後日譚「レアンのお見舞い」
あの後、レアンは風邪を引いてしまった。
セレンは、心配と責任を感じたこともあり、レアンの家にお見舞いに行くことにした。
「レアンさん、大丈夫かにゃ?」
セレンは、お見舞いの虹色の
インターホンを鳴らすとしばらくして、レアンの母親が出て来た。
「あっ、こんにちはにゃ。レアンさんのお見舞いに来ましたにゃん」
「セレンちゃん、レアンのお見舞いありがとう。やっと、起きられるようになったのよ。さあ、どうぞ」
「ありがとうございますにゃ」
セレンはレアンの母親に導かれて、部屋の前まで通された。
部屋をそっと覗いて様子を見るセレン。
「レアンさん~、入ってもいいかにゃ」
レアンはパジャマ姿で、ベッドの上でミネラルウォーターを飲んでいて、セレンに気がつくとにこりと微笑んだ。
「こんな姿ですみません、セレン殿。お見舞いに来てくださったのですか。ありがとうございます」
「あの後、風邪を引いたと聞いていたにゃん。大丈夫にゃの」
彼女は、心配そうにレアンに聞く。
「
「あたしのせいにゃ、ごめんなさい」
ふにゃ~と表情と、耳と尻尾の元気がなくなるセレンをレアンは、思わず抱きしめたくなる。
しかし、羞恥心と風邪をうつしてはいけないという気持ちが働いていた。
「いいえ、セレン殿のせいではないですから、お気になさらないでください。むしろ、僕のせいですからね」
レアンは思わず、苦笑する。
「そんなことにゃいけど、これお見舞いに持ってきたにょで食べてくださいにゃん」
セレンは虹の紫陽花の花束とシュークリーム六個入りの紙袋を手渡した。
「やっと、食欲が出て来た所なのです、これなら食べられます。ありがとうございます」
レアンの母親が、紅茶を持って来て花を花瓶に生けると部屋から出て行った。
「このシュークリーム美味しいですね」
「良かったにゃ、新しくオープンした洋菓子店なにょよ」
セレンとレアンが美味しそうに紅茶とシュークリームを食べている。
「まだ、体が少しだるくて。あと、数日は掛かりそうです」
「早く良くなってにゃ」
セレンは、レアンのおでこにちゅっとキスをする。
「せっ、セレン殿!?」
レアンの顔が夕日色に染まる。
同時にセレンの顔もぽっと真っ赤になる。
「晴れの巫女のおまじないを掛けたにゃん、きっと大丈夫にゃんよ」
セレンは優しい笑みをレアンに向け、「ありがとうございます」とまた、レアンもセレンに笑顔を向けた。
ベッドの横のチェストの上には、エメラレインと虹色の紫陽花が日の光を浴びてキラキラと光っていた。
-fin-
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最後までお読み頂いてありがとうございます。
雨の国の猫巫女セレン 夢月みつき @ca8000k
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