26話 話し合いと治療院
【悲報】いつの間にかマフィアになってた件
「待て待て待て、おかしいだろ」
「別におかしいことは何もないぞ。俺たちはお前に迷惑をかけた、だから謝罪ということで俺たちの組に入れてあげる」
「......俺がマフィアになることのメリットは?」
「寄ってくる女が増える」
「全然メリットじゃない」
「ちなみに寄ってくる女のほとんどは美人局」
「全然だめじゃねえか!」
俺には雫がいるし普通に要らねえんだよな。美人局ならなおさらいらない。よく考えてみてよ。俺が海外留学中に浮気なんてしたらすぐに週刊誌にスクープされるにきまってるじゃん。
「ちなみにデメリットは?」
「警察からもモテる」
「最悪じゃねえか。すぐに俺がマフィアに入ったことを取り消せ」
「うーん仕方がないなぁ」
ひとまず俺がマフィアに入ったことを取り消した。ご馳走させてついていったらマフィア加入とか冗談じゃない。やっぱり知らない人についていくのはやめたほうがいいと実感できる。
「ほれ見ろ。もう俺らの組には入ってないぞ」
といいタブレットを見せてくるとそこには確かに俺の名前はなかった。というかハイテクやな。もっとマフィアってアナログなイメージがあったからちょっと新鮮。
「ほんとだ」
「当然だ。お前は今俺たちの組を抜けたって状態になっているからな」
「不躾なことを聞くけど俺は組を抜けたってことになってるってことは...」
「あぁ除隊リストのほうにはお前の名前は入ってるな」
「今すぐにその除隊リストとやらの名前も消せ」
「それは無理だな。除隊リストは俺たちからは絶対に操作することはできない」
「じゃあどうやったら除隊リストから名前を消せる?」
「ボスなら消せるぞ」
「そのボスは?」
「今日はいない。明日には帰ってくると思う」
「じゃあ明日あんたらのボスに会いたい」
「別に構わんが小便ちびらないように気をつけな」
◆
「ほんとに意味わからない」
あの後宿のほうに車で送ってもらった。今日はいろいろありすぎたと思える一日だった。それはそうと
「今日食べたご馳走おいしかったなぁ」
まあマフィアに加入させかけられたりといろいろやばいところではあったけど食事はガチでおいしかった。今まで食べた中でも一番じゃないかな。とにかくそのぐらいおいしかった。
「それよりも明後日が前哨戦かぁ」
そう、明後日はコロッセオの前哨戦。うかうかしている場合じゃない。
◆
翌日、目覚めのいい朝と共に宿を出発、バチカンのほうに移動して普段通り教室に着くと今日はいつもと違って雰囲気が変だった。なんというかまるでダンジョンの中にいるような雰囲気。
「それでは今日の授業を始めます。今日は課外授業なのでいったん皆さん外に出ましょうか」
というわけで教室から外に移動すると1台のバスが止まっていた。
「バスの中で今日のやることを話すので先に乗ってください」
ぞろぞろとバスに移動し、最後の司祭がバスに乗るとバチカンからイタリアのほうへ出発した。
「今日の授業はさっき言った通り課外授業です。皆さんは今日、ダンジョンの入り口に備わっている医療室で研修を受けてもらいます。医療室では当然人間の治療を行いますが皆さんはネズミの治療を成功させているためある程度の治療は人間に行っても大丈夫です。
よって、今日の課外授業の内容は人間の擦り傷、切り傷などの軽い怪我の治療と、重症の人間の治療のサポートです」
というわけで今日の授業は実践課題というわけで実際に人間を治療することになった。
◆
バスを降りると見慣れたダンジョンが目に入る。だけど今日はダンジョンにはいかずにその隣の白い建物に入る。
ダンジョン治療院
ダンジョン内で怪我を負った冒険者の治療をする場所だ。普段からダンジョン内の怪我人は後を絶えないためかなり忙しくブラックだと揶揄されることもあるがその分給料は高いし福利厚生も充実している。特にスタンピードなどが起きた場合は怪我人が増えるため忙しくなると同時にボーナスが下りてくるっていう噂だ。
看護師らしき人に施設内の紹介をしてもらうと今日お世話になるダンジョンの回復職の方に挨拶をし、今日の研修がスタートした。
とはいっても怪我人が来ない限り治療院は忙しくならない。来たとしても酷くて骨折レベルの怪我なので正直暇だ。とはいっても骨折レベルの怪我は今日は基本的に俺たちに任せているらしいので大体1時間に3人ぐらいに回復魔法をかけて午前中を過ごしていた。
◆
「先輩って何年ぐらい治療院で働いているんですか?」
「6年ぐらいだよ」
治療院で世話になっている方々の仲良くなったので、彼らと一緒に食事をとることになった。ちなみに俺のお昼はイタリアのコンビニで売ってたおにぎり。普通においしい。
「結構やってるんですね」
「まあね。辛いけど人のためになれるやりがいのある仕事だよ」
「へー」
なんて会話をしているとお昼休憩も終わり午後の治療が始まった。
始まったといってもやることは午前中とほぼ同じ。骨折や切り傷を治療し暇な時間は雑談、そんな風に思っていたら突然、院内が慌ただしくなった。
「何かあったんでしょうか」
「わからない。もし重体の患者が来たのなら俺たちにも召集がかかるはずなのだが...」
と話していると突然、俺たちがいた診察室に内線がかかってきた。一番近くにいた人が電話を取るとすぐに俺たちに召集がかかったことを伝えた。
「ダンジョン内でスタンピードが起きたらしい」
事態を理解するのには十分な一言だった。
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