彼女が知ってるんだよ。聞きたい事だけどんどん増えてくる感じだな。
言葉が詰まり口を閉じてしまっていた俺の考えてる事を読み取ったかのようにアイシスが口を開いた。
「貴方の名前はレイン。レインって呼ばせてもらうね? で、年は私と同じ十六歳だそうよ」
「…えっ?」
「こことは違う世界から来た事、それからレインが吸血鬼ということ―」
「はっ? はぁーっ!?」
「それから―」
「待って待ってちょっと待ってくれ、アイシス!!」
「?」
キョトンしながらどうしたの?と、いう顔で俺の様子を窺うアイシス。
こうして面と向かい改めて彼女の顔を見てみると本当に綺麗というか、美少女というか、流石は異世界というか…。いやいや、何を考えてるんだ俺は…今はそんな事を考えている場合じゃあなくて…
「ア、アイシスは誰から俺の事を聞いたんだ?彼女ってもしかしてアーシェ様?そ、それに一番気になるのは俺が吸血鬼ってどういうことっ!?」
そう!一番気になったのはコレだ!俺の事を【吸血鬼】と言った事だ。吸血鬼ってどういう事だってばっ!?俺は人間じゃあないのかっ!?オラは地球育ちの地球人だぁぁーーーーー!!だよな!?
「そ、そうね。今、順を追って大事な事だけレインに説明するわ」
そして俺はアイシスの話に耳を傾ける事に。
「私の剣がレインの首を捉えたと思った瞬間…彼女が現れたの」
***
「ふぅ〜〜〜 間一髪だったぁ〜 いや〜危ない危ない」
私が放った剣を指で摘む様に止めた彼女。ひと目で私達とは存在が違うのだと分かったわ。だって…めちゃくちゃ光ってるし…。
「あ、あなたは…いえ、あなた様は…」
私はすぐに膝まづいたわ。
「はいは〜い!そんなにかしこまらなくても大丈夫だよ〜!気軽に気軽に、ねっ!おっと彼の傷を先に治しちゃおうかな!ホイッ!」
彼女がそう言うと私が彼に付けた傷、そして斬り裂かれた衣服も一瞬で塞がり、まるで何事も無かったかの様に元通りになった。
その光景は神の御業にも見えた…。
「私はアーシェ様の使いでやって来た守護天使の…ゲフンゲフン…謎の美少女〜〜〜〜〜ぉぉ です☆」
アーシェ様って世界の護り神であられるアーシェ様!?それに言い直したけど守護天使と言ったわよね!?確かに聞こえたわ!
そう突っ込みたいけどとても突っ込む気にはなれない雰囲気…。
「まあ、超絶、超絶美少女の私の事が超絶気になるとは思うけど取り敢えずは置いておいて…レイン君の事なんだけど…」
置いておいていいような話ではないと思うのだけれど…。超絶って何で2回言ったのかと思ってしまった。
「あっ、レイン君というのはこの今、気絶している彼の事ね!歳はアイシスちゃんと同じ十六歳だから!こことは違う世界からやって来たんだけどちょ〜っと邪魔が入ってしまったせいでアイシスちゃんの家に転生しちゃったんだよねぇ〜。アーシェ様の寵愛を授かってるよ!でっ、でっ、ここからがちか〜〜〜っと複雑な事情があるんだけど、今はそれもまた置いておくとして、とにかく、この世界に構築、転生する際に呪いとかそんな感じで種族が人間から吸血鬼として転生しちゃったんだよねぇ〜!まあ、そこら辺はこれからなんとかなるとは思ってるんだけど―」
「ちょっ、ちょっと待って下さい!?じょ、情報量が多すぎて…」
こことは違う世界!?転生!?吸血鬼!?呪い!?アーシェ様の寵愛!?アーシェ様から寵愛って受けられるものなのっ!?
「―彼はこの世界の事は知らないし、自分の事に関しては何も憶えていないから暫くアイシスちゃんが面倒見てくれるとありがたいかなと超絶美少女の私は思う訳でありますよ!はい!」
「わ、私の話聞いてます!? ……はい?」
んっ…今、私に彼の面倒を見てって言った!?
「だよね!アイシスちゃんならそう言ってくれると思ってたんだよね!えがったえがった!流石私!略してさす美少女の私!」
「ちがっ!?い、今のは違うんで―」
それに全然略されていませんがっ!?
「おっと!そろそろ時間ですたい!超絶美少女の私はどこでも引っ張りダコ!いや〜モテる私は辛い辛い!」
「お願いだからちょっと待ってぇぇ!わ、私、だ、男性のお世話なんて…お付き合いさえ―」
「この機会に堕として男をGET!我慢出来なくなったら襲ってOK!逆に襲われたい願望があるならYES枕片手にベッドで裸で待つといいと地球人は言った!最初は痛いかも知れないけど女は度胸!」
「なっ…ななななっ!?にゃにを言って…」
「あっ!それからタンスの奥に大事にしまってあるアレっ!そう、いつか愛する人に魅せる為のちょっと背伸びしたエッチな大人の下着を装着するのもいいかもね!」
「…ふぇっ!?」
「それともう一つ!これも大事な事だった!これを君に与えておくけどこれの事はレイン君には内緒だよ!」
羞恥に染まる私を気にも止めずにウインクしながら彼女が言った。直後に私の眼に温かいモノが流れる。
「じゃあ、今度こそ、また会おう!とぉ!」
「…えっ…あっ………………」
次の瞬間には彼女は消えて…何もなかったかの様に静寂が訪れた。後には私のベッドにいつの間にか寝かされているレインと茫然とその場に立ち尽くす私。
それらの出来事がレインが目覚める間にあった出来事。私は起こった出来事から話を選りすぐってレインに説明したのだった。
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