21話 鍛錬と留学当日

「あーもう無理」


部活動を終えて寮に戻ったはいいものの今日も結局研究が成功しなかったためちょっと機嫌が悪い。


「これで何日目よ」


「もう忘れた。4か月ぐらいずっとやってるんじゃね?」


「そんなにやってるんだ」


「おう、もうさすがに限界よ」


「頑張れ~」


「がんばってはいるんだけどなぁ」


どんだけ頑張っていも結果が出ないとさすがに気が滅入る。とりあえず今日すぐ寝よう。


「もう寝よっかな」


「は?まだ9時だぞ」


「別にいいでしょ」


「化学の課題やったのか?」


「」あー、明日見せて~」


「やだ」


「じゃあ明日の朝やる」


「それ絶対やらないやつじゃん」





朝目が覚めると時計は午前5時半を指していた。


「完璧じゃん」


9時に寝て5時半に起きる。しっかりと8時間をとれていた。


「ほんじゃあ化学の課題やるか」


せっかく朝しっかり起きれたので昨日やらなかった課題を終わらせる。だけどすぐに終わってしまった。朝の6時半、学校の始業まであと2時間ある。


「......訓練室行くか」


朝ごはんはぶっちゃけいらないしせっかくなら訓練室行こうかってことで制服に着替えて校舎に隣接している訓練室に行ってみる。とはいってもこの時間から鍛錬している人間はたぶんいない。と思っていたら


「なんで君がいるんだよ」


「こっちのセリフです」


なんでかは知らないがそこには安藤サクラがいた。いやなんで?

まあ訓練室にいる以上たぶん鍛錬とかを行っているんだとは思うんだけどさ。


「なんでこの時間から鍛錬してんの?」


「あなたに勝つためです」


「そりゃあ楽しみだ」


どうやら俺に勝つために鍛錬をしているらしい。いやーうれしいね。


「どうせなら1戦やるか?」


「いいんですか?」


「まあ暇だし」


というわけで制服のまま剣を持ち訓練室に入る。


「着替えなくていいんですか?」


「めんどいしいいや」


「そうですか。じゃあ始めますね」


そして早朝に戦いが始まった。まあ戦いといっても今日は俺は本気を出すわけじゃないしどっちかっていうと相手の苦手なところを突くイメージの戦い方で行こうと思っている。


なんでかっていうと普通に本気の戦い方じゃ制服が死ぬから。普通にぼろぼろになっちゃうから本気を出せないんだよね。


後、彼女を指導するためかな。せっかく俺を倒そうと頑張っている子にはご褒美として指導をつけるぐらいいいいでしょ?利敵行為?まあこんなんで負ける俺じゃないし別にいいでしょ。


「ほら、大きい攻撃の後の隙をカバーしないとやられちゃうぞ」


「ッ!!」


とまあこんな感じ隙を突くイメージで相手を追い詰める。彼女のような魔法タイプは俺みたいな近接タイプの人間に隙を見せて負けるのがほとんどだ。逆に言えば隙を見せない魔法使いは強い。


「今ので2回死んだぞ」


「これもダメ、大技放つ前は無防備にならないように牽制入れないと」


「足がお留守になってんぞ」


「間に合わないって思ったなら杖使ってでも防御しな」


「今のわざと隙を見せて反撃したのうまかったぞ」


そしていつの間にか30分は過ぎていた。


「お疲れ。どうだった?」


「勉強になりました。これで先輩に勝てます」


「無理だよ。だってまだ弱いじゃん」


「私弱いですか?」


「いや全体的に見たら多分強いし、何なら高1の中じゃ1番だとは思うよ。だけど俺からしたらまだまだだなって印象」


「そうですか。じゃあ先輩が暇なときにまたこれやってもらえますか?」


「あぁ~、まあ暇な時なら別にやってあげてもいいよ」


「わかりました。じゃあ私はシャワー浴びてくるんで失礼します」


「おう、お疲れ」


俺としてはちょっと物足りなかったがこれはこれでいい運動になったからまあ良しとしよう。時刻は午前7時15分。まだまだ時間があるがもう教室に行ってもいいだろう。ということで俺は訓練室を後にした。



「ということが朝あったわけですよ」


「いーな、俺もお前と戦いたかった」


教室に到着し、しばらくしばらくすると綾人がやってきた。そして雑談している流れで今朝の出来事を話した。


「じゃあ明日俺と戦うか?」


「明日といわずに今日の放課後にでもやろうぜ」


「いいね。じゃあ3時半に訓練室な」


「了解。そんでどうだった?」


「何が?」


「安藤と戦ったんだろ?感想の1つぐらいあるだろ」


「あー、まあ普通」


「それしかないのかよ」


「でも前の決闘の時よりは強くなってたな」


「マジで?」


「ガチ。今度また戦う時が楽しみだなぁ」


今度戦うのはたぶん5月のゴールデンウイークだろう。それまでにどれだけ強くなっているのか今から楽しみだ。


「それはそうとお前留学するんだってな」


「あれ?言ってたっけ?」


「風のうわさで聞いてきた」


「でどこ行くわけ?」


「バチカン」


「似合わねぇ~」


「いろんな人から言われてる」


やっぱり言われた。なんでこんなにも似合わないといわれているのか正直疑問だ。


「てかさ、もっと早くいってくれたなら俺も行こうと思ったのに」


「お前バチカン行って何すんの?」


「うーん、観光?」


「留学の意味知ってる?」


「別にちょっとぐらい留学のついでに観光してもよくない?」


「お前の場合は観光メインになるだろ」


「まあそれもそうだな。というかなんでバチカン?」


「回復魔法習得したいから」


「あぁ~、納得」


そんなわけで何度目か忘れた留学の説明を綾人に伝えた後、今日も今日とて学校生活。


そんな日常をすごいしているとすぐに留学する日がやってきた。

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