25話 襲撃(?)とマフィア
あの後ログを見るのに夢中で結局寝たのは朝の3時。そんなわけで絶賛寝不足の俺だが今日も今日とて研修生活。バチカンに移動して昨日と同じくネズミのしっぽを再生する。
とはいえ昨日にもうすでに成功している俺からするとかなり暇。そんなこんなでずっと回復魔法を発動しているとたまたま通りかかっていた修道士っぽい人に声をかけられた。
「~~~~~~~~~~」
「なんて?」
だけど話すのがイタリア語のせいで分からない。仕方がないので魔法で翻訳する。
「センスあるね!ここにきて何日目?」
「3日目です」
「へーそうなんだ」
どうやら3日目で回復魔法をここまで使いこなせるのは稀らしい。自分はセンスがあるということだ。やったね!
「どうして回復魔法を学びに来たんだい?」
「自分の戦いに生かせるんじゃないかなって思ってここに来ました」
「あっはっは、珍しいね」
「そうなんですか?」
「そうだよ。ここに学びに来るほとんどの人が後方支援に生かせるようにって理由で学びに来るんだから」
「そうなんですか...」
「でも目的があるならヨシ!頑張ってね」
話を聞いてみると前線で戦う人がここに来るのは珍しいらしい。いわれてみれば回復魔法を学ぶよりも他の攻撃魔法学んだり戦闘スキルを鍛錬したほうが効率はいいよなって思うのはわかるけどね。
それはそうと新しい回復魔法をいい加減教えてほしい。そう思いながら今日とて回復魔法を練習する。
◆
おやつの3時、研修が終わり暇になった。普段ならこの段階で眠くなっているところだがこっちの生活に慣れてきたからか今日はあまり眠くない。
というわけで3日ぶりの散策と行こうか。
今日の散策の目的は特にない。しいて言うならイタリアの街の風景を楽しむ。それだけだ。今日はのんびりしよう。そう思っていた。
なのに何だこの状況は。目の前にはいかにも訳ありな少年、そしてその奥にはスーツを着こなしたイケおじたち、そして後ろにも明らかに堅気の人間じゃない方々が何人もいる。どうしてこうなった。
原因を考えてみよう。確か俺はイタリアの街中を散策していたはずだ。そして街並みに夢中だっ俺はいつの間にか狭い路地に入っていた。そしたらこうなった。
うん、意味がわかなん。海外ってこんな治安悪いの?
とまあ色々と考えを巡らすわけだがこうなった以上は仕方がない。逃げよう...って考えてませんよ。だから銃を向けるのだけは勘弁してくれ
「おい、そこのアジア人!お前はどっち側なんだ」
と銃を向けた堅気じゃないほうが俺に向かって問いかける。あれ?もしかして俺何かと勘違いしてない?
「それよりも坊ちゃん早くこちらに」
と今度はスーツを着こなしたイケおじたちが目の前の少年に声をかける。坊ちゃんと言われた少年は頷くとすぐにイケおじたちの方に走る。
イケおじたちが少年を保護した瞬間、今度はこっちからも銃を向けられる。やっばーい殺される~、助けて~なんて悠長なことは言ってられないので
「俺は無関係でーす」
って大声で叫んどく。こういう時は両手を挙げて自分は無関係だということを主張するのが一番いい。ほら御覧なさい。両サイドのみんなが銃を下げたでしょ?
「すまない、勘違いだったようだ」
「いえいえ、俺も変なところにいたのが悪いですし」
「そうか、ぜひとも謝罪ということで夕飯をご馳走したいのだが大丈夫かな?」
「別にそんな。気にしてないですし大丈夫ですよ」
「そうもいかん。関係ない一般人に銃を向けてしまったんだ。何なら賠償金を払ってもいい」
「いやいやホントに賠償金とかもいらないので」
「それなら夕飯をご馳走させてくれ」
「うーん...じゃあご馳走になります」
ということでイケおじたちに夕飯をご馳走になること決まった。ひとまずは撤収ということでさっき俺と話した人がスマホで誰かと電話をしている。
しばらくすると電話を切って話し始めた。
「もうすぐで迎えが到着する。このまま行こう」
「わかりました。ところであなたたちって何者なんですか?」
「そうだな...君たちのいうところのいわゆるマフィアってやつだよ」
マフィア...
マフィア...
マフィア⁉
どうやら俺がマフィアと思ってたほうがマフィアじゃなくてこっちがマフィアだった。びっくりびっくり
「ちなみに最初に君に銃を向けてきたほうもうちの構成員だよ」
前言撤回、どっちもマフィアだった。
なんだよ。じゃああの状況は俺vsマフィアだったの?てっきり俺は警察vsマフィアvs俺かと思ってたわ。ちなみに俺がダークライポジね。
そんなこんなで黒塗りの高級車が到着。今から撤収&ご馳走というわけで俺も
乗せてもらえた。
◆
「試合を終えて家路へ向かうサッカー部員達。疲れからか、不幸にも黒塗りの高級車に追突してしまう。後輩をかばいすべての責任を負った三浦に対し、車の主、暴力団員谷岡に言い渡された示談の条件とは…」
「お前は何を言ってるんだ?」
そんなこんなで高級車に揺られて10分、俺たちはとあるレストランの前に到着した。
「ここが俺たちの隠れ家にもなってるんだ」
「それって俺に言っても大丈夫なんですか?」
「ばらしたら全勢力を持ってお前を探すから」
「きっちり秘密にさせていただきます」
レストランに入ると中は意外と広々としていた。テーブルの上にはすでに出来立てのおいしそうな料理が並んでいる。
「全員自由に座れよ~、今日は御馳走だ」
「「「いえーい!!」」」
というわけで次々に構成員らしき人が席に座っていく。最後の俺たちが中心の席に座るとレストランの店長らしき人が出てきた。
「それじゃあ新たな仲間に乾杯!」
「ちょっと待て⁉」
思わず叫んでしまった。
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