23話 模擬戦と日本と海外の違い
ひとまずはさっき取得したEUの冒険者免許を使ってイタリア内のいろんな大会にエントリーしよう。期間は今日から来月まで。
それまでに少なくとも3つの大会に出られる。その中には世界で一番の大会、コロッセオも含まれている。
ちなみにコロッセオに出るには前哨戦で優勝しないといけない。まあそれについては問題ないか。
「それよりも問題なのが...」
そう、コロッセオと日本の皐月戦がかぶっているということだ。厳密にいえばかぶっていはいないのだがコロッセオが5月の最終土曜日で皐月戦が5月の最終日曜日名だけにかなりハードなスケジュールになってしまう。
「シェイプシフターは人体の疲労は治せないからなぁ」
いくら体の欠損を治せたとしてもそれはステージに施されている特別な魔法も大きく影響している。そもそも人体の修復自体、その人の疲労度によって修復する部分の肉体を調節されているからね。
あれだよ、簡単に説明するとへとへとに疲れてる体にピンピンの肉をくっつけたら拒絶反応が起きてしまって最悪そのまま死ぬっていうかんじ。
「それにステージに仕組まれている『特別な魔法』がないとシェイプシフターは使えないからな」
万能そうに見えるシェイプシフターも実はかなりピーキーなんだ。だから普通の訓練施設だと木刀とか刃を潰した剣で模擬戦をしたりして対策している。
「だからと言って参戦しない理由にはならないんですけどね」
というわけで今後の俺の大会が決まった。ひとまずはコロッセオの前哨戦を勝った後にコロッセオで優勝してその翌日に皐月戦を勝つ。
うーん、ブラック企業かな?
◆
コロッセオにエントリーしたはいいもののそれまでにもっと強くなっておこうということできました闘技場。
ここでは普段は大会に出る人間が対戦してお互いに強くなろうって場所だ。ここにいる全員がコロッセオの出場を目指して頑張っているってわけだ。
「さーて、いっちょやりますか」
というわけで早速、闘技場にエントリーして対戦相手を待つ。日本だと俺の名前が知られちゃってるから全然対戦できないけど海外だと割とまだ名が知られていないから問題ない。すぐに対戦相手が見つかる。そんな風に思っていたら
「一緒に一戦やろうぜ」
ほら、カモが寄ってきた。
◆
...やりすぎちゃった
いやちょっと弁明をさせて?
一番最初に戦った人にはまあ余裕で勝ったんだけどどうやらその人がかなり強い人間だったららしくてなんか話題になっちゃったっぽい。まあ勝っちゃったもんは仕方がないし、何なら対戦相手も
「nice fight!」
って感じで別に気分を悪くしているわけじゃないから別に問題はなさそう。
でも俺が戦っているところがネットに上げられてるっぽくてそれがかなり話題になってるらしいんだけどそれはさすがに問題かもしれない。何かイタリアとかその他ヨーロッパに拠点を置いている冒険者だったりクランだったりが反応しているらしくてすでにトレンドにまで上がってるらしい。
でもエゴサをしてみたところほとんどは肯定的な意見らしくてどっかのジャポンとは大違いだなって思った。
まあそれはそれとして今この状況をどうしようか。なんかギャラリーがさっきより増えてるような気がするし、何なら俺と戦いたいっていう力自慢たちもさっきと比べて増えてるような気がする。
こういう時に現地語が喋れたら便利なんだろうけど今はまだ喋れないからさっきと同様にスマホで翻訳して力自慢さんたちに見せる。
『全員同時に』
と。
◆
あの後、全員まとめて相手をしていたところ今度は逆にギャラリーが盛り上がってしまってまた対戦希望者が増えるというジレンマに遭遇した。そのせいで今急いで宿泊施設に戻ってる。
「うーん、疲れた」
とぼやきながらイタリアの街中を猛スピードで移動している。時刻は午後5時45分。結構急がないとまずいかも。
街中を走っても人が邪魔で本気で走ることができない。ならばやることは1つ。屋根走りだ。
ポーンポーンって感じで屋根から屋根をジャンプして最短距離で宿泊部屋まで戻る。着いた時刻は午後5時58分。ギリギリ間に合った。
◆
部屋に戻り夕飯までの30分暇を持て余している俺はネットでエゴサをしていた。エゴサといっても今回は自分の名前を調べるのではなくてイタリアに突然現れたジャパニーズニンジャについて調べている。どうやら俺のことは海外だとジャパニーズニンジャの名で知られているようになったらしい。
ここで海外の人間の反応を見てみよう
『ニンジャってホントに存在したんだ...』
『このニンジャはクールだね』
『ぜひ俺のクランに所属してほしい』
『東洋にまだこんな強い人がいたなんて...』
『このニンジャはコロッセオに出るのかな?』
というわけで今から市役所に行って名前を湊からニンジャに変更しようと思えるぐらいニンジャの名前で知られていた。ちなみにこのことを綾人に伝えたところ、
『お前は忍んでないから忍者じゃない。謝れ』
とのことだった。
うーん、正論。
とまあイタリアで一躍話題になってしまったというわけだ。いやぁ、びっくり。
まあ今日はただ俺がイタリアで話題になっただけではない。今日の本命はどっちかっていうとこっち。というのも今日初めて海外の人たちと1対1をやってみて気づいたことがあった。
『海外の冒険者は戦い方が荒々しい』
ということ。まあバトロワ戦は1回やったことがあるから俺自身としてはあまりびっくりすることじゃないんだけどね。まあなんといってもとにかく荒い。
何なら防御ガン無視でで攻撃してくるなんてこともざらにあるレベルでは荒々しいんだよね。まあどっちかっていうと日本だと本気の俺みたいなタイプがゴロゴロいるってイメージ。
やっぱり日本の基本に忠実な攻め守りをちゃんとしている理性的なタイプじゃなくてこっちの人間の本能に忠実なタイプのほうが俺は好きだな。
そんな風に考えていると時刻は6時半を守り歓迎会が始まった。
ps.歓迎会で出た料理はとてもおいしかった
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