24話 回復魔法と前哨戦について
歓迎会の翌日、早速回復魔法を学ぼうというわけでイタリアからバチカンに移動、そして研修が始まった。
「それではまず神にお祈りしましょう」
最初に教会でお祈りをすることになった。なんでって思ったけどこれが伝統らしい。なんでもお祈りをするのとしないのでは回復魔法を覚えるスピードがまるで違うらしい。別に俺は仏教徒なわけでもないから普通にお祈りをする。
とは言ったもののお祈りって何を祈ればいいのかわからん。ひとまず家族と友人の健康祈願と留学の成功を祈っておいた。
「それでは回復魔法を学びましょう。ではまず体内の魔力を知覚して制御をしましょう」
というわけで体内の魔力を知覚しながら魔力を全体に行き渡らせる。魔法使いが最初にやる鍛錬だ。
「次に魔力を制御した状態で自分の指を切ってみてください」
とまあいきなりアグレッシブな研修だなと思いつつナイフで指先に切り傷をつける。するとあら不思議、切り傷から滲んでいた血が止まってみるみるうちに傷口が塞がった。
「これが回復魔法の最も基本的な部分です。魔力を使って傷口の再生をする。これは人間にもともと備わっている再生機能を手助けして体を治しています。それでは次に...」
◆
あれから6時間、今度は傷ができているモルモットの治療とやっては魔法陣の勉強を繰り返し初日の授業はおしまいになった。思ったよりも苦戦しなかったから安心した。
とはいってもまだまだ自分ができる回復魔法は止血とちょっとした傷の回復だけ。まだまだ本格的な回復魔法は何一つ学んでいない。
「疲れた~」
それに思ったよりも繊細な魔力の盛業が必要とするためかかなり疲れた。肉体的にというよりはどっちかっていうと精神的に。
バチカンからイタリアにもどり部屋に着いたら風呂にも入らずにベットに横になる。だが肉体的に今日はあまり疲れていないためか寝れない。仕方なく風呂に入り暇をつぶしていたところ電話がかかってきた。
『もしもし~』
「だれ?」
『俺だよ俺』
「...詐欺か」
『冗談だって』
電話をかけてきたのは綾人だった。
「で?なんのよう?」
『いやー回復魔法ってどうやって習得してるんかなって思って』
「普通に魔力の制御と魔法陣と勉強、あとは練習」
『思ったより普通だな』
「だけど魔法陣が普通の魔法と違いすぎて違和感半端ない」
『回復魔法は複雑だからなぁ』
そんな風に今日のことを話していると急に眠気が襲ってきた。そんなわけで電話を切って今日はもう寝よう。おやすみ。
◆
2日目になって今日は昨日とは違って回復魔法で欠損した部位の再生について教えてもらった。とはいってもさすがに自分の体でやるわけにもいかないのでネズミのしっぽを再生する。
「いやむずっ」
昨日の回復魔法は人間がもともと備わってる修復機能を強化する魔法だったが今日習っている魔法は魔力を使って肉体を生成する魔法。難易度も桁違いだ。
そもそも魔法とは魔法陣そのものに対して正しく理解しておかないと失敗する。だから教科書片手に頑張っているわけなのだが
「魔法陣複雑すぎじゃね?」
というわけだ。1つの魔法陣に3つの魔法陣を組み合わせてある。だからむずい。
「はーやってらんねー」
2日目で壁にぶつかったわけだ。いくら魔法を発動してもネズミのしっぽは治らない。ひとまずもう1度魔法陣を調べてみるか。
回復魔法の魔法陣は主に3つの魔法陣がつながってできている。1つ目は回復魔法をかける人間のDNAを調べる魔法陣、2つ目はけがをした人間の欠損部位を確認する魔法陣、3つ目は1つ目と2つ目を活用して欠損した部位を生成する魔法陣。
この3つだ。ちなみに1つ目の魔法陣は俺が日本で研究していた範囲と似ているためか結構買いできる。2つ目はまあまあ理解できる。だが3つ目が理解できない。
そもそも肉体の生成っていうのが俺にとっちゃ非日常すぎてわからない。
まあ魔法自体が俺からしたら非日常だから別に問題ではない。こういう時は回数を重ねるに限る。というわけで地獄の回復魔法祭りが始まった。
《3 hours later》
やっと成功した。
いやー大変だった。あとちょっとで魔力もすっからかんになるところだった。
まあとはいっても手を休めるわけではない。せっかく成功したんだ。この成功を忘れないためにも魔力が切れるまでは回復魔法の練習をやってようと思う。
◆
結局魔力が切れるまで回復魔法をバカスカ放っていた。その性か初日以上に疲れた気がする。というわけで今日も早めに寝よう。グッナイ!
と思ったけれど普通にやることがあるんでモンスター片手に机に移動。というのも今週末のコロッセオの前哨戦。その詳細が今日決まったらしく日時とか場所とかルールとかを見ておこうってわけだ。
え?明日やるんでもよくない?
馬鹿言え。レギュレーションを見なかった前科があるんだからこういうのは早めにやったほうがいいんだよ。
そんなわけで詳細情報をまとめてみるとこんな感じ
日時:5月20日
場所:イタリア第3決闘場
コロッセオの出場条件:優勝
コロッセオはこの試合の1週間後の土曜日。つまりこの試合で勝てなければコロッセオには参加すらさせてもらいないってことだ。
俺としてはこのくらいの緊張感があったほうが楽しめる。ワクワクドキドキってやつだ。
というわけで早速、過去のログを見直そう。
そんなこんなで夜も更けていくのであった
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